約 3,643,201 件
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/783.html
※前回(fuku2012)の続きです。 前回のあらすじ 家にゆっくり二匹が押しかけてきた 第二話 とりあえず俺は朝飯の準備をする。 流石に二食続けてピザまんを食う気にはなれん。 普通にシリアルを食う。 一方、それを見ていたゆっくり達はというと 「「おにいさん、ゆっくりしていってね!!!」」 これだよ。 普通のゆっくりならここで図々しく飯をねだるだろう。 だがこいつらは「スタンダード型」。自分の飯より俺がゆっくりする方が大事なようだ。 …っつっても何も食わせないというのもアレだし、シリアルをちょっとバラ撒いてやる。 不思議そうに見つめていたが、 「お前らの飯だ、食え」 と言うと 「「ゆっくりいただきます!!!」」 と一目散に飯に食らいついた。やっぱ腹は減ってたんだな。 「「むーしゃ♪むーしゃ♪しあわせ~♪」」 何度聞いても殺してやりたくなる声だ。 以前虐待兄貴の家の留守番をかって出た時、兄貴の虐待用のゆっくりに飯を与えるとこの言葉を発し、あまりのウザさにうっかり手が出てしまった。 そのせいで俺は兄貴にこれでもかとボコボコにされた。あれ以来俺は「忍耐」というものを身につけたような気がする。 …というか「それ」ってスタンダード型でも言うのか?それとも人里に降りて何か影響でも受けたのか? だがそんなことはどうでもいい。既にこいつらの虐待プランは決めてある。 前にも言ったが俺にとって全てのゆっくりは俺に快感を与えるだけの道具に過ぎないのだ。 こいつらだって例外じゃない。 このまま何も与えず放置するという手もアリだろうが、俺にはどうしても「やってみたいこと」があった。 放置プレイは次の機会にでもやればいい。ゆっくりが蔓延したこの時代、代わりはいくらでもいるのだから。 「おにいさん!!!おかげでゆっくりできたよ!!!」 「こんどはまりさたちがおにいさんをゆっくりさせてあげるね!!!」 具体的にどうすると言うんだ。 お前らがいなくても俺は好きな時にゆっくりできる。 とりあえず朝のワイドショーを見ることにする。 「おにいさん、ゆっくりしてる?」 してるだろどう見ても。 「ゆっくりしていってね!!!」 はいはい。 「おにいさん、ゆっくりできてる?」 いちいち聞くんじゃねーよ。 「できてないなら、まりさたちがゆっくりさせてあげるね!!!」 あーもーウザいウザい。 お前らが騒いでるせいで俺はゆっくりできませんよ。 予定より大分早いが計画を実行に移すことにする。 また虐待兄貴に「君は我慢が足りない」とか言われそうだが知ったことじゃない。 俺は自室に戻り「あるもの」を取ってくる。 スケルトンボックス~♪ 虐待グッズの定番中の定番である。 この中に入れられたゆっくりはもれなくゆっくりできなくなる魔法の箱なのだ。 俺は二匹を二つある箱の中に一匹ずつ詰める。俺を信頼しているのか何の疑問もなく入った。 ガタガタ震える程度のスペースくらいはありそうだ。 俺はまたTVを見てゆっくりする。 「「おにいさーん、ゆっくりしてる?」」 無視。 「「ゆっくりしようね!!!」 無視。 「「おにいさーん??」」 …少々変化が出始めたようだ。 「「ゆーゆーゆー」」 唸り声を上げ始めた、もうすぐだろう。 「「ねーあそぼうよー」」 言葉に大きな変化が。無視を続ける。 「「ゆー…」」 シカト。 「「ねえ、なにかしゃべってよ」」 もう一押しだ。 「「おにいさん!!!ここからだして!!!おなかすいたよ!!!おうちかえる!!!」」(ガタガタ) 思い通り! やはりスケルトンボックスの力は素晴らしい! どんなゆっくりもゆっくり出来なくなる、その言葉に偽りなし! 箱の中は小さな空気穴からわずかな酸素が入ってくる程度。 おそらくゆっくりはその環境のせいで極限状態まで追い込まれるのだろう。 また、動き回るスペースが無いことも原因の一つなのかもしれない。 自由だった最初とはえらい反応の違いがそれを証明している。 箱に目をやるとゆっくりたちは涙目になっている。 俺は箱に語りかける。 「腹減ったのか?」 「「おなかすいたよ!!!おうちかえる!!!」」(ガタガタ) さっき食わせたとはいえ微量のシリアルだったからな。 二時間くらい経過したし、それじゃまぁ足りないのも当然か。 俺はお菓子を取り出し、ゆっくり達に見せつけるように食べる。 「「…!…!!!」」(あーんしてこちらを見つめている) ぱくり 「「ゆー……」」(落胆の表情でこちらを見つめている) 随分わかりやすい反応をしてくれる。 面白かったのでお菓子を恵んでやることにする。 俺は食べ終わったお菓子袋の粉を箱の空気穴の中に入れてやった。 「「あ…!ぺーろ、ぺーろ、しあわせ~…」」 与えたのはハッピーターンの粉だ。美味くて当然。 反応が悪かったのは所詮微量の粉だったからだろう。 だがゆっくり共には腹の足しになったはず。 俺はもう一度語りかける。 「家に帰りたいか?」 「おにいさんはゆっくりしてるよ、だからおうちかえりたいよ」 「まりさもおにいさんみたいにゆっくりしたいよ、だからおうちにかえるよ」 どうやら俺がゆっくりしていることがちゃんと理解でき、羨ましく思っているようだ。 ここが自分の家とか言い出さないあたりまだスタンダード型の意識が残っているようだ。 俺はとりあえずこいつらを「おうち」に連れて行ってやることにする。 連れて行った後どうするかはまだ秘密にしておく。 「おにいさん、こっちだよ」 俺はゆっくり達を箱に入れたまま道案内をさせている。 その声からは元気がなくなっている。当然だ。 辿り着いたのは近所の山の中。仲良く二本並んで立っている枯れ木だ。 その根っこ部分には大きな穴が開いている。ゆっくりならあの中で生活できるだろう。 また、この辺りには他のゆっくりがいる気配もないし、人間だって滅多なことじゃ近寄らない。 だからスタンダードなゆっくりが育つのだろう。 「おにいさん、あれがれいむのおうちだよ」 「となりのきはまりさのおうちだよ」 説明どうも。 とりあえず遠くから様子をうかがってみることにする。 「「ゆっくりしていってね!!!」」 「「「「「ゆっくいちていっちぇね!!!」」」」」 片方の木かられいむの一家が現れた。 家族構成は親二匹、子供五匹。 大きさから見るに箱のれいむは長女だったのだろう。 「「ゆっくりしていってね!!!」」 「「「「「ゆっくちちていっちぇね!!!」」」」」 もう片方からはまりさの一家が。 家族構成はれいむと同じ。 これまた同じく箱まりさは長女のようだ。 この二組の家族は仲のいいお隣さんという関係だろう。 何というか親近感を覚える。 …いかんいかん、饅頭ごときにそんな感情を抱いてどうする。 「「「「みんな!!!おしょくじのじかんだよ!!!ゆっくりたべようね!!!」」」」 「「「「「「「「「「ゆっくいたべりゅよ!!!」」」」」」」」」」 そう言うと親ゆっくり達は木の実をぶち撒け、それを子ゆっくりたちが貪るように食っている。 「ゆっくり!!!」「ゆっくい!!!」「ゆっくち!!!」 …むーしゃむーしゃとは言わない。やはり人里の影響だったか。またどうでもいい謎が増えてしまった。 その家族の姿は幸せそのものだった。愛護派の奴ならこのまま傍観を続けるだろう。 だが俺は虐待派だ。こんな光景を見るとこれでもかというくらいぶっ壊したくなる。でも今はその時ではない。 「みんなゆっくりしてるね!!!」 「まりさたちもゆっくりしたいね!!!」 箱の中のゆっくり共がわめきだした。自分達もあの中に混ざりたいのだろう。 …考えてみるとあんなゆっくりした家族がいるのに人里に降りるっておかしくないか? もしかしたらこいつらはもう独り立ちしていたのかもしれない。大きさも成体と遜色ないサイズだ。 それでもう一度家族の元に戻りたいと言い出すとは。よっぽど箱の中がイヤだったんだな。 まぁそんなことはどうでもいい。こいつらがこの楽しい「お食事会」を終えたときが計画実行の時だ。 「「「「みんな!!!ゆっくりできたね!!!」」」」 「「「「「「「「「「ゆっくちできたよ!!!」」」」」」」」」」 「「「「それじゃまりさ(れいむ)たちにばいばいして、おうちにはいろうね!!!」」」」 「「「「「「「「「「まりしゃ!!!(れいみゅ!!!)あしたもゆっくいちようね!!!」」」」」」」」」」 そう言ってゆっくり共は自分の家に入っていった。 なんだかんだで一時間ぐらい騒いでやがったなあいつら。 会話から察するにこの時間の間しか隣の家族と交流していないようだ。 それ以外の時は自分の家で自分の家族とゆっくりしているのだろう。これなら他のゆっくりからの悪影響も受けることはない。 この習慣を繰り返すことが「スタンダード」でいられる秘訣なのだと俺は思った。 箱の中のゆっくりに目をやる。 「れいむもゆっくりしたかったよ!!!」 「みんなとゆっくりしたかったね!!!」 不満の声を上げる。ブーたれて俺に文句を言わないあたりがゆっくりずむとの違いだ。 さーて、そろそろ始めるか。 俺は枯れ木のそばに向かう。 そしてリュックの中からスコップを取り出し、土を入り口にかけていく。 言うまでもないだろうが入り口を封鎖しているのだ。 箱の中のゆっくりは不思議そうに見つめている。何をやっているのか理解できないのだろう。 二つの家の入り口を封鎖し、リュックからさらに管のようなものを取り出し、土の壁に突き刺す。 これは空気穴…ではなくゆっくり達の声が聞こえるようにするための仕掛けだ。 準備完了。俺はリュックからアレを取り出す。 昨日、三匹のうーパックを死に追いやったあの道具だ。 俺は心の中で謝罪した。………枯れ木に。 ゴオオオオオオオ………… 枯れ木は激しく燃え上がった。 周りに落ち葉は見あたらないし、半径十数メートルには他の木が存在しない。そもそもこの枯れ木自体大して大きくはない。 まるで「この木だけ燃やしてください」と言わんばかりの都合のいい土地だ。 不審火だと騒がれるだろうが、言い訳ならいくらでも考えてある。 「悪いゆっくりを駆除した」とでも言えばいい。現に俺は大人の頼みで二、三度同じ手でゆっくりの住処を滅ぼした。 無意味な放火でしょっぴかれたら人生がエンジョイできないじゃん。 「ゆっ!!!なんだかゆっくりできないきがするよ!!!」 「なかのみんながゆっくりできないよ!!!」 箱詰め共も危険性に気づいたらしい。火を恐れるのは生物としての本能だ。コイツらはナマモノだがな。 木がそれほど大きくない為か炎上が早い。そろそろかな? 「ゆうううっ!!!なんだかあちゅいよおおおおおおお!!!」 「ゆっくちできないよおおおおおお!!!」 「おかあしゃーーーーーーーーーん!!!」 差し込んでおいた管から子れいむ共の声が聞こえてきた。 「ゆっ!!!みんなおちついて!!!ゆっくりおそとにでようね!!!」 ゆっくりしたら死んじゃうだろー。 「おそとにでて、みんなでゆっくりしようね!!!」 「おそとなら、ゆっくりできるよ!!!だからゆっくりでようね!!!」 スタンダードはやたらゆっくりという単語を使いたがるようだ。 「ゆっ!!?これじゃおそとにでれないよ!!!」 「これじゃゆっくりできないよおおおおおおおおおお!!!」 入り口が塞がっていることに気付いたらしい。 一応念入りに土を固めてあるので炎上までに脱出することは絶対に不可能である。 「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ!!!ま゛り゛じゃの゛ぼう゛じがあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」 子まりさの帽子に火がついたようだ。 「あ゛ぢゅい゛い゛い゛い゛い゛い゛!!!ま゛り゛ぢゃの゛あ゛だま゛あ゛じゅい゛よ゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!!!」 まりさ種はダサい山高帽なんかかぶっているから燃え移りが早いんだな。 「あ゛ぢゅあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!れ゛い゛み゛ゅの゛お゛り゛ぼん゛があ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」 れいむの方にも火がついたらしい。やっぱ最初は装飾品から燃えるのね。 「ゆ゛ぎゅあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!ま゛、ま゛り゛ぢゃの゛っ!!!ま゛り゛じゃの゛あ゛だま゛も゛え゛でる゛よ゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!!!」 ロングヘアーのまりさは髪にも燃え移ったようだ。どんなファイヤーヘッドになっているか見たかった。 「み゛、み゛ん゛な゛っ!!!お゛ぢづい゛でっ!!!ゆ゛っぐり゛じよ゛う゛ね゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛!!!」 スタンダードな親ゆっくりはやや取り乱してはいるが子供達をなだめようとしている。でもゆっくりしてる場合じゃねーだろ。 枯れ木ハウスはゴウゴウと音を立てて燃えまくっている。 消すのが大変そうだが、今日はこれから雨が降るらしいし、小さい木だから燃え尽きりゃ自然消火するだろ。全部計算のうちだ。 箱詰め共に目をやる。 「み゛ん゛な゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!ゆ゛っぐり゛じでい゛っでね゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛!!!」 「ばや゛ぐっ!!!ばや゛ぐゆ゛っぐり゛じでね゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛!!!」 漏れ出す悲鳴から何が起こっているのかを理解したらしく大絶叫。 これスタンダードだってこと知らなかったら家族に死ねと言ってるようにしか聞こえんな。 「あ゛ぢゅっ…ゆ゛っぎゅり゛…じ…だげっ……」 「ぢびぢゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ん゛!!!」 「も゛っどゆ゛っぐり゛じだがっだよ゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!!!」 末っ子まりさが燃え尽きたようだ。 最後「ゆっくりした結果がこれだよ」って言おうとしたのか。スタンダード固有の断末魔だそうだ。 「ちびちゃん!!!ちびちゃん!!!ゆっくいちていっちぇね!!!」 「ちびちゃん!!!ゆっくりしてね!!!」 「ゅ…ゅ…ゅ…」 「ち゛びち゛ゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ん゛!!!」 末っ子れいむの方も絶命したらしい。 やはり小さいとすぐに燃え尽きてしまうな。 …ここまで来ると親ゆっくりの取るべき行動は大抵決まっている。 「み゛ん゛な゛っ!!!お゛どう゛ざん゛゛の゛お゛ぐぢの゛な゛がに゛ゆ゛っ゛ぐり゛ばい゛っでね゛!!!」 「お゛どう゛ざん゛が、み゛ん゛な゛を゛ゆ゛っぐり゛ま゛も゛っであ゛げる゛がら゛ね゛!!!」 そう、ゆっくりは危険になると自分の口の中に子供達を避難させるのだ。 それはスタンダードでも例外では無かった。いや、極限状態で思いついた苦肉の策と言ったところか。 父ゆっくりは生き残った子供達を口の中に入れた。母がそうしないのはアレか。父の仕事だと決めつけているからか。 「ゆっ!!!おとうしゃんのなかしゅじゅしいよ!!!」 「これでみんなゆっきゅりできるね!!!」 「あついのなくなるまで、ゆっくいちようね!!!」 補足しておくと、親ゆっくりにも火は少々燃え移っている。子ゆっくり達の火はのたうち回ってローリングすることで 収まっている。…完全にではないが。 ちなみにファイヤーヘッドまりさは手遅れだったらしく、まりさ側には三匹しか残っていない。 炎の勢いは強まっていき、とうとう巣の中は火の海となった。 「あ゛ぢゅっ…!でも゛ゆ゛っぐり゛ごども゛だぢを゛ま゛も゛る゛よ゛!!!」 「お゛どう゛ざん゛だち゛がだめ゛でも゛、ごども゛だぢだげばゆ゛っぐり゛ざぜであ゛げる゛よ゛!!!」 泣ける親子愛だ。だが饅頭だと三文芝居の喜劇にしか聞こえない。それに俺はお涙頂戴は嫌いなんだ。 それに中に入れている子供達も安全なわけがない。 親が燃え尽きてしまえば中の子供達も当然助かるわけがない。それでも子供達が助かると信じて踏ん張っている。実におめでたい奴らだ。 その子供達によって、自分達の寿命が縮まるということも知らずに。 「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ!!!ま゛だあ゛ぢゅぐな゛っでぎだよ゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!!!」 「ぢびぢゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ん゛!!!どお゛じでえ゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛!!!」 「あ゛ぢゅい゛の゛ぎえ゛だばずな゛の゛に゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛!!!」 子ゆっくり達の叫び。 鎮火したと思っていた体の火が再び燃え広がったのだ。「完全に」消えていたわけではないので当然だ。 「さっきみたいに、ゆっきゅりごろごろして、けそうね!!!」 「ごろごろして、またゆっくちしようね!!!」 姉の助言を受け再びローリングする妹ゆっくり。 今自分達が「何の」中にいるのかも忘れて… 「あ゛ぶっ!!!む゛む゛む゛む゛む゛む゛む゛む゛む゛む゛む゛む゛む゛む゛」 唸り声を上げる父ゆっくり達。口を開けずに踏ん張っている。口を開ければ再び子供達を地獄に落としてしまうからだ。 原因は言うまでもない。舌の上で火付き子ゆっくりがローリングしているのだから当然の結果だ。 ゆっくりごろごろするのやめてね、と言いたいだろうが言葉を発するわけにはいかない。 それに子供達が苦しんでいるのだ。親子の絆の強いスタンダードだ。そんなこと言えるわけがない。 一方子供達はというと 「どう゛じでぎえ゛な゛い゛の゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!!!」 「も゛っど、も゛っどゆ゛っぐり゛ぐる゛ぐる゛ずれ゛ばぎえ゛る゛よ゛!!!」 「ぢびぢゃん゛、ゆ゛っぐい゛がん゛ばっでね゛!!!」 いや、消したいならゆっくりするべきではないだろう。 ここは土の上ではなく父の口内なのだ。ローリングするたび父の舌に火が燃え移り勢いを増していく。 早く転がればなんとかなったかもしれないがスローが信条のゆっくりでは勢いが増す一方である。 「も゛も゛も゛も゛も゛も゛も゛も゛も゛も゛も゛も゛も゛も゛も゛も゛も゛も゛も゛も゛も゛も゛」 「でい゛む!!!ゆ゛っぐり゛がん゛ばっでね゛!!!」 「ばり゛ざ!!!ゆ゛っぐり゛じよ゛う゛ね゛!!!」 不気味な音を出す父ゆっくりと涙目になりながら応援することしかできない母ゆっくり。 双方の家族はほとんど同じ状態であった。 先程も言ったが両親共に既に火がついている。 内から外から焼かれて父は非常に苦しそうである。 出来ればその光景を見たかったが入り口を封鎖してしまったので見られないのが残念だ。 それにしても母ゆっくりは無能だなと考えていると 「れ゛い゛ぶ!!!い゛ま゛ゆ゛っぐり゛ざぜであ゛げる゛がら゛ね゛!!!」 「ま゛り゛ざがべろ゛べろ゛じで、あ゛づい゛の゛げじであ゛げる゛がら゛ね゛!!!」 言動からして父ゆっくりの火を舐めて消すつもりのようだ。無能を超越したバカ発言に思わず笑いをこらえきれなくなった。 「あ゛ぎゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!!」 「ばり゛ざの゛べろ゛があ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!! 当然の結果です本当にありがとうございました。 舌に火が燃え移りのたうち回る双方の母ゆっくり。 俺もあまりのバカっぷりに爆笑しながら転げ回る。 それにしてもゆっくりの全身燃えやすすぎだろ。ダンボールのうーパック程ではないが。 「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぢゅいよ゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!!!!!!」 「ゆ゛っぎゅり゛じだげっががごれ゛だよ゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!!!!!!」 「も゛っどゆ゛っぐい゛ぢだがっだあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!!」 「い゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!ゆ゛っぐぢぢだい゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛!!!!!!」 思い思いの断末魔を上げる子ゆっくり。 巣の中口の中にいるというのにここまでキンキン響く声で叫んでいる。 ゆっくりの基本音量は高いのだ。だから管を差し込んだだけで全部筒抜けなのである。 「ぼっぼっぼっぼっぼっぼっぼっぼっぼっぼっぼっぼっぼっ」 口の中から聞こえた断末魔に滝のような涙を流しながら奇怪な音を発し続ける双方の父ゆっくり。 それでも声を上げないのはまだ子供達が助かると信じているのだろう。 自分自身も半分火ダルマになりつつあるというのに。 母ゆっくりはというと燃え上がった舌を出したまま白目を剥いて気絶…いや、もう死んでいるのかもしれない。 炎が全てを飲み込むまでそれほど時間はかからなかった。 箱詰め共はというと。 「「ゆっゆっゆっゆっゆっゆっゆっ」」 …あまりのことに失神しているようですね。 ザー 通り雨だ。傘を持ってきているので濡れる心配はない。 雨が上がる頃にはあれほど派手に燃え上がっていた火は完全に消え、目の前に立っていた木は倒れ、燃え尽きていた。 さっそく巣の様子を見る。木がないので上から簡単にのぞくことができる。 当然箱詰め共も一緒だ。 中には二匹セットの黒ずんだ「何か」があった。 もう一本の木の中も同じであった。 言うまでもないがこれは親ゆっくり達の亡骸である。 真っ黒で見づらいが、表面は焼けただれ、開けまいと必死だった口は溶けて癒着している。白目を剥き、絶望と苦痛の表情だった。 母ゆっくりの方はアホみたいに口を開けたまま死んでいた。舌は完全に燃え尽きて炭になっている。 ちなみに全員装飾と髪が燃え尽きハゲ饅頭と化していた。 「ゆっ?おにいさん、これなに?」 「ゆっくりできるもの?」 脳天気に俺に問いかける箱詰め。 「お前らのお父さんとお母さんだよ」 「「!!!!!!!!」」 俺は正直に答えた。 箱詰め共は驚愕の表情で固まった。 ゆっくりはその装飾で個体を見分けると聞く。装飾の無いゆっくりは迫害の対象になるらしい。 だがそれはゆっくりずむにそまった個体間での話だ。スタンダードは装飾など問題ではなくちゃんとした仲間内での認識ができる。 だからこいつらは理解できた。目の前のこれらが自分達の両親だということを。 「お゛があ゛ざあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ん゛!!!お゛どう゛ざあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ん゛!!!」 「ゆ゛っぐり゛じでっ!!!ゆ゛っぐり゛じでい゛っでね゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛!!!」 全身から体液を撒き散らしながら絶叫する箱詰め。箱の中に水溜まりが出来はじめている。 とりあえず収まるまで待つことにする。 「ゆ゛っゆ゛っゆ゛っゆ゛っ…おとうさん、おかあさん、おそらのうえでゆっくりしていってね…」 「まりさたちが、おとうさんたちのぶんまでゆっくりしてあげるね…」 両親との別れは済ませたらしい。 「これからは、れいむがちびちゃんたちのめんどうをみてあげなくちゃね…」 「ゆ…まりさもちびちゃんをゆっくりしたこにそだててあげなくちゃ…」 ………… 俺は双方の父の亡骸の後頭部に蹴りを入れる。 すると蹴った部分が崩れ、中から同じく黒ハゲ饅頭と化した妹達が出てきた。 「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!!」 「ぞん゛な゛っ…!!!ぢびぢゃん゛…!!!どお゛じでえ゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛!!!!!!」 今度は一発で認識できたらしい。 父の守護の甲斐あってか妹達は両親より表情がはっきりと見えた。言うまでもなく全員がこの世のものとは思えない苦痛に歪んだ表情だった。 れいむとまりさは先程の光景を思い出していた。 双方の家族が、楽しくお食事会をしていた時のこと。 自分の妹達が楽しくはしゃぎ回っていたこと。両親達が楽しくおしゃべりをしていたこと。 美味しそうに木の実を頬張っていたこと。名残惜しそうにお別れの挨拶をしたこと。 さらに記憶をさかのぼっていった。 れいむとまりさはそれぞれの両親から人間型出産で生まれた。 その後両親からたくさんの愛を受けゆっくりと育っていった。毎日れいむ(まりさ)と遊べる時間を楽しみにしていた。 生まれて一ヶ月が過ぎて、両親が植物型出産で双方五匹の妹たちを授かった。 一緒にいられたのはほんのわずかな時間だった。「独り立ち」する時期だったから。 でもその間めいっぱい妹達をかわいがった。「おねーしゃん」と呼ばれたのが嬉しかった。 いつの日かおうちでまた一緒にゆっくりしようねと約束した。 「これで君達の「おうち」は無くなっちゃったね!!!これからはお兄さんと一緒にゆっくりしようね!!!」 「「う…うあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!」」 なのに、全て失ってしまった。 ただおにいさんもゆっくりしてほしかっただけなのに。 両親の言いつけを破って人里に降りた結果がこれだよ。 「あっちのほうにいっちゃいけないよ!!!ゆっくりできなくなるよ!!!」 「「どうして?」」 「ゆっくりできないのがいっぱいいるんだよ!!!」「まりさたちのおともだちはみんなゆっくりできなくなっちゃったよ!!!」 「「ゆっくりはゆっくりどうしでゆっくりしてるのがいちばんだよ!!!」」 「おかあさんたちはあんなこといってたけど、きめつけるのはよくないよね!!!」 「もしほんとうにゆっくりできないのなら、まりさたちがゆっくりさせてあげようね!!!」 …両親の言うことは正しかった。 「あっちのほう」にはゆっくりできないのが、ほんとにいた。 その後、不審火の通報を受けた警察がやってきた。 俺は「悪いゆっくりを駆除するためにやった」と言った。 巣の中の亡骸を確認した警察は納得してくれ、おとがめなしとなった。 日頃の行いってやつは大事だね。 俺は完全に放心しているゆっくり共を連れ帰った。当然箱の中だ。 ゆっくりずむに染まったゆっくりなら精神崩壊を起こすか俺に復讐心を剥き出しにするだろう。 だがこいつらは「ゆっくり」していた「スタンダード」だ。どちらも起こりはしない。…今は。 とりあえずプランの第一段階はクリアした。 さてと、次のステップに移るとするか。 続くだろうね 作:TOSSY 前回が割と好評っぽかったので調子に乗って第二弾です。 火なんて扱ったことはあまりないのでいろいろおかしい部分があるかと思われます。 じゃあなんでこんな話にしたのかというと「おうち」を眼前で消し去る様を書きたかったからです。 また、れいむとまりさの一家がそれぞれ別の巣(お隣)に住んでいるという表現がうまくできませんでした。 fuku2016で前回のネタを絵にしてくれた方、ありがとうございます。 あの絵を見て「もっと痛めつけておけば良かった」と後悔してますw このSSに感想を付ける 選択肢 投票 しあわせー! (21) それなりー (3) つぎにきたいするよ! (2) 名前 コメント すべてのコメントを見る 死ねヨダニゴミ人間 -- (名無しさん) 2019-08-05 04 26 03
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/4788.html
「ゅ・・ゆう・・」 目がさめたまりさ。人間に抱えられ森の中を移動していた。 先頭には犬がおり、犬は地面に鼻をつけながらヒクヒクさせ、ゆっくりと進んでいた。 人間は犬の後をひたすらついていく。 「おや、やっと目が覚めたか。お前の家族にもたっぷりと痛い目に遭わせてやるからな。楽しみにしてな!」 「ゆ・・ゆぅ・・」 寝ぼけているまりさだが、周囲を身体をよじって見回すとそこはまりさがよく目にする風景であった。 「ゆ゙う!!」 家が近いことに気がついたまりさ。 (このままじゃおうちが見つかっちゃうよ!ゆっくりできなくなっちゃうよ!) 「ま・・まりさの家はこっちじゃないよ!あっちだよ!」と巣は別の方向にあると告げる。 「そうなのか。でもカツオはこっちだと言ってるみたいだぞ。」 「ゆゆ!ちがうよ!そっちには何もないよ!その馬鹿犬は早く死んでね!ゆぎゃ!!」 男はまりさの頬を指でちぎった。ちぎられたところからは餡子がうっすらと漏れる。 「ゆぎゃああああああいだいいいいいいい!!!」 「カツオの悪口を言うなんていい度胸だね。君の家族たっぷりいたぶってあげるから感謝してね!!」 といいながら歩きながらまりさの顔を軽く殴り続けながら犬の後を追う。 ウォン!!とカツオが吠える 視界の先には大きめな朽ちた木があり、いかにもゆっくりが巣にしそうな感じがした。 「あそこか」といい男は歩みを速めた。 「ぢがゔよ゙おおおおおおお!!!そっぢじゃないよ゙おおおおおお!!馬鹿な人間さんはしねえええええええええええ!!」 まりさは泣きながら叫ぶ。男の抱える手がまりさの温い涙でぬれると、不快なのでまりさをその場に放り投げた。 「家族が痛い目に遭うけど今なら逃げれるよ。逃げたら君の分まで家族が痛い目に遭うけどね」 と言い残し、男はその巣と思しき朽ちた木へ走ってゆく。 「やべでえええええええええええええええええ!!!!!!!!!」 男の後ろかまりさの叫び声が聞こえた。 森の奥にある朽ちた木の中に、ゆっくり一家がいる。 この一家の構成は親れいむとまだあかちゃん言葉が抜けていない野球ボールサイズの子れいむが2匹、子まりさが2匹である。 親れいむの頭には蔦が生えており、そこには赤ゆが3匹実っていた。 「ゆっゆー♪」 「ゆっきゅりまっちぇにぇ」 「ゆっきゅりちゅかまらないにょ!」 しかしれいむは少し暗い顔をしていた。それもそのはず、夫であるまりさは昨日、狩りにいくと巣を出て行ってから帰ってきていないのだ。 (ゆぅ・・帰ってくるのおそいよまりさ・・・とっても心配だよ・・・・・これじゃゆっくりできないよ・・・) しかし元気でゆっくりとした子ゆっくりを見て 暗い気持ちが不思議と、とてもゆっくりとしたものに変わってゆく。これも前向きなゆっくり故の性であろうか。 「ゆゆっ!とってもゆっくりしたおちびちゃんたちだねっ!ゆっくりしていってね!」 「「「ゆっきゅりしちぇいっちぇにぇ!」」」 いつものゆっくりとした挨拶を交わして一家はより笑顔になる。 「まりしゃおちょうしゃんはまだかえってこにゃいにょ?」 「れいみゅはやきゅまりしゃおちょうしゃんにあいたいょ」 子ゆっくりたちが親れいむに泣きそうな顔で聞いてきた。 急に巣の中は沈黙が支配した。はしゃいでいた子ゆっくりも泣きそうな顔をしていた。 「ゆぇーん ゆぇーん おちょうしゃんにあいたいよー」 一人が泣いたのをきっかけに子ゆっくり4匹は泣き始めた。 「「「「ゆえーーん ゆえーん ゆえーん」」」」 「泣かないでねおちびちゃん!ゆううう・・・まりさはすぐ帰ってくるよ!」 まだ意識のない実ゆっくりもそれを聞いて悲しそうな顔を浮かべていた。 (このままじゃいけない!ゆっくりできないよ!!まりさが居なくて不安だけど母親であるれいむがなんとかしないと!) 親れいむは心配で泣いている子ゆっくりを慰めるために 「ゆっ! まりさがそろそろ狩りから帰ってくるからね!きっとおいしいごちそうを 持ってきてくれるからね!あまあまもあるよ!そしたらゆっくりご飯にしようね!」 「「「ゆゆっ!ごちしょう!?あみゅあみゃ!!?」」」 子ゆっくりは泣き顔から一転して、みな笑顔になった。 子ゆっくりたちは滅多に食べることのできない甘いものは大好物なのだ。それを想像するだけで一日中ゆっくりできる。 「わーい!れーみゅあまあまだーいしゅきー!」 「まりしゃもまりしゃもー!」 「それじゃまりさが返ってくるまで一緒にす~りす~りしながらおうたさん歌おうね!ゆ~ゆゆ~~ゆっくりしていってね~~おちびちゃ~ん~」 「「「ゆ~ゆゆ~ゆっきゅりしちぇいっちぇにぇ~~」」」 す~りす~りしながら歌うと身体の奥底が暖かい気持ちになる。子ゆっくりのふにっとした感触の肌にす~りす~りはまた格別だ。 「「しゅ~りしゅ~り」」 おちびちゃんたちもとってもゆっくり出来ているようだ。れいむもとってもゆっくりできる。 きっとまりさは元気な姿で帰ってくるはずだ。こんなにかわいいおちびちゃんとれいむを残して帰ってこないはずはない。 親れいむはそう信じてまりさの帰りをまった。 ふとその時、ガサガサという音を耳にした。 「ゆゆ?」 「なんにょおちょ?」 「おとうさんが返ってきたんだよ!みんな挨拶をするんだよ!ゆっくりしていってね!」 「「「ゆっきゅりしちぇいっちぇにぇ!!」」」 巣の前のバリケードがどかされ光が巣の中に差し込む そこから見えたものはいかにもゆっくりできなさそうな悪意に満ちた笑顔の「人間さん」とゆっくりの天敵である「犬さん」だった。 「ゆっくりしていかないでね!!!!!!!!!」 人間は大きな声で、怒鳴るような声でゆっくり一家に叫んだ。 ぜんぜんゆっくりできない、悪意のたっぷり籠った「ゆっくりしていかないでね」に 一匹の子れいむは泡を吹いて気絶した。 「にげてえええええええええ」 親まりさは泣きながら男の後を全力で追いながら、遠くから叫んだ!遠くから叫んだまりさの声を聞いて親れいむはまりさは今まで人間さん 捕まっていたのだと確信した。親れいむは気絶した子れいむを舌でからめ捕り口の中に収めた 「みんなおかーさんの口の中にゆっくりしないで入ってね!」 子ゆっくりたちはみんな親れいむの口の中へ入ってゆく。 人間はそれをみながら何もしない。むしろ全員入るのを待っているかのようだ。 子ゆっくりをみんな口に収め、親れいむは少しだけ安堵する。 (これで子供たちには危害が加えられないよ。あとはまりさを返してもらうだけだよ・・) そう考えいたとき人間の手がれいむの頭に付いている茎をつかみ巣の外へ向かって引っ張られる 「ん~~~~~~~~!!!!!」 口に子ゆっくりを納めているので「やめてね!」などはっきりとした拒絶の言葉がまったく出せず、れいむは茎がちぎれるのを恐れ抵抗せず外へ引きずり出された。 子供を口に含んだ親れいむと巣までようやくやってきた親まりさは麻袋に詰められ人間の家に持って行かれた。 麻袋へ入れられ運ばれている最中まりさの絶望の泣き声が聞こえた。 「ごべんでえええええええええ!まりさが!!まりさが!!つかまったせいでえええええええええ!!」 自宅へ帰り、暖炉に火をつける。それから麻袋から入れたゆっくり手でつかみ床に置く。 親れいむだけは実がついているのでとても慎重に。 親まりさは放り投げるように。 「ゆっくり痛いよ!謝ってね!」 れいむは4匹の子ゆっくり(子れいむ×2 子まりさ×2)を木の床に全部吐き出し、人間に向かい謝罪を要求していた。 人間はれいむを無視し、素早く床に置かれた一匹の野球の球サイズの子れいむを手に取った。 子ゆっくり独特のふにっしたさわり心地はまるで女性の乳房を彷彿とさせる。 子れいむはこんな状況なのに男が遊んでくれると思っているようで、下膨れの顔で「おしょらをちょんでるみちゃい~♪」 と呑気な事を言っていた。他の子ゆっくりは「れいみゅ「まりしゃ」も~」と言っている。 「ゆっ!かってにかわいいおちびちゃんに触らないでね!触りたいならあまあ「これから君たちに制裁するよ。 とってもとっても苦しいよ!ゆっくりたっぷり堪能してね!」」 「ゆゆ!?」 親れいむの言葉を無視し、男は子ゆっくりに対し虐待宣言をした。 子供への危険を感じたのか親まりさと親れいむは「ゆっくりやめてね!おちびちゃんを離してね!」と言いながら人間に向かっていった。 人間の足の膝や腿にポスンッ ポスンッ 親ゆっくりが体当たりした。 「大丈夫だって、すぐに終わるんだからこんなものは!」 男は子れいむを自分の頭よりも高く振りかぶり、 「ゆゆ~ん おしょらをちょんでるみちゃ「ブンッ!」」 ビタン! 「ゆびゅ!!」 顔面から固い床へ熱いキスをかました子れいむ。 本来球体をしているゆっくりの形は歪められ平べったくなっている。 一瞬親れいむは子れいむの身に一体なにが起きたのかわからなく、思考が停止していた。 「・・・お・・お・・・かわいいおちびちゃん!!ゆっくり!!ゆっくりしていってねえ!」 親れいむは心配そうに叩きつけられた子れいむにゆっくりしていってねと言った。まりさは心配そうにその子れいむを見つめていた。 子れいむは無言だった。生まれて初めての、他者から加えられた痛みにどのように対処していいのかわからなかった。 子れいむにとって痛み自体は初めての経験ではなかった。今まで巣の中で転んだ時など本当に短いゆん生の中ではあるが痛みを経験したことはある。 しかし、今回のそれは今まで経験した痛みの中でも別次元の痛みであった。 身体の餡子全体を強く不快な衝撃が駆け巡り、痛み、視界の揺れ、吐き気、恐怖、それらがごちゃ混ぜになったものが子れいむを支配した。 いわゆる「餡震盪」状態である。これは特に吐き気と視界の揺れがひどい。 人間も親ゆっくりも別の子ゆっくりも子れいむをじっと無言で眺めていた。 チョロロロロロロ・・・・・ しーしーを無言で流す子れいむ。 そのうちフルフルと震えながら少しだけ床とくっついた顔をゆっくりと起し、張り裂けるような泣き声を上げた。 「ゆびゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!! いじゃいよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!! きぼぢわ゙りゅ゙い゙よ゙お゙お゙お゙お゙おおおおおおおおおおおお!!!エレエレエレエレ!!」 男はその泣き声を聞き、ニッコリとし、無言でその泣き叫ぶ合間に吐いたりしている子れいむを掴もうと手を伸ばした。 手が子れいむを掴もうとする寸前、親れいむと親まりさがその手に噛みついた。 怒りの形相を浮かべ、男の手と腕に噛みつく親ゆっくり。 「ゆっくりやめてね!!! くそじじいはゆっくりしねええええ!!」 「まりさの本気を思い知ってね!!怒ると怖いんだよ!!正面からたたかえば負けないよ!!!」 親ゆっくりの噛みつく力は思いのほか強く、痛かった。男は無理やりそれを引きはがし、 ゆっくり虐待用の透明なケースに二匹を強引に一緒に詰め蓋をした。 手を見てみるとゆっくりの歯型が手に付いていた。少し赤く腫れている。明日あたりアザになるかもしれない。 ゆっくりを入れたケースを見てみるケースは暴れるゆっくりのせいでガタガタ揺れていた。 しかし、奮発して高いケースを買っただけあって、ゆっくりが暴れてもビクともしない。 (親を痛めつけるのは子をやったあとだな・・) 気を取り直して再度そのいまだ泣き続けている子れいむを掴みあげる。 掴まれたことに気がついた子れいむは、また痛いことをされるのだと思い必死にその丸いからだをよじり、男の手から何とか離れようとする。 子れいむのアゴのあたりからしーしーがプシュ!と噴射したり、大泣きによる、涙や人間でいう冷や汗に相当するなぞの体液 などにより子れいむはぬるぬるのまんじゅうと化した。まるで鮎などの川魚のようにぬるぬるである。本当に・・・気持ち悪い。 男は子れいむ自身のぬめりで滑り落とさないようにしっかりと子れいむを掴みあげて、先ほどと同じように投げる態勢を取る。 「やじゃあああああああああああああああああ!はなじでええええええええええ!! おきゃあしゃあああああああん!!おちょうしゃあああああああああん!!たしゅけ「ブンッ」 ゆびゅ!!」 再度床に叩きつけられた子れいむ。先ほどのような悲鳴や泣き声はない。 「ゆ・・・・ゆ・ゆ・・・ゆええええん・・・おきゃあしゃああああん・・・・・」 それから何度も子れいむを持ち上げては床に叩きつけた。 床が子れいむの体液で汚れる。今度はうんうんまでしている。 しかし、それを見て男は不快に感じながらも、子れいむを掴んでは投げるを繰り返し行った。 何度も叩きつけられた子れいむは痙攣していた。 「ゆ゛っゆ゛っゆ゛っゆ゛っゆ゛っゆ゛っ」 男は子れいむが痙攣しても何度も投げつけた。 ビタン!!「ゆ゛っ!」 ビタン!「びゅ!」 ビタン!!「ゆ!!」 ビタン「・・・!!!」 子ゆっくりだからといって、加減する必要はまるでないから。ゆっくりは情けなどかけるに値しないと信じ切っている。 「やべでえええええええええ!!!おちびちゃんがしんじゃうううううううううううう!!!!?」 「ゆびゃあああああ!!こわいよおおおおおおお!!おきゃああしゃあああああん!!」 それをずっと見ていた子ゆっくりたちは醜い形相で泣きながらしーしーやうんうんを垂れ流していた。まったくもって醜い饅頭であると男は思った。 親ゆっくりにいたってはひたすら男に対し、死ねだとか殺すだとか泣きながら唾を吐き散らしながら言っている。 さすがにこれ以上やると死んでしまうかもしれないと思って男は子れいむを叩きつけるのをやめた。 しばらくすれば子れいむの痙攣状態は治るだろうと思い、男はまだ虐待していない子れいむに手を伸ばす。 「ゆびゃあああ!こにゃいじぇええ!!」 しーしーをブシュ!っと噴き出しながら子ゆっくりたちは自分が今度は痛い目に遭わされると思い散り散りに逃げる。 子ゆっくりである子れいむが人間から逃げられるはずもなくあっさり捕まった。 そして先ほどの子れいむと同じことをされた。それが終わったら子まりさ二匹にも同じことがされた。 子ゆっくり4匹は痙攣が収まった後もフルフルと怯え、震えながら泣いている。 「さてとそろそろ本番いきますかね」 鉄の棒を用意し、火のついてる暖炉にくべる。 親ゆっくりたちはその火にくべられた鉄の棒で男がゆっくりできないことをすると思い一層ケースをガタガタ揺らした。 男は最初に叩きつけた子れいむを取ろうとしたが、どっちが最初に叩きつけた子れいむか判別がつかないので、 適当に子れいむを選んで掴みあげた。 そして、子れいむをアゴについている小さな未成熟なまむまむに、その男のでかい体格に見合った太く長い人差し指をあてがい、 ブジュリ! 一気に人差し指の第二間接まで突っ込んだ。 「ゆびゅゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔうううううううううううううううう いじゃい゙よ゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙おおおおお」 子れいむはその小さな体からは想像できないような大きな声で泣き叫んだ。 子れいむはショックのあまりムリムリムリと音を立ててうんうんをした。 無理やり開かれたまむまむは人間の指の太さに耐えきれず痛々しく広がりそして所々裂けている。 裂けた場所からは液状の餡子が滲み出している。 「なにじでる゙の゙お゙おおおおおおおお!!?」 「そんなことしたら子供が産めなくなるんだよお!!?」 「ゆっくりは子どもなんて生まなくていいと思うんだ。気づいていると思うんだよなあ」 男はその突っ込んだ指をぐりぐりと掻きまわす しかし、決して子れいむを殺さぬように穴を広げ苦痛を与えた。 「ゆびゃあああああああああああ!!!?おきゃーしゃんたじゅげでええええええ!ゆ゛っ・・ゆげぇ・・ゆぶぇ・・」 痛みのあまり餡子を吐いた子れいむの口に餡子を戻してやり、死なないように苦痛を与え続けた。 吐いた餡子はすぐに戻してやれば子ゆっくりといえども死ぬことは少ない。 男は指を引き抜くと餡子が滲み、裂け、痛々しいほど大きく開きっぱなしになったまむまむがあった。 子れいむの身体は全体的に黒く滲み始めた。肉体的ダメージと精神的ダメージを与えすぎたようだ。このまま放っておくと死んでしまう可能性がある。 男は子れいむの口に砂糖を入れさらに甘くした冷たい甘酒を流し込んだ。 無駄に生命力の高いゆっくりは痛めつけた後、甘い物を身体に入れると死ぬ可能性は大幅に減る。この程度なら子ゆっくりとはいえまず死なないだろう。 子れいむは本来なら「ゆ~~~しあわしぇぇぇぇ~~!!!」と言うくらい美味と感じる甘酒を飲んだにもかかわらず 「ゆ・・げぇ・・」としか言わなかった。 ここで「しあわしぇ~」などと言ってしまえば男の神経を逆なでして殺されていたかもしれない。 ボソッ 「気づいてると思うんだよなぁ」 別の子れいむにも同じことをしようと手を伸ばした 「ゆびゃあああ!!!こにゃいじぇええええええ!!」 子れいむは泣き喚きながらアゴのあたりからしーしーを噴射させた。 「きたないねえ・・もうお前らの事まんじゅうって読んだら饅頭に失礼だなほんと」 別の子れいむにも同じことをする。この子れいむもさきほどの子れいむに負けず劣らずのとても大きな声で泣き叫んだ。 そして男は小さな声で「気づいていると思うんだよなあ」とブツブツと何度も言いながら次々に別の子ゆっくりに同じ事を行った。 親れいむと親まりさはそれは泣き叫びながら見ているしかなかった。 「ゆ゙ぎゃああああああああああおきゃーしゃんたずげでえええ!!!」 「やべでええええええ!おちびちゃんにひどいごどじな゙い゙でえええええ!」 「ごろ゙ず!ごろ゙じでや゙る゙ううううううううう」 処置の終わった4匹の子ゆっくりは餡子のにじんだ、だらしなく十円玉がすっぽり 入るくらい広がりきりきったまむまむになっていた。 まむまむの近くにあるあにゃるも無事では済まず、4匹ともその部分にはただ大きな穴があるだけになっていた。 それぞれの子ゆっくりは焦点が合わない目で泣き、親ゆっくりはそれを見ながら震えながら泣いていた。 「ゆひゅーゆひゅー・・おきゃーしゃん・・・いじゃいよ゙お・・」 「どうじで・・・たしゅけちぇくれぇなきゃっちゃの?・・」 「ゆえーん・・ゆえーーーん・・」 「ゆ゛っ・・ゆ゛っゆ゛っ・・・・・ゆ゛っゆ゛っ・・ゆ゛・・」 痙攣している子ゆっくりもいた。おそらく餡子を流しすぎたのだろう。 「もうそのまむまむは使い物にはならないと思うんだ。本人も気づいていると思うんだよなあ」 子ゆっくりも親ゆっくりもなぜ自分たちはこんな目に遭わなければいけないのか なぜこんなにも理不尽な仕打ちを受けなければならないのか考えていた。 親れいむは泣きながら怒鳴るように口を開いた。 「どぼじでごんなごどずるのおおお!!!?もうあかちゃんつくれなくなっちゃったよおおおお!!?」 「あかちゃんなんてつくらなくていいよ。存在が無駄なくせして何考えてるの?馬鹿なの?」 「どぼじでぞん゙な゙ごどい゙ゔの゙お゙お゙お゙お゙お゙おおおおおおおおおおおお!!!?でいぶたちは無駄じゃないよおおお!!?」 「無駄だよ糞饅頭。ゴミ以下だお前らは。この現実が嫌ならお互いをかみ殺して自殺しろ」 それから男は子ゆっくり達の帽子とリボンを「じゃま」と言い、奪った。 「おぼうしさんをきゃえしちぇにぇ・・」 「ゆっくちかえしちぇ・・ゆっきゅりできにゃいよ・」 「かえしぇ・・!くしょじじい・・・!!」 子ゆっくりたちはまむまむへのダメージが大きいらしくさっきまでの大声は出てこなかった。 そして、火にくべ、熱により赤く光っている鉄の棒を、さきほどの広がりきったまむまむへあてがい、突き刺した。 ジュウゥゥゥといい音がした。そして甘い匂いが部屋中に広がる。 「ゆぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!」 あまりの大きな子れいむの悲鳴に「ぴぎゃあ!!」「ゆびゃあ!!?」とほかの子ゆっくりも声をあげ、しーしーをプシュッ!!と噴射させた。 「気づいていると思うんだよなあぁ」 といって男は焼けた鉄の棒で子ゆっくりの体内にグリグリと押しつける。 「ゆゆゆゆゆゆぎゃああああああああああああ!!!」 たまらず親も泣きながら声を上げる。 「おちびちゃああああああああああああん!!」 「やめてえええええええええええええええ」 そして男は棒を引き抜いた。鉄を入れられた子れいむは痙攣しているだけであった。 「ゆ゛っゆ゛っゆ゛っゆ゛っゆ゛っゆ゛っゆ゛」 「まりしゃのいみょうとが・・・」 子れいむのまむまむが炭化して真っ黒になっていた。 もうこの先のゆん生で胎内を使った出産をすることは絶対に出来ないだろう。 気を失い、黒く炭化し、広がりきったまむまむをした子れいむを親れいむに見せつけるようにしたあと 「さっきおまえはかわいいって言ってたよね?これでもかわいいと思える?」 「ゆゆ!!?あたりまえだよ!そんなこともわから「ならこれでどう」」 男は体液でぬるぬるの子れいむを鉄製の火箸でつかみ、暖炉の火であぶった。 気絶から覚めた子れいむは「ゆ゙!!」と声を上げた後また気絶した。 ジュウウウウウウウと心地よい音がする。 男は子れいむは髪の毛がすべて焼けおち、全身がくろっぽくなったところで火であぶるのをやめた。 焼かれた子れいむの表面はもはやぬめりがなく、カチカチになっており、焼く前のふにっとした感触が嘘のようだった。 もうこの子れいむは一生満足に動くことができないだろう。 黒っぽいハゲ饅頭となった子れいむを親ゆっくり達に見せつける。 「どぼじで・・・どぼじでごんなひどいごど・・・」 「ゆ・・おちびちゃん・・?・ゆ・・・ゆ・・ゆえええええん ゆええええええん おちびちゃああああんん!!」 子れいむを見た親れいむは泣きだしてしまった。どうやらこの子れいむはいい感じにかわいく無くなったようだ。 男は手早くつぎつぎと別の子ゆっくり達に同じことをしてゆく。 子ゆっくりたちはみな黒っぽいコゲまんじゅうとなってしまい、親ゆっくりにはどれがれいむ種かまりさ種かの区別すらできなくなった。 子ゆっくり達は、みんなもう満足には動くことができないだろう。 子ゆっくり達の未来はたった今断たれたのだ。この人間に。 そんな子ゆっくり達をみて親れいむは「どぼじで・・どぼじで・・」と何度も呟いていた。 親まりさは「かわいかったおちびじゃんだじがああああ!!!ぼどにぼどじでよ゙お゙お゙お゙お゙お゙!!!」と叫んでいた。 「めでたく「おちびちゃん」は君たちのお墨付きをもらってかわいくなくなったわけだ。こんなゴミ饅頭いらないよ。返すね。」 男は焼け饅頭となり、ブルブルと震えているだけの子ゆっくりを掴み、親のいるケースへ投げ込んだ後、部屋の電気を消して男は部屋から出て行った。 暗くなった部屋でしばらく親ゆっくりの泣き声が聞こえた。子ゆっくりは泣く元気すらないようだ。 深夜 「ゆぅぅぅ・・おちびちゃん・・ゆっくりしていってね・・」 まだ眠れないゆっくり一家。 「・・・・ゅぅ・・」 もうゆっくりしていってねと返す気力もないのだろうか。子ゆっくり達の反応はあまりない。 「すーりすーり・・」 「ゆびゃああ!!いじゃいよお゙お゙・・・やめじぇええ」 親れいむにひどい火傷の痕にすりすりをされ子れいむは悲鳴を絞り出す。 「ゆゆ・・おちびちゃんごめんね・・ぺーろぺーろしてあげるね」 「ゆびゃあ!やめちぇね・・・いちゃいよ・・・」 「ゆぅ・・ゆっくりしていってね・・・」 何をしても子ゆっくりたちは痛がってしまう。そして子ゆっくりたちにはりぼんや帽子がない。 それはより子ゆっくりをゆっくりできなくさせる。 れいむは「ゆっくりしてね」とだけいい、夫であるまりさに寄りかかった。 まりさはあまりの出来ごとに満足にゆっくりとした反応ができなくなっていた。 しかしここで弱気になってしまってはれいむを、おちびちゃんたちを不安にさせてしまう。そんなのはゆっくりできない。 「ゆっ まりさはだいじょうぶだよ!ゆっくりしようね。おちびちゃんたちもきっとすぐに元通りになおるよ!」 まりさは気丈にふるまう。それを聞いたれいむと子ゆっくりは少しだけだがあったかい気持ちになった。 これが、その気持ちこそが「ゆっくり」だ。ゆっくりしたい。 今日はゆっくりできなかったけど、明日はきっとゆっくり出来る。なぜなら自分たちはゆっくりだから。 自分がゆっくりできなくて、どうして子供たちがゆっくり出来ようか。これから生まれてくるあかちゃんのためにもゆっくりしよう。 きっとあのゆっくり出来ないにんげんさんも、これからもうすぐ生まれてくるあかちゃんを見たらゆっくりできるはず。 暗い中、自分から生えている実ゆっくりをみて、ニッコリと笑い、そう信じてれいむは目を閉じた。 「みんな・・ゆっくりしようね・・」 「「「ゆっきゅりしようにぇ・・・」」」 「・・・・・ゅ・ぅ・・」 子ゆっくりは全身火傷で身体が痛くて眠れなかったが、朝方になりようやっと眠れるようになった。 次の日、男は気配を殺して寝ているゆっくりの前に立っていた。 ゆぅ・・・・ゆぅ・・ ゆぅ・・ゆぅ・・いじゃい・・・ゆぅ・・ (昨日あれだけの目に遭わされたのに全員ぐっすり寝ていやがるな・・・特に子ゆっくり・・あれだけやったのにまだまだ 元気そうだな・・・ん・・・?) れいむから生えている蔦に実ゆっくりが三つ。どれもプチトマトサイズである。それらは昨日よりも明らかに大きくなっている。 (餌は与えていないのに成長しているとなると、まりさの帽子の中に保存食でも入っていたのかな) じっと実ゆを見つめる。実ゆはまりさ種1 れいむ種2の構成であった。実ゆはゆっくりに特徴的な下膨れの顔で眠っている。 たまに目を閉じたまま、まぶたの下にある眼球を動かしたり、「ゅ・・ゅ・」と言ったり、プルプルと身体を振動させたりしている。 (ほんとにかわいくないな・・見ていて不快だ・・絶滅すればいいのになこいつら・・・・) 男は呆れ顔で実ゆを見つめた後、大きく息を吸い込み、大声で、それも全力で 「ゆっくりしないでね!!!!!!!!!!ゆっくりするなああああ!!!!!!! ゆっくりしてんじゃねえええ!!!!!!オラああああああああああああああ!!!!!!!ムカつくんだよその寝顔おおお!!!!!!!!」 と叫びながら、ケースを全力でガッタンガッタンガッタンガッタンと揺らした。 親や子ゆっくりたちはケースの中の内壁になんどもビタンビタンビタンと顔を打ち付け「ゆううううう!!!」と言い泣き顔になっている。 「「「ゆびゃあああ!!」」」プシュ!!「ゆっくぢできにゃいいい!!!!」 全員起きてくれたようだ。子ゆっくりは驚いたあまりにしーしーを噴射させた。 蔦の先のほうに付いている実まりさと実れいむがケースを揺らした際、れいむの顔とケースの内壁に挟まって潰れ中身の餡子が飛び出している。 潰れた実ゆっくりは目を開き苦悶の表情を浮かべている。すぐに絶命するだろう。 実ゆっくりとは言え楽に殺すべきではなかったかなと思いながら潰れた実ゆっくりと見つめる。 「ゆびゃあああでいぶのあがちゃ「朝ごはんの時間だよ。いまから朝ごはんをあげるからゆっくりしないで選んでね。」」 れいむの言葉をさえぎり朝ごはんである旨を伝える。 そして男はれいむ一家が入れてあるケースの前の床に、ごはん、卵焼き、味噌汁、焼き魚、漬物を置いて、 「いただきます」と言い、朝食を食べ始めた。 「ゆ・・?まりさたちに朝ごはんくれるんじゃ・・?おなかぺこぺこだよ!」 「「「おにゃかへっちゃよーおきゃーしゃーん」」」 「この卵焼きうめえええええええええええ!!!」 「ゆ゙ううううううううううううれいみゅ「まりしゃ」もたべちゃいいいいい!!」 男は子ゆっくりの生命力の強さにあきれながら、味噌汁を啜り、お椀と箸を床に置いた後、 「カツオに饅頭二個あげるから、いらない子饅頭二個選んでね あとその実ゆっくりは俺のだから丁重にあつかってね」 「ゆゆ!?なにいってるの!?赤ゆっくりはれいむたちのおちびちゃんだよお!!?それより人間さんはれいむたちにごはんくれるんでしょ? れいむたちはおなか減ったんだよ!さっさともってきてね!そのごはんさんでもいいよ!はやくしてねこのグズ!!」 「君たちのような無駄でゴミな存在にご飯を上げたら、食べ物に失礼だよ。俺が食べ終わるまでに選ばなければ勝手に選ぶからね」 とだけ言い、また朝食を食べ始めた。 「ゆんやあああああああ!!れいみゅのごはんがあああああ!!」「まりしゃの卵焼きがああ!!」 「ゆゅう・・どうしようまりさ・・・・」 この人間さんには話が通じないよ!と痛感し、まりさに助けを求めるれいむ。まりさは意を決した顔をし、男に言い放った。 「おにいさん。まりさたちは何も悪いことしたつもりはないよ。でもなにか悪いことをしたとしたらそれはまりさの責任だよ! れいむやおちびちゃんたちには関係ないよ!まりさは・・・・どうなってもいいから、れいむとおちびちゃんにごはんさんをあげてね。 それから森に帰してあげてね。」 「なにいってるのまりざああ!!?まりざがいないとゆっぐりできないよお!!?」 「「「おちょーしゃーん、いっしょにいたいよー!!」 「茶番は間に合ってるよ「ゆゆ!!?」吐き気がする。」 と、食事を終えた男は、ケースの蓋をあけ、親れいむの影にかくれ、ぷるぷる震えている子ゆっくり二匹をつかみ取った。 「ゆぎゃあああああ!!!!」 「おきゃーしゃーん!!たしゅけちぇえええええええ!!」 子ゆっくり(判別不法)にうっすらぬめりが出てきた。 「・・・・・・・・・・・ゅ・・・・・・ね!」 まりさが男が取り上げた子ゆっくりを取り換えそうとし、蓋の空いたケースから出て、男に飛びかかり、男の左手首に噛みついた。 男は右手には一匹の子ゆっくり、左手にはもう一匹の子ゆっくりを持っていたため、まりさを振りほどく事が出来なかった。 どうせ満足に動けない子ゆっくりなのだから床に置いて応戦すればいいのだが、男は気がつかない。 噛みつかれたまま、痛みに耐えて男は部屋をでて、庭までいき、全身火傷で大して抵抗できない子ゆっくりを犬の小屋の前に放り投げた。 「ゆぎゃ! 」「ゆぶっ!」地面に放り投げられ声を上げる子ゆっくりたち。 「おちびちゃん!!」 まりさはわが子を心配し、叫ぶと同時に噛みついていた男の手首から離れる。 (そこはとってもゆっくりできない気がするよ!助けないと!) そして、投げられた子ゆっくりの元まで跳ねて行こうとした瞬間 それは人間に邪魔された。 グシャ!!「ゆびゃあ!!」 真上からまりさの頭めがけて足を落とされ右目は餡子と共に飛び出て、歯が何本か砕けた。 その一撃でまりさは意識を失いかけたが、子ゆっくりの「ゆぎゃああああたしゅけておちょおしゃあああん!!」という悲鳴を聞き、意識を無理やり覚醒させられた。 犬小屋から出てきた犬(カツオ)は二匹の子ゆっくりの前に立っていた。そして、一匹の子ゆっくりに噛みつき、優しく、ゆっくりと食べていく。 噛みつかれ口に収められた子ゆっくりはまだ生きていた。カツオはあえて甘噛のみで子ゆっくりを食べた。 「ゆぶっ・・・たしゅ・・けちぇ・・おちょ・・ うしゃ ・・ゆびゃ・・ いちゃ い よお・・」 カツオはすぐに食い殺したら、つまらない。数日ぶりのおもちゃだ。と思っていた。ゆっくりをじわじわと時間をかけて食べると飼い主が とてもほめてくれる。喜んでくれる。そういった理由もあり、ゆっくりを可能な限り時間をかけて遊び食いをする。 「おちびちゃああああああああああああああんん!!!!!!!!!」 カツオの口に飲み込まれた子ゆっくりは唾液によりドロドロにふやけ、原型をたもっていなかった。 「もっ・・・ゅ・・・し・・・・かった・・・・ょ」 犬はそれを飲み込むと、この世の終わりのような形相を浮かべ、しーしーをもらしながらプルプル震えているもう一匹の子ゆっくり の元へ近づいた。 「やじゃぁ・・・・れいみゅ・・しにたくなにゃぃ・・・・もっといっぴゃいいもうちょとあしょびちゃいよ・・ しあわしぇ~なものたべちゃいよ・・・おきゃ~しゃんとおちょ~しゃんとしゅ~りしゅ~りしちゃいよぉ・・・」 命乞い(?)をするれいむ(もはや判別は不能である)をカツオは甘噛みする。 「ゆびゃああ!!やめちぇええ!!」 ブシッ!!と勢いよくシーシーを噴射する子れいむ(?) 何度も甘噛みをした後、カツオはその子れいむ(?)を口に収める。さきほどの子ゆっくりと同じようにゆっくりと食べていく。 まりさはその様子をじっと見ていた。 まだ間に合う!まだおちびちゃんは生きている!まりさは残る力をあらん限りしぼってカツオに体当たりを敢行しようとした。 しかしまりさは男に抱きかかえられ、それはかなわなかった。 カツオが残りの子ゆっくりを飲み込むまで見させた後、男は満足そうにまりさを部屋に持ち帰った。 「部屋に帰ったらお楽しみだなあぁ・・・気づいてるんと思うだ」 部屋に帰るとケースの中にいたれいむと焦げた二匹の子ゆっくりはいなくなっていた。 まりさは先ほど男の手首に噛みつく瞬間「まりさが引き付けておくからゆっくりしないで逃げてね!」とれいむに言っていたのだ。 まりさに言われた通りにれいむは子ゆっくりを口に入れ、バイン、バインと跳ねながらその男の家から逃げた。 れいむは泣きながら必死に逃げていた。潰れた実ゆっくりや潰れていない実ゆっくりのことは考えていない。 ただ逃げることを優先した。自分がつかまってしまっては全員助からないから。 自分たちを助けるために囮となったまりさのことも心配だ。 しかし今自分が逃げねばまりさの命がけの特攻は無駄になる。出来ることならまりさも人間からうまく逃げおおせてほしい。 そして今までのように家族団欒をしてゆっくりしたい。 (なんでこんなことに・・まりざぁ!!ゆっくり・・ゆっくりしていってねえ!!!!) 「ゆへへ・・・ゆっくり・・ざまあ・・・みろ・・!くそじじいの・・・思い通りには・・させないよ!!」 ケースの中に入れてあったれいむが居なくなり呆気にとられている人間にまりさが勝ち誇ったように言った。 (あかちゃんとおちびちゃん二人死なせちゃったけど・・れいむと残りのおちびちゃんは逃がしたよ・・でも・・まりさはもうだめだよ・・ 少しでも長くこのゆっくりできない人間さんを足止めするから逃げてね・・!まりさたちのぶんまで・・生きて・・ゆっくりしていってね・・!) 「ゆがああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!」 まりさは男がまりさを抱きかかえる力が少し弱くなった時を見逃さずに、腕をすり抜け、死ぬ気の特攻を仕掛けた。 続きます by洗脳君
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/1711.html
「ゆっくり育児放棄」(前編) 後編に“ちーちー”の描写が薄っすらと含まれてるよ!! 「んほおおおおおおあおおあおあおあお!!!すっきりするううぅぅぅうっぅうぅぅぅぅ!!!!」 「れいむううううっぅぅぅぅぅう!!!すっぎりじでえええええぇえぇえぇぇ!!!」 飛び散る、汁、汁、汁。 木の根元に掘られた巣穴の奥。誰も入り込まない2人の愛の巣。 ゆっくりれいむとゆっくりまりさは、生まれてはじめての“すっきり”をした。 「「んほほほほほあおあおおあおあおあおあおあおあ!!!すっきりいぃぃぃぃぃーーーーーーーーーー!!!!」」 血走る目、大きく開かれた口。そこからばら撒かれる唾液と、その他のいろいろな粘液。 子供なら泣いて逃げ出してしまうだろう、バケモノのような風貌で2匹は同時に達した。 外は暗黒。れみりゃすら出歩かない真夜中。 2匹は、存分に余韻に浸っていた。 「んひゅうううぅぅぅ……すっきりしたよぉ…」 「まりさもぉ……すっきりぃー……」 ―――2匹がそれぞれの親元から離れ、共に新たなゆっくりプレイスを探す旅に出たのは、半年前ことだ。 それまで親の庇護の元、何不自由なくゆっくりしてきた2匹にとって、その旅は苦労の連続だった。 『ゆーん……おなかすいたよぉ……』 『がんばってね!!もうすぐおはなさんをたくさんたべられるからね!!』 度重なる野宿。3食満足な食事がとれる保証はなかった。 『ゆゆ!!あめさん!!ゆっくりやんでね!!』 『ゆっくりしすぎだよ!!まりさたちがゆっくりできないよ!!』 雨が3日間連続して降ったときは、このまま雨が二度と止まないのではないかと不安になった。 容赦ない雨に打たれ、溶けて死んでいったゆっくりを見て、2匹は恐ろしさに震えが止まらなかった。 『うー!!たーべちゃーうぞー♪』 『うわあああああああぁぁぁあぁぁぁ!!!れみりゃだああああぁぁああぁぁぁ!!!!』 『だべないでえぇぇえぇぇえっぇぇ!!!まりざはおいじぐないよおおおおおおぉぉぉ!!!』 寝床を見つけられないまま夜になってしまい、れみりゃと遭遇したときは死を覚悟した。 それでも運よく、れみりゃの入れない小さな洞穴を見つける事が出来、2匹揃って生き延びる事が出来た。 何度も何度も、命の危機を乗り越え……やっと見つけたゆっくりプレイス。 そこはゆっくりがみんな仲良くゆっくりしている最高の楽園。 れいむとまりさは、これ以上のゆっくりプレイスはないと確信し、定住を決意した。 『まりさ!!ここならずっとゆっくりできるよ!!』 『そうだね!!これからもいっしょにゆっくりしようね!!』 半年の旅を経て、2匹の愛は更に深まっていた。 共に危険を乗り越えてきた2匹。その愛を断ち切ることは、誰にも出来ない。 『れいむはまりさのあかちゃんがほしいよ!!とてもゆっくりしたあかちゃんがほしいよ!!』 『まりさもだよ!!れいむのゆっくりとしたあかちゃん!!ふたりでゆっくりつくろうね!!』 そして、今。 2匹は母ゆっくりから教わっていた方法で、記念すべき最初のすっきりをしたのだ。 「ゆー!!とてもゆっくりしたあかちゃんだよ!!」 「そうだね!!かわいいあかちゃんだね!!うまれたらみんなでゆっくりしようね!!」 れいむの頭の上に生えた、3本の蔓。 合計20個の実が、そこには実っていた。 2匹はなんとなく、こうなるだろうと思っていた。きっとれいむが子を実らせるだろう、と。 なんとなく、である。その方がゆっくり出来る気がした、それだけのことだ。 「ゆっくりうまれてきてね!!ゆっくりでいいからね!!」 「うまれてきたらいっしょにたくさんゆっくりしようね!!」 蔓に実った20匹のゆっくりに、微笑みながら話しかける2匹。 まだ目は開いておらず、口も閉じたまま。帽子もリボンも無いので、両親のどちらと同じ形で生まれるかもわからない。 でも、すでに耳は機能しているようで、両親の言葉を聞いてぴくりと身を震わす赤ん坊もいた。 「ゆぅぅぅぅ!!!ゆっくりきこえたんだね!!れいむはうれしいよおおおおおお!!!」 「これならうまれてからもゆっくりできるよおおおおお!!!」 2匹は嬉しさのあまり、大粒の涙を流した。 半年間の旅の苦労。至ることのできた最高のゆっくりプレイス。そして、これから生まれるであろうかわいい子供。 れいむとまりさが思い描く未来は、とても明るかった。ずっとずっとゆっくりできる。根拠はないけど、確信していた。 「「ゆっくりしていってね!!」」 そんな、夜。2匹が輝かしい未来に思いを馳せている、その瞬間。 それほど遠くない場所で、悲劇は起こっていた。 「いや……どぼぢで…ごんなごどにいいぃぃ………」 暗い巣穴。全身ボロボロの状態で、目に涙を浮かべながら外を見つめるのは、ゆっくりまりさだ。 その視線の先には、背を向けて満足げに去っていくゆっくりありす。 「ひどいよ……ぜんぜんゆっぐじでぎないよおおおおおお………」 まりさの頭上には3本の蔓が生えていた。原因は、ありすによるレイプだ。 昼間に草原で出会ったありすに一目惚れし、自分のおうちに連れてきてしまった結果がこれである。 まりさは、今になってかつての母親の教えを思い出した。 『ありすとふたりきりになったら、ゆっくりできなくなるよ!!』 間違っても、ありすをおうちに連れ込んで2人きりになってはいけなかったのだ。 しかし、それを思い出したところで、今更遅い。まりさはありすとの子を実らせてしまった事実は、取り消せない。 まりさの頭上には、合計20匹の赤ちゃんゆっくりが実っていた。 「ゆぐうううぅぅぅぅ!!!どうすればいいのおおおおおおおお!!??こんなこどもいやだよおおおおおおお!!!」 レイプ魔ありすの子供なんて、生みたくないし育てたくもない。 だからといって殺すわけにもいかなかった。もし子供を殺している現場が他のゆっくりに見つかれば、集団リンチものである。 この群れに処刑という概念はないが、ゆっくりを殺してはいけないという最低限の倫理観は存在していた。 「……このままじゃゆっぐじでぎなぐなるよおおおおおおお!!!」 自分は、まだまだゆっくりしたい。望んでもいない子供の世話なんてまっぴらだ。 成体になったとはいえ、まだまだ遊び盛りのまりさにとって、子育て……それもレイプされて生まれた子供を育てるという行為は、苦痛でしかなかった。 可能ならば、子供は生みたくない。生まれたとしても、絶対に育てたくない。 そんなまりさの思いとは裏腹に、蔓に実った子供は順調に形を成していく。 うっすら閉じた目。きゅっと結んだ口。髪飾りはまだないので、親のどちらに似て生まれるかはわからない。 それでも、確実にゆっくりとしての形は形成していた。おそらく、数時間後……日の出直後には生まれてしまうだろう。 「ゆぅ……ゆっくりしたいよぉ……こんなあかちゃんいやだよおぉ………どうすればいいのぉ!?」 その時だった。そう遠くない、離れた巣から2匹のゆっくりの声がかすかに聞こえたのは。 「ゆっくりうまれてきてね!!ゆっくりでいいからね!!」 「うまれてきたらいっしょにたくさんゆっくりしようね!!」 赤ん坊が実ったことを祝福する、ゆっくりれいむとゆっくりまりさの声だ。 2匹の明るい声色から、まりさは理解した。これから向こうで生まれる赤ん坊達は、みんな望まれて出来た、祝福されるべき赤ん坊なのだ。 まりさは、うらやましかった。存分に愛し合う2匹が。その結果生まれる、愛されることを約束された赤ん坊が。 それにくらべて、自分はどうだ。一目惚れしたありすに裏切られ、20匹もの赤ん坊を孕まされて独りぼっち。 もし、このまま赤ん坊が生まれれば、自分だけでその世話をしなければならない。 「ゆっぐ……ずるいよぉ………どうしてまりさだけ…ゆっくりさせてくれないのぉ……?」 まりさは、羨ましさを通り越して、2匹が憎くなった。 自分がこんな目にあっているのに、どうしてあいつらは幸せなんだ。ずるい。ずるい。こんなの不公平だ。 心の中で毒づくまりさ。自分の不幸を嘆き、そしてその不幸に対して何も出来ない、無力なまりさ。 その時、まりさは“ある事”を思いついた。 「ゆっ?………ゆゆゆゆゆゆゆゆっ!!」 まりさの表情が、一気に晴れた。自分の身に降りかかった不幸を払いのける、最良の方法を思いついたのだ。 自分で子供を殺す必要はなく、それでいて自分で子供を育てる必要もない……そんな最高の方法。 簡単なことだ。子供を育てるのが“自分”である必要はない。 「ゆふふ!!いいことおもいついたよ!!これでゆっくりできるよ!!」 まりさは、暗闇の向こうの……例の2匹の巣がある方向へ、視線を向けた。 早朝。 眠ることなく赤ん坊の誕生を今か今かと待っていた、れいむとまりさ。 かつて母ゆっくりに教わった事が本当なら、そろそろ生まれてもいい頃だ。 「ゆーん……あかちゃんたち、とてもゆっくりしてるね!!」 「そうだね!!でもまりさはそろそろうまれてきてほしいよ!!」 ゆっくり生まれてきて欲しいと望んではいるが、早く生まれた赤ちゃん達とゆっくりしたい。その気持ちも本物だ。 でも、無理やり蔓から切り離したら、赤ちゃん達がゆっくりできなくなる。 まりさはもどかしさに身悶えながら、誕生のときを待ち続けた。 そして。 「……ゆゆっ!?なんだかへんなかんじがするよ!!」 「れいむ!!あかちゃんがゆっくりうごいてるよ!!もうすぐゆっくりうまれるんだよ!!」 違和感を感じたれいむ。まりさはれいむの頭上を見上げた。 かすかに目を開き、もごもごと口を動かしている赤ちゃんゆっくり。出産のときが近いのだ。 その違和感の正体を知ったれいむは、その場にじっと留まって視線を上に向ける。 「ゆゆゆ!!うまれるよ!!ゆっくりうまれるよおおおおおお!!」 「がんばってね!!あかちゃんはゆっくりがんばってね!!」 ゆらゆらと、自分の力で実を揺らす赤ちゃんゆっくり。 母ゆっくりが手伝う必要はない。じっと待っていれば、そのうち自力で蔓から切り離れる。 赤ちゃんゆっくりは目をぎゅっと閉じ、力を振り絞って身体を揺らしている。 ぶち…ぶちぶち… 赤ちゃんゆっくりの頭と蔓とのつなぎ目が、少しずつ千切れていく。そして… ぶちっ!! ぽとん!! 最初の赤ちゃんゆっくりが、ぼよんと軽やかに弾みながら生れ落ちた。 「ゆっ…ゆゆ……ゆっくちしちぇいってね!!」 「ゆっくりしていってね!!れいむがおかーさんだよ!!」 「まりさもおかーさんだよ!!いっしょにゆっくりしようね!!」 これ以上ない幸福感だった。自分を生んだお母さんも、こんな思いだったのだろうか。 そんなことを考えながら、2匹の母親は最大級の歓迎でもって赤ちゃんゆっくりの誕生を祝福した。 「ゆっくちうまれりゅよー!!」「ゆっくちぃ~!!」 次々に生まれてくる、赤ちゃんゆっくりたち。 そのどれもがとてもゆっくりした、かけがえの無い子供たちだ。 10分ほどで、蔓に実っていた赤ちゃんゆっくり20匹全員が、無事に生まれ落ちた。 れいむ種が10匹、まりさ種が10匹、ちょうど半分ずつ。最適なバランスだった。 「ゆ~!!いっぱいうまれたね!!みんなとてもゆっくりしてるよぉ!!」 「そうだね!!これからはみんなでゆっくりするよ!!」 「「ゆっくりしていってね!!!!」」 「「「「「ゆっきゅちしていってにぇ!!」」」」」 「ずっとみんなでゆっくりしようね!!」 「おかーさんたちがゆっくりさせてあげるからね!!」 「「「「「ゆっくちそだててね!!!」」」」」 明るい声。明るい笑顔。誰もが幸せを感じ、それが永遠に続くと信じて疑わない。 たくさんの子供に囲まれて、れいむとまりさは幸せの絶頂に達していた。 そんな明るい笑い声が絶えない、木の根元の横穴。 すぐ近くの草陰に隠れているのは、頭上に3本の蔓を生やしたゆっくりまりさだ。 「ゆゆゆ!!まりさもゆっくりうまれそうだよ!!」 奇しくも、その蔓に実っているのは巣の中の赤ちゃんゆっくりと同じ、20匹。 だがまりさにとっては、赤ん坊の数などどうでもいいことだった。 とにかく、一刻も早く頭上の赤ちゃんを何とかしたい、それだけしか考えていない。 「ゆーん!!もうすこしでゆっくりできるよ!!!」 まりさは、“その時”が来るのをゆっくりと待ち続けた。 朝。 赤ちゃんが生まれてから1時間半後。 赤ちゃんゆっくりたちは、れいむの頭から切り離した蔓を食べた後、仲良く眠りについた。 あれほど賑やかだったおうちの中も、赤ん坊が眠ってしまうと元通りの静けさを取り戻す。 「ゆー…ゆっくりねむってるね!!」 「れいむ!!いまのうちにたべものをとりにいこうよ!!」 「ゆゆ!!それはめいあんだね!!」 れいむとまりさは、赤ちゃん達のために食べ物を取りに行くことにした。 親が2匹とも健在ならば、片方は赤ちゃんを見守るために残るべきなのだが、2匹はそうしなかった。 この2匹の巣は、れみりゃにも発情ありすにも見つからない完璧なカムフラージュが施されている。 雨の日に雨宿りにやってくるゆっくりすらいないぐらいだ。 食べ物を取りに行っている間も誰も来ないだろうし、赤ちゃんが目覚める前に帰ってくる自信もあった。 だから、2匹は眠っている赤ちゃんを置いて、食べ物を取りに行くことにしたのだ。 「ゆっくりしないでとってこようね!!」 「そうだね!!あかちゃんがおきるまえにゆっくりかえってこようね!!」 若干食い違っているような会話を交えながら、れいむとまりさは巣の外へと飛び出していく。 協力して食べ物をたくさん集めて、子供たちを喜ばせてあげよう。 そう心に決めて、草原の彼方へと跳ねていった。 「ゆへへ!!やっとでてきたよ!!」 まりさは、その時を待っていた。 巣の中の幸せそうな2匹が、赤ん坊を置き去りにしておうちから離れる、その時を。 2匹が巣穴から飛び出してくるのをその目で確認し、完全に姿が見えなくなるのを待ってから、まりさはその巣穴へと飛び込んだ。 「ゆー……たくさんゆっくりしてるよ」 一箇所に固まって眠っている赤ちゃんゆっくりを見て、まりさは独り言をこぼした。 目の前に並ぶのは、これからゆっくりさせてもらうことが確定しているであろう、幸せな赤ちゃん達。 そんな赤ちゃん達の穏やかな寝顔を見て、まりさは可愛く思ったが同時に憎くも感じた。 可愛い赤ん坊の寝顔。幸せそうな夫婦の笑顔。そして、それを取り巻く愛情。すべてが憎かった。 「……どうしておまえたちだけゆっくりできるの?まりさだってゆっくりしたいんだよ!?」 その憎しみは、本来ならレイプ魔ありすにぶつけるべきものだ。 だが、その相手は昨夜に逃亡して行方知れず。怒りが湧き起こっても、それをぶつける相手はもういないのだ。 「ゆぐぐ!!さっさとうまれてね!!ゆっくりしないでうまれてね!!」 まりさは、自分がここへ来た目的を思い出し、頭上の蔓をゆっさゆっさと揺らし始めた。 ここには長居すべきではない。れいむとまりさの夫婦が帰ってこない間に、そして赤ん坊達が眠っている間に、出産を終えなければならない。 頭上の赤ちゃん達のことを考えれば、蔓を揺らして無理やり赤ちゃんを産み落とすのはよくないことだ。 しかし、望まない赤ちゃんと一刻も早く縁を切りたいまりさにとって、赤ん坊の生まれた後のことなどどうでもよかった。 「うぐぐぐっぐ!!!さっさとしてね!!はやくうまれないとおこるよ!!」 母親の怒声に覚醒した頭上の赤ちゃん達が、慌てて身を揺すり始める。 やっと生まれる気になったのか、悪魔の子供め。 まりさは半分呆れ顔で、蔓を揺らし続けた。 「ゆっくち!!ゆっくちゆらしゃないでね!!まりしゃはゆっきゅちうまれりゅよ!!」 「ありしゅもゆっきゅちうまれちゃいよ!!ゆらしゃないでね!!」 無理やり蔓を揺らされるのは、赤ん坊にとっては気分のいいものではない。 場合によっては乗り物酔いと同じような状態になり、中身を吐き出してしまうこともあるのだ。 「うるさいよ!!さっさとうまれないとゆるさないよ!!ゆっくりしないでうまれてね!!」 赤ん坊に対する言葉とは思えないぐらい、まりさはその声に怒気を込めている。 母の頭上で眠っているとき、誕生を祝福されることを夢見ていた赤ちゃん達にとって、その言葉は心にどう響くだろうか。 「ゆきゅぅ……わかっちゃよ!!ゆっくちしないでうまれるにぇ!!」 「ゆん!!おきゃーさんもてちゅだってね!!」 「いわれなくてもわかってるよ!!ゆっくりしないでうまれてね!!さっさとうまれてね!!」 さっきから怒ってばかりの母親を見て、赤ちゃん達は悲しげな表情を浮かべながら身体を揺らし続ける。 まりさの揺れと、赤ちゃん達の揺れ。その2つの揺れで、赤ちゃん達と蔓との繋ぎ目が千切れていく。 そして……ぶちん!ぶちぶちぶちん!!ぶちぶちん!! 「ゆっきゅちうまりぇたよ!!」「ゆっくし!!」「ゆっくりぃ~!!」 ほぼ同時に、20匹の赤ちゃんが生まれ落ちた。まりさ種が10匹、ありす種が10匹だ。 目の前にいる大きなゆっくりまりさを母親と認識し、揃ってまりさの方を向く。 そして小さな目をうるうると輝かせながら、赤ちゃん達は生まれてはじめて“挨拶”をした。 「「「「「ゆっきゅちしちぇいってね!!」」」」」 「うるさいよ!!ゆっくりだまってね!!」 赤ちゃん達は唖然としてしまった。元気な挨拶が返ってくると思っていたのに、母の口から飛び出した言葉は全然違うものだった。 その意味は正確には理解できなかったが、なんとなく……怒られたのだという事だけはわかった。 「ゆ……どおちておこるの?」 「まりしゃたちわりゅいことしちゃの?」 「ゆっくちおこりゃないでね!!ありしゅたちはおかーしゃんのかわいいこどもだよ!!」 「ゆっくりしゃべらないでね!!ゆっくりできなくするよ!!」 「「「ゆん……」」」 それっきり、赤ちゃんゆっくりたちは黙り込んでしまった。 赤ちゃん達は、自分が望まれないで生まれたということを知らない。 母まりさがこんなにも自分達につらくあたる理由が、まったくわからないのだ。 「おかーしゃん……まりしゃおなかすいたよ…」 「ありしゅも!!ありしゅもおなかすいた!!」 「まりさも!!」「ありすも!!」「おなかしゅいたー!!」 生まれたての赤ちゃんは、基本的に空腹である。 普通なら母ゆっくりに、蔓を噛み砕いたものを食べさせてもらうのだが、まりさはそれをしなかった。 「ゆぐぐぐぐぐ!!!そんなにおなかがすいたなら、そこらへんのものをたべればいいよ!!」 と、言い切ったところで……まりさの視界にあるものが入った。 それは、れいむとまりさの夫婦が生んだ、赤ちゃんれいむと赤ちゃんまりさである。 まりさはゆっくり考えた。 最初はこのまま赤ん坊達を置き去りにして、帰ってきたれいむとまりさに育てさせる予定だった。 でも、これだけ赤ちゃんが増えればさすがに気づかれてしまうだろう。そうしたら計画は水泡に帰してしまう。 だから、赤ちゃんの数を最初と同じ程度まで減らす必要がある。 そのためにはどうすればいい? ゆっくり殺しは、見つかればリンチものだ。こんなクソガキのために痛い目に遭いたくない。 どうすれば……どうすれば、子供の数を減らせる? 自分で殺さず、子供を減らす方法…… 「ゆっ!!ゆゆゆゆゆ!!!!」 その時、まりさの餡子脳に電撃が走った。 思いついたのだ。子供の数を減らす最良の方法を。自分の手を汚さず、子供を減らす方法だ。 簡単なことだ。子供を殺すのが“自分”である必要はない。 「みんな!!ゆっくりきいてね!!そこにころがってる“まんじゅう”をみてね!!」 「ゆっ?まんじゅう?」「ゆっくちできりゅの?」「おなかしゅいたよ!!」 “饅頭”という言葉を知らない赤ちゃん達は、それがゆっくりできるものなのか、腹を満たせるものなのか、そうでないのかわからない。 だが、その言葉が示しているのが目の前で眠っている赤ちゃんゆっくりだと分かると、赤ちゃん達は困ったように口々に呟いた。 「おかーしゃん!!それはまんじゅうじゃないよ!!れいみゅだよ!!」 「そうだお!!このまりしゃはまんじゅうじゃないお!!」 目の前のこれは、れいむとまりさである。だから饅頭ではない。そんな思考である。 それでもまりさは怒らず、大きな声でゆっくりと言い聞かせた。 「ゆ!!おまえたちにはそうみえるんだね!!でもこいつらはね、れいむとまりさによくにた“まんじゅう”なんだよ!!」 「「「ゆゆゆ!?そうにゃの!?」」」 饅頭がどんなものなのかは分からないが、目の前のれいむとまりさが、れいむとまりさに良く似た別のものだということは理解した。 そして、肝心の饅頭とはいったいどんなものなのか。赤ちゃん達は、母まりさの説明を待った。 「ゆっくりきいてね!!まんじゅうはとてもゆっくりできる“たべもの”だよ!!」 「ゆゆっ!!たべものなの!!ゆっくちたべたいよ!!」 「ゆっくりたべてね!!めをさましたらあばれるかもしれないけど、まけちゃだめだよ!!」 お膳立てはそれで十分だった。 生まれたての赤ちゃん達は、空腹にとても弱い。 目の前の“ゆっくりに似たもの”が食べ物だと教えられれば、もう迷うことはない。 赤ちゃんゆっくりは、眠っている赤ちゃん達に飛び掛って大きく口を開いた。 生まれてはじめての“食事”である。 「ゆっくち!!ゆっくちたべりゅよ!!」 「ありしゅもたべりゅよ!!おなかすいたもん!!」 「いびゃっ!?なに!?だれなにょ!?」 「やめでね!!まりしゃはたべものじゃないよ!!」 まりさが生んだ赤ちゃん達に食いつかれ、目を覚ますれいむとまりさたち。 だが、反撃することはできなかった。一度でも身体の一部分を食いちぎられれば、パワーで相手を押しのけることはできない。 体格が殆ど変わらない赤ちゃんゆっくりにとって、先攻を取ることは普通のゆっくり以上に重要なのだ。 「やめっで…たべぼのじゃ……ない…」 「うそつかないでね!!おかーさんがいってたよ!!おまえたちはたべものなんだよ!!」 「たべものはまりしゃたちにゆっくちたべられてね!!」 「いだいいだいいだいいだい!!もっど!!もっどゆっぎじじだいのお゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!!!!」 「おがーじゃんだじゅげでええええぇぇええぇぇ!!!!」 「もっどぉおおおお…ゆっぐじいいいぃぃ……しだが……った…」 あっという間だった。 突然起こされた赤ちゃんれいむと赤ちゃんまりさは、まともに反撃することもかなわず……一匹残らず食い殺された。 空腹だった赤ちゃん達によって欠片残さず飲み込まれ、周囲には小さなリボンと帽子だけが残されている。 生まれてから一時間も経たずして、赤ちゃんれいむと赤ちゃんまりさはこの世を去った。 「ゆー!!おなかいっぱい!!」「ゆっきゅりできゆよ!!」 これだけ赤ちゃんを減らせば、れいむとまりさの夫婦にも気づかれないだろう。 赤ちゃん達が満腹感に浸っている隙に、まりさはこっそりと巣穴から抜け出した。 「ゆへへ!!これでゆっくりできるよ!!ひとりでゆっくりできるよ!!」 身軽になったまりさは、ゆっくりするために草原へと跳びはねていった。 母親に捨てられてしまったことを、巣の中の赤ちゃん達はまだ知らない…… (続く) 作:避妊ありすの人 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/2753.html
「おにいさん!れいむたちのおしごとのおてつだいをさせてね!」 「・・・・・・は?」 ある初夏の晴れた日のこと。 俺はいつも通り田吾作さんの畑のわりと近くにある自分の畑で仕事をしていた。 すると、人里のゆっくり対策の進んだ最近では珍しい山から下りてきたゆっくりの一家がやって来て、そんな事を言いやがった。 他所の地域では虫取りや他の害獣を追い払うのに役立てることもあるらしいが、ここではそんな習慣はない。 そもそも、人間の役に立とうという殊勝なゆっくり自体が極めてまれな存在だ。 「・・・農作業の手伝いって、お前らに何が出来るんだ?」 「れいむたちはむしさんやはっぱさんをむーしゃむーしゃできるよ!」 「野菜と雑草の区別はつくのか?」 「あたりまえなんだぜ!」 そう言って、ゆっくり一家の両親はゆへんと偉そうに胸(下あご?)を張った。 両親はれいむ種とまりさ種で子どもは親と同じ種族の赤ん坊サイズのものが2匹ずつ。 いわゆるオーソドックスファミリーだ。 「子どもが勝手に食ったりしないだろうな?」 「「「「しょんなことちなにゃいよ、ぴゅんぴゅん!」」」」 俺の言葉に反応した子ども達は反論の後、一斉に頬を膨らませた。 さて、どうしたものか・・・。 さっきの応答や言動・態度を見る限りにおいて、ゲスっぽい気配は無い。 それどころか家族揃ってゆっくりにしてはかなり聡明なようだ。 「ん~・・・」 「おにーさぁん・・・おねがいだよ!」 「・・・で、何が目当てなんだ?」 「ゆゆっ!・・・すごいぜ、れいむ!まりさたちのもくてきはばればれだぜ!」 「ほんとうだね!さすがにんげんさんだね!」 「「「「ゆっきゅちしゅごいよ!」」」」 珍しく殊勝な奴らだと思えばやっぱり見返り目当てだったが、それでも勝手に畑の野菜を食い漁るよりはずっと賢明だろう。 物珍しさにも後押しされ、俺は大根4本と交換で一家の申し出を受け入れることにしてみた。 野菜と雑草の区別が出来ていることを確認してから、柵の中に招き入れ、一家のためにそこそこの大きさの小屋と水飲み場を設置してやる。 こうして、俺とゆっくり一家の共同作業が始まった。 結論から言えばこの一家はいつも俺の予想をいい方向に裏切ってくれた。 ちゃんと雑草と野菜を区別して雑草だけを抜き取ってくれるし、虫の駆除もほぼ完璧。 流石にそれ以上のことは殆ど出来なかったが、虫害をどうにかしてくれるだけでも本当に助かる。 一度だけ子まりさが野菜に口をつけようとした事もあったが、その時には自分の子どもをちゃんと叱りつけていた。 なるほど、これだけ出来のよい個体であればゆっくりであってもそれなりに役に立つ。 それに・・・・・・ 「「ゆゆっ!おにーさん、ゆっくりしていってね!」」 「「「「ゆっくちちていってね!」」」」 「仕事があるからゆっくり出来ないっつーの」 「「じゃあゆっくりおしごとがんばってね!」」 「「「「ゆっくちがんばってね!」」」」 何より、間違ってもおうち宣言のようなこっちの神経を逆なでするようなことは言わなかった。 それどころか、仕事の合間の休憩時間の話し相手としても活躍してくれた。 柵では対処しきれない鳥類が作物を荒らそうとしたときには大声で俺を呼んだ。 とにかく、ゆっくり一家は十分すぎるほどに役に立ってくれた。 「れいむぅ・・・とってもゆっくりしてるね~」 「そうだね、まりさ」 「つぎのおにさんはれいむだよ!」 「「「ゆっくちにげるよ!」」」 また、柵と小屋に守られた畑で安全に食料を確保できるこの状況は一家にとって、とてもゆっくりできる環境だったらしい。 子ども達は赤ゆっくりから子ゆっくりへと成長し、餌を食べ終えた後に畑の周辺でよく鬼ごっこをしていた。 好奇心旺盛で俺に人間のことをあれこれ聞いてきたりもした。 「おにーしゃん!どうちでにんげんさんはむしさんをたべないの?」 「いや、食べられることは食べられるし、食べることもあるぞ」 「でも、おにーしゃんはたべないね!」 「虫はなぁ・・・人間には小さすぎるんだよ。あと、見た目がグロい」 「どうちて?おいちいのに?」 「人間の好みじゃないんだよ。さて、仕事に戻るからもう話しかけんなよ?」 「「「「ゆっくちりかいちたよ!」」」」 と、まあ、こんな具合に鬱陶しくも愛嬌のある奴らだった。 たまに引っ掴んで持ち上げてやるだけで「おしょらをとんでりゅみたーい!」と大喜びするので、散歩いらずな分犬よりも手間がかからない。 「おにーしゃん!いもうとたちにもおしょらちてあげてね!」 「「れーみゅもおしょらとびちゃいよ!」」 「「まりしゃもぶれいじんぐしゅたーちちゃいよ!」」 そうそう、そういえば相当ゆっくり出来たせいか、夏の間に家族が4匹ほど増えていたりする。 れいむ種とまりさ種が2匹ずつ。まだ生まれて間もない赤ん坊だが、にんっしんっで産まれたので結構大きい。 1回のにんっしんっで産まれたのは2匹で両種が1匹ずつ。 まずはれいむが産み、その次にまりさが産んだ。 そんなわけでいつの間にかこの一家は両親2匹に子ども8匹と言うかなりの大家族になっていた。 勿論、新しく出来た家族も親や俺の言うことをきちんと守って、虫や雑草を駆除してくれた。 おかげさまで、今年はいつもよりもずっと収穫が多かった。 そして収穫を終えた日の夜。 翌朝には一家に約束の大根を渡し、野に返してやらねばならない。 俺は前々から読者にも伏線すら提示せずに考えていたある計画を実行に移した。 そろーりそろーりと連中の小屋に忍び込むと、夏に生まれた子どもを各種族1匹ずつ捕まえ、いったん自分の部屋へ戻った。 それから、今までは常時開放されていた小屋の出入り口に扉を取り付け、しっかりと施錠も出来るようにした。 仕上げに、残った家族をこいつらの本能に刻み込まれた言葉で叩き起こした。 「ゆっくりしていってね!」 「「ゆゆっ!ゆっくりしていってね!」」 「「「「「「「ゆっくりしていってね!」」」」」」」 いとも容易く目を覚ました一家はしばらくのん気に「おにーさん、どうしたの?」などと言っていた。 が、やがて家族が減っていることに気づくと顔を真っ青にして右往左往し始めた。 「おにーさん!れいむのおちびちゃんがいないよおおおおお!?」 「そりゃそうだ。俺が預かったんだからな」 「どうしてそんなことするんだぜ!?」 「それはね!お前達との取引を無効にしたいからだよ!」 「「「「「「「「ゆゆっ!?」」」」」」」」 俺の突然の宣言に「びっくりー!」とでも言わんばかりに目を見開いて驚くゆっくり一家。 今までそれなりに仲良くしてきただけに、その信頼の全てを根底から覆す言葉が信じられないのだろう。 その証拠に、しばらく唖然していたれいむは我にかえるや否や、頬を膨らませてこう言った。 「おにーさん、じょうだんはやめてね!ゆっくりできないよ、ぷんぷん!」 初めて俺に出会った日から数えると、なんと100日以上もの付き合いがあるのだ。 流石に俺がそんなことをするとは思えない、或いは思いたくないらしい。 しかし、残念ながら全て事実であり、目をそらしても変わることの無い真実。 そのことをれいむ達に理解してもらうために、俺は近くにいた、親に連れられてここに来た1匹の子まりさを踏み潰してやった。 「「「「「・・・・・・ゆゆっ!?」」」」」 「これで分かっただろ?俺は本気だよ」 「ゆああああああああああああああああああああ!?」 「でいぶのおぢびぢゃんがあああああああああああああ!?」 「「「「「ばりぢゃあああああああああああああ!?」」」」」 家族が1匹踏み潰されたことでようやく事態の深刻さを認識した一家は恐怖と絶望に顔を歪め、彼女らの双眸からは涙が溢れ出している。 が、泣き止むまで待つのも億劫なので「ゆっくりしていってね!」を利用して半ば強引に泣き止ませると、即座に用件を伝えた。 「さっき言ったとおり大根はやらん。嫌なら全員殺す・・・理解したか?」 「「ゆぐっ・・・・・・ゆっくりりかいしたよ!」」 「「「ゆえーん!」」」 「おにーしゃんひどいよ!やくそくをやぶりゅなんてゆっくちしてないよ!」 「しょーだよ!ゆっくちできないよ!」 残り7匹のうち、5匹は自分の立場をしっかりと弁えてくれたようだが、2匹だけそうでないものがいた。 1匹は両親に連れられてきた子まりさで、もう一匹は夏に生まれた子まりさだった。 彼女らは「ゆっくりさせてね!」などとのたまいながら、成体一歩手前の体を思いっきり跳躍させて俺に体当たりを仕掛けてくる。 が、悲しいほどに痛くもかゆくもないのでしばらく黙ってその攻撃を喰らってやる。 最初はいい気になって「ゆっくりこうさんしてね!」などと言っていたが、やがて息が上がり、冷静になった頃には己の無力を理解した。 「「どほぢでじぇんじぇんぎがにゃいのおおおおおお!?」」 泣き叫ぶ2匹の呼吸は荒く、また体当たりを繰り返したせいでところどころ青あざが出来ていた。 ぼろぼろになりながら、己の無力をかみ締める姿は可哀想でどこか哀れみを誘うものがあるが、容赦することなくお仕置きを加えてやった。 「うりゃ!」 「―――――――――――――ッ!!?」 サミング、いわゆる目潰しを食らわして子まりさの目玉を両方とも抉り出すと、悲鳴にもならない金切り声が子多重に響き渡った。 両親はガタガタと震えながらも「やめてあげてね!いたがってるよ!」と俺に許しを請う。 その傍では素直に言う事を聞いた殊勝な子ども達が両親にへばりついて泣きながら、歯をガチガチと鳴らして震えている。 そして、当の子まりさは目のあった場所から餡子を漏らしながら床を転げまわっていた。 「ゆっくりにげりゅよ!そろーりそろーり・・・」 「ハイ残念、もう見つかった!」 「ゆゆっ!?やめてね!こっちこないでね!?」 子まりさの惨状を目の当たりにした子れいむもまた涙で頬をぬらしながら、必死に逃げ回っていた。 しかし、普段は開けっ放しの出入り口は閉まっており、この小屋には隠れられるような場所も無く、逃げ場所なんて何処にもなかった。 それでも子れいむは俺から逃げ続けた。俺がわざと泳がせていることにも気づかずに一心不乱に逃げ続けた。 そして、疲労が限界に達し、一歩も動くことが出来なくなった瞬間に彼女は俺によって光を奪われた。 俺は一家に食料の代わりに安全に越冬できる巣、以前から使用していたあの小屋を貸してやることにした。 ただし、扉はしっかりと施錠されているし、他の場所から外に出ることもできない。 勿論、食料をやるつもりは微塵も無いので、このままでは何も食べることは出来ず、飢え死にするのを待つだけである。 「そこで、赤ゆっくりのできる蔦やそれに成っている赤ゆっくりと大根を交換してやろうと思う。嫌なら飢えて死ね!」 「ゆゆっ!・・・お、おにーさんはあがぢゃんをあづめでどうずるの・・・?」 「いい質問だ。俺の家に連れて行ったお前らの子どもに食べさせる。ちなみにそれ以外の餌は与えない」 「「「そ、そんなひどいことちないでよ!?ゆっくちできないよ!」」」 自分たちの立場を理解しているとは言え、流石にこの提案ばかりは呑めないらしい。 必死の形相で抗議し、何とか俺から妥協を得ようと一生懸命媚びへつらったり、泣き落とそうとしたりしている。 が、やっぱり何の意味も無い。 「お仕置きされたいか?」 「「ゆゆっ!おしおきはやだよ!ゆっくりできないよ!?」」 「「「おしおきごわいよぉ~!」」」 「「ゆぎぃ!?お、おぢごぎいやあああああああああああああああああ!?」」 どんなに頑張ってもたった一言ですべてが消し飛んでしまう。 両親は子をかばい、子は両親にすがりつき、既にお仕置きを受けたものは気が狂ったかのように喚いていた。 そんなどうしようもなく無力な一家に向かって更に話を続ける。 「ちなみに家のほうの子どもの食事は君たちと交換した蔦や赤ちゃんだけだからね。ゆっくり理解しろよ?」 「「ゆぐっ・・・ゆ、ゆっくりりかいしたよ・・・」」 それから交換レートについても話し合い、蔦1本=大根の葉っぱ10g,赤ゆ1匹=大根の葉っぱ3gという相場に決定した。 ちなみに、うちで取れる大根1本の重さが1000gの可食部分が900g程度であるから蔦1本に赤ゆが5匹なると仮定して1本=25gである。 つまり、40本の蔦を手渡してようやく1kgの食料を得られるのだ。 一家はその分量を示されたときに少なすぎるとゴネたが、手近な成体間近の子れいむにお仕置きをしてやったら快く同意してくれた。 植物型であっても自分が生きたまま子どもを産めるだけの大きさに達しているのは両親と最初からいた4匹の計6匹。 ただし、子どものほうは蔦を3本も生やせば命に関わるだろうし、連続出産なんてとてもじゃないが出来ない。 勿論、いくら十分成熟している両親と言えど5本以上蔦を生やすと流石に危ないのは言うまでもない。 現在生き残っているゆっくりは7匹。 両親のれいむとまりさ、成体間近の子れいむが2匹と子まりさが1匹。 子ども達に関しては1匹のれいむを除いて全員お仕置きによって目を失ってしまっている。 そして、夏に生まれた子れいむと子まりさが1匹ずつ。 こちらは子まりさの方だけがお仕置きによって目を失ってしまっていた。 「ゆっぐ・・・ほどぢでごんなごどになっだのぉ・・・」 「ゆっぐぢでぎないよぉ~・・・」 「「ゆっぐちちだいよ~・・・」」 「くらいよ~・・・ゆっくちでいないよぉ・・・」 そんな絶望的な境遇の中で苦しみにあえぐ一家を眺めながら俺は小屋の出入り口へと向かっていく。 そして、たった一つだけ希望を与えて小屋を後にした。 「俺の部屋の子ども達は来年の農作業用だから餌以外は最高の環境でゆっくりしているぞ」 れいむとまりさは本当に賢い個体だった。 男の言葉を聞いて、意味するところを、男の意図をきわめて正確に把握していた。 また、ゆっくり特有の希望的観測をせずに自分たちの末路を理解した。 「れいむ・・・ごべんね。まりさがにんげんさんのおでつだいしようなんていったせいで・・・」 「ちがうよ、まりさ!れいむもさんせいしたんだよ!」 「「「ゆっくりできないよぉ~」」」 「もうやだ、おうちかえる!」 「おちびちゃんたち、ゆっくりがまんしてね!はるになったらおうちにかえれるよ!」 勿論、嘘だ。男は「部屋の子ども達は来年の農作業用」だと言っていた。 つまり、来年には子ども達がこの小屋で寝泊りをして虫や雑草の駆除に従事することになる。 その時、自分たちが生きていると余計なことを吹き込んでしまう恐れがある。 「きょうはゆっくりやすもうね!」 「あしたになったらきっとおにーさんもゆっくりできるようになってるよ!」 「「「「「ゆっくりりかいしたよ・・・」」」」」 しかし、その事実を伝えるのはあまりに酷だと判断した両親は何も言わず、ゆっくりすることを提案した。 両親の言うことを聞いて痛みや恐怖を堪えながら、そしてそれらから逃げるように子ども達は眠りについた。 彼女達はそれがこの世界で最後のゆっくりになることを知るはずがなかった。 「そろーりそろーり・・・れいむ、ゆっせーので、でいくよ?」 「ゆっくりりかいしたよ。ゆっせのーで」 あっという間に眠りについた子ども達を起こさないように静かに傍まで這いずって行った両親は掛け声と同時に子れいむに噛み付いた。 その子れいむは夏に生まれたばかりの子どもで、まだ小さく成体2匹にいきなり噛みつかれてはひとたまりも無い。 一瞬にして大量の餡子を失った子れいむは断末魔を残して終らないゆっくりへと旅立って行った。 「・・・もっと、ゆっくちちたかったよ・・・」 「「む~しゃむ~しゃ・・・ごべんねぇ・・・」」 そうして子れいむの亡骸を食べ終えた両親は次に両目を失った子まりさを食い殺した。 言うまでも無いことだが、出来ればこんなことはしたくないのだろう。 悲しみの色に染まった双眸からは涙が溢れ出し、水に弱い頬をふやけさせてしまっている。 夏に生まれた子まりさも同じように殺すと、その亡骸を両目を失った成体間近の子まりさ2匹の口にねじ込んだ。 舌を使って器用に口の奥へと運び、何とかこぼれ落ちないようにする。 その後、両親は我が子に頬をこすりつけていわゆるゆっくりにとっての交尾“すっきりー”をした。 途中で子どもが目を覚まし、「ゆっくりできないよー!」と泣いていたが、それでも無理矢理最後までやり遂げた。 「ごべんねぇ・・・」 「「も、もっと、ゆっくちしたかったよぉ・・・」」 「おぢびぢゃんだち・・・ごべんねぇ」 翌朝、唯一生き残った成体間近の子れいむが目を覚ましたとき、部屋には3本の蔦を頭に生やした両親しかいなかった。 それ以外のものは見慣れた壁と床と、わずかばかりの黒いかたまり、そして、10本の蔦を生やしている黒ずんだ大きな塊だけ。 朝早くにやってきた男は、以前のようにゆっくりしていることは無く、その蔦を全部引っこ抜くと足早に小屋を後にした。 「ねぇ、おかーさん・・・いもうとたちは?」 「れいむ、ゆっくりきいてね!」 「ゆっ・・・ゆっくりきくよ!」 神妙な面持ちの親れいむのただならぬ気配を察知した子れいむも真剣な表情になる。 「れいむのいもうとたちはね・・・・・・おかーさんたちがころしたんだよ!」 「ゆゆっ!?う、うそいわないでね!おこるよ、ぷんぷん!」 「ほんとうなんだぜ。いっぱいいてもごはんがへるだけだからころしたんだぜ!」 「ど、どほぢでぞんなごどずるのおおおおおおおおおお!?」 その残酷な言葉を聞かされた子れいむは泣きじゃくり、ぴょんぴょんと飛び跳ねながら両親に怒りをぶつける。 が、両親は「しかたなかったんだぜ!」とか「れいむのためだよ!」などと言うばかりで、何一つ納得のいく言葉を口にしてくれない。 やがて我慢の限界に達した子れいむは親れいむに飛び掛るがあっさりと弾き飛ばされ、まりさに取り押さえられてしまった。 「おがーざんのばがああああああああ!?」 「しかたないんだよ!こうしないとゆっくりできなくなっちゃうんだよ!」 「ぞんなのぢらないよ゛!ゆっぐぢでぎないおがあざんなんでゆっぐぢぢね!!」 厳しい自然の中で仲間を失った経験の無いこの子れいむにとって、生存のためでも仲間を切り捨てるなんてことは考えられない。 だから、親の気持ちも知らずに泣きつかれて眠るまでただひたすら呪詛を吐き続けた。 「ゆっくりしね・・・だって」 「おお、こわいこわい」 本来ならふてぶてしい表情で言うはずのこの言葉を、今ばかりは悲しみに満ちた表情で口走る。 ここにいてもいつか殺されるだけなら、いつか脱走を試みなければならない。 そして、そのためにはまず生き延びなくてはならないし、脱走の際に足手まといにしかならないものを生かしても仕方が無い。 そんな個体はよしんば逃げ延びても冬の野原や森で生き残ることなどまず不可能なのだから。 ならばさっさと間引いて一番逃げ延びる可能性のあるれいむだけでも救いたい。 また、きちんと蔦を提供することで、男の部屋の子ども達も何とか生き延びることができるかもしれない。 それが子どもが決して知ることの無い両親の想いだった。 頬を涙でぬらしながらも安らかな表情で眠る我が子の傍で2匹は再び6度に渡ってすっきりを繰り返した。 それが終わるとタイミング良く男がやって来て、さっきの分の餌(大根の葉っぱ650g)を床に置き、再び蔦を引き抜いていった。 結論から言えば両親は、餌には一切手をつけずに命を削って20本近い蔦を提供したが、子どもを逃がす機会を手にすることは出来なかった。 子れいむは両親の本心を理解しせず、度重なるすっきりで疲弊しているところを彼女に襲われたのが両親の死因となった。 小屋に残されたのは世間知らずで、両親ほど賢くもなかった1匹の成体間近の子れいむとおよそ1000g分の大根。 3ヶ月ばかり続く長い冬の間、最初の数日は両親の教えに反発するように適量以上を食べ続け、その後数日は妙な臭いを発する両親の死体で飢えをしのいだ。 が、やがてそれも尽き、2,3週間かけて子れいむはゆっくりゆっくりと飢えて、やせ衰えて、死んでいった。 「もっと・・・ゆっくり、したかったよ・・・」 おわり 善良なゆっくりは心理的な抵抗とは別の次元でも虐待しにくい気がする。 ちなみに、男の部屋の子ゆっくりは男が餌を管理してくれたおかげで無事生き延びました。 で、畑仕事を手伝いながら、10匹の子ゆっくりを授かり、冬には(以下略 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/955.html
農作業を終えた青年が、自宅に向かって、ゆっくりと歩いていた 不思議な事に、青年の後ろを二匹のゆっくりが、跳ねながら追いかけている その二匹は、ゆっくりまりさと、ゆっくりれいむなのだが、それぞれ帽子とリボンがない 「まつんだぜ!まりさのぼうしをかえすんだぜ!」 「ゆー!れいむのりぼんをかえしてね!」 二匹の飾りは、青年が左手に持っていた 青年の耳には、二匹のゆっくりの叫び声が、はっきりと聞こえているはずだが、青年はそれに答えず、一定の速度で歩いていく 「ゆー!まりさのぼうしをかえすんだぜ!」 「ゆ!ゆ!れいむのりぼんをかえしてね!」 いくらゆっくりが叫ぼうとも、青年はひたすらに無視を続ける ゆっくり達は、なぜ自慢の髪飾りを奪われ、無視されるのか分からなかった 二匹は、滅多に人の近付かない、森の奥深くで、豊富な昆虫や木の実などを食べて、ゆっくりと生活していたのだが ゆっくりぱちゅりーに、人間という生き物が、畑という場所で、美味しいゆっくりできる食べ物を作っている、という話を聞いたため 周囲のゆっくり達が止めるのも聞かず、一度、人間の食べ物を食べに行こうと、人里まで降りてきたのだった 二匹は人里まで降りると、いつも暮らしている森と、全く違う景色に、大喜びではしゃぎまわった 「なんだかすごいばしょなんだぜ!」 「もりにとじこもっててそんしたね!」 そんな会話をしている二匹は、棒を持った、二本足で歩いている生物、すなわち人間を発見した 「ゆゆ!なんかへんなのがいるよまりさ!」 「ゆ!あれがぱちゅりがいってたにんげんだとおもうんだぜ!さっそくごはんをもらうんだぜ!」 ゆっくり二匹は、ぱちゅりーから得た、人間の情報を自分の都合のよいように、歪曲、修正して解釈したため 人間は、美味しい食べ物をゆっくりにくれる生き物、と考えていた 二匹は、青年の前に飛び出すと、元気にあいさつをした、自分達に、美味しいものをくれる相手には、元気よく挨拶してやろうと思ったからだ 「「ゆっくりしていってね!!」」 「さっそくだけどはたけのごはんがほしいんだぜ!」 「おいしいごはんをちょうだいね!」 二匹は、すぐにこの男が美味しいものをくれるだろうと、思っていた しかし、青年は、二匹から飾りを素早く奪い取ると、そのまま歩きだした そして、現在にいたる、れいむとまりさの訴えは、すべて無視され続けている れいむも、まりさも、すぐにでも森に帰りたかったが、髪飾りを奪われている以上、そのまま帰ることはできない 「ゆっくりしてないおじさん!ぼうしをかえすんだぜ!」 「ゆっくりなおにいさん!はやくりぼんをかえしてね!」 悪口を言っても、褒めても男は無視を続ける ゆっくりが喋る、男は何の反応も示さず歩き続ける、そんな状況が十分は続いただろうか、自宅に着いた男は家の中に消えていった ゆっくりは、飾りを奪われたことも忘れて、初めて目にした、人間の家に驚き、感激していた 「でっかいおうちなんだぜ!とってもでっかいんだぜ!」 「ゆゆゆゆ!ここならとってもゆっくりできそうだね!」 そんな会話をしていると、家の中から出てきた人間に髪の毛を掴まれ、強引に家の中へ引きづり込まれた 「いいたいんだぜ!ひっぱらないでほしいんだぜ!」 「ゆぅぅぅ!いたいよ!ゆっくりやめてね!」 若者は、れいむを玄関に落とすと、殺さない程度に踏みつけた 「ぎゅびゅ!!!」 「れいむ!おじさんやめるんだぜ!れいむをいびゅ!!」 まりさが最後まで言わないうちに、男はその頬を平手で打っていた 「い…いたいんだぜ!やめう゛ぅ!」 男は再び、先ほどより少し力をこめて、まりさの頬を平手で打つ 男はそのまま、まりさの頬を叩き続ける、見ようによっては愛嬌のある顔は、平手打ちを喰らうたびに左右に揺れる 「いだい!びゅごめゆ゛っごめんなびゅびゅ!!!」 必死に許しを乞うまりさを無視して、男はまりさの頬を叩き続ける 「うぅぅ!!うぅ!!!!!!」 一方、男の足元ではれいむが、まりさとは比べ物にならない、苦痛を味わっていた 男はゆっくりと、しかし、確実に足に掛ける力を強め続けている 「うぅ…う…ぅぅ」 男から逃れようと、もがけばもがくほど、男から受ける圧力は高まっている 「ゆ!びゅ!!…ぅう…う!!!!」 自分の皮が伸びていく、体内の餡子が押しつぶされていく、抗い様のない苦痛 非力な、れいむの出来ることは、顔を真赤にして、耐えようのない痛みを受けながら、うめき声をあげることだけだった 男は、実に五分間の間、二匹のゆっくりを叩き、踏みつけ続けた 男は、顔を真っ赤にはらしたまりさと、頭が少々へこんだれいむを竹でできた、虫籠ならぬ、自家製のゆっくりかごに入れると、家の中に入って行った 男は食事に風呂を済ませると、二匹のゆっくりの前に、彼らの髪飾りをもって現れた 「ゆ!ぼうしをかえしてだぜ!」 「れいむのりぼんをかえしてね!」 男は、籠の中で騒ぐ彼らの前で、帽子とリボンを玄関に落とすと、それらを思い切り、踏みにじった 「やややめるんだぜ!!!はやくやめるんだぜ!!!!!」 「れいむのりぼんをふまないでね!!!!ゆっくりせずにやめてね!!! しかし、男の感情のない、冷たい瞳で見つめられると、眼の前で大事な帽子を踏みつけられているにもかかわらず、ゆっくり達は、なにも言えなくなった 自分達の、目の前にいる生物が、決してゆっくりの力では、敵わない事は、さすがのゆっくりブレインでも、理解できた 二匹は、震えながら、自分達の髪飾りが、蹂躙されるのを見ているしかなかった 男は、そんなゆっくり達に見せつけるように、何度も何度も飾りを踏みつける 男が足を退かす頃には、二匹にとって大事な、大切な髪飾りはボロボロになっていった 「れいむのれいむのりぼん…」 「いやなんだぜ…かえりたいんだぜ」 男は、滅茶苦茶に踏みつけた髪飾りをそのままに、自分の部屋に戻って行った 二匹は、しばらくの間、己の不幸を呪い、汚され、傷つけられた髪飾りに、涙を流し、人間にすさまじい恐怖を覚えた 二匹は、また男が来るのではないかと、びくびくしながら過ごした 「ゆ…もしももりにかえれたらにどとひとざとにはおりないんだぜ…」 「ゆぅ…にんげんはゆっくりゃよりつよくて…ゆふらんよりもいじわるだよもりにかえりたいよ」 二匹はそのうち眠ってしまった、極度の疲労と恐怖、髪飾りを滅茶苦茶にされた、精神的なショック、空腹などが、彼らを眠りの世界にいざなった れいむは夢を見ていた、子供のころ、姉妹たちと楽しく遊んでいた頃の夢だった 鬼ごっこや、かけっこ、かくれんぼなどをみんなと一緒に、やっている夢 「いたい!いたいよ!!!」 れいむは、髪を引っ張られる痛みで、目を覚ました 男の目線まで釣りあげられると、昨日のまりさが受けていた平手打ちを食らった 「いだ!やびゅ!ゆびゅ!いだいいだいぃぃ!!!!」 何度となく、男に平手打ちを喰らう、下では昨日のれいむの様に、まりさが男に踏みつけられている 「っづう〜…うぅう!!」 まりさの、綺麗な金髪を男の足が踏みにじっている、まりさも、昨日の自分の様に、皮の伸びる痛みと、餡子を押しつぶされる激痛を味わっているのだろう 男は、昨日のより多めに十分間ゆっくり達を痛めつけた ボロボロになったゆっくりを籠に入れると、男はゆっくりの入った籠を持って、昨日二匹に出会った場所に連れて行った 二匹を籠から放り出すと、昨日自分の手で滅茶苦茶にした、二匹の髪飾りを投げ渡した 二匹は、それぞれの髪飾りを咥えると、跳ねることはせず、地べたを這いずりながら、森へ向かって逃げて行った 二匹は、男に背を向けていたため気付かなかったが、男は去っていく二匹をまるで、卒業生を送り出す、担任教師の様な目で、見つめていた 「ふー、彼等もこれに懲りて、二度と人里に下りて来る事は、危険だということを学んだでしょう」 そんなことを言うと、青年は首にかけていた手拭いで、目からあふれ出る、心の汗を拭いとった 彼は自称、愛のゆっくり熱血教師、通称、ゆっくり体罰教師と呼ばれていた ゆっくりに口で言っても駄目だ、彼らに物を教える、最も効果的な方法は肉体言語だ、というのが彼の考え方だった 殴って、蹴って、人間がどれほど恐ろしいか教えてやれば、彼らは金輪際、人里へは下りてこない これで、人間の恐ろしさを知ったゆっくり達は、虐待お兄さんに捕まって虐待されたり、畑のトラップで死ぬ事もなくなる 教育の力で、あの可愛い生徒達は、大自然の中、のびのびと暮らしていく事ができるのだ 「可愛いゆっくりの未来を守るためには、体と体、心と心の、ぶつかり合いが大切なのです」 晴れ渡った青空に向かって、そう呟くと、男は家に帰っていった ちなみに、男から愛のこもった教育を受けた、生徒達はというと、結果的には男の言うとおり、二度と、人里には近づかなかった しかし、大自然の中、のびのびとは暮らしていくことはできなかった れいむは、長く頬を張られ続けたせいで、頬の皮が、柔らかく、破けやすくなっていた ゆっくり体罰教師に、地面に投げつけられたせいで、右頬には大きな穴があき、這いずるたびに、餡子が漏れ出した れいむは自分の体から、命の元が、徐々に流れ出ていくのを感じながら、二度と覚めることのない眠りについた まりさは、柔らかい饅頭の体で、人ひとり分の体重を長い間、かけ続けられたせいか、跳ねることができない体になってしまっていた ミミズのような遅さで、這いまわることしかできない身体では、敵から逃げることも、獲物を追う事も出来ない そんなゆっくりが、厳しい自然界で、生き延びることができるはずがなかった その日のうちに、まりさはれみりゃに食い殺されてしまったそうだ 作:ゆっくりな人 以前書いた虐待 ゆっくりカーニバル 臭い付きゆっくり(上) 臭い付きゆっくり(下) ゆっくり移植 きらーうーぱっく このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/3444.html
※虐待スレアンチ的な要素が多分に含まれる気がしますのでご注意ください 一匹のゆっくりまりさが、野道をぴょんぴょん跳ねている。 娘である赤ちゃんれいむと一緒にハイキングに行った帰り道だ。胎生型出産で、一匹だけ生まれてきた赤ちゃんだ。 番のれいむは現在第二子をにんっしんっ中であり、おうちでお留守番をしている。 念願の妹の誕生を前に赤れいむは、「りっぱなおねえちゃんになゆよ!」と毎日一生懸命ごはんを食べている。 今日も綺麗なおはなさんや美味しいきのみさんを沢山食べて、また少し大きくなれた。 きっと見る見るうちに、お母さんれいむに似たとてもかわいくてしっかりした成ゆっくりに育つのだろう。 妹から尊敬されるお姉ちゃんになろうと美味しいごはんを食べる赤れいむを見て、まりさはとてもゆっくり出来ていた。 こんなにゆっくりした赤ちゃんを持っているのは、きっと世界で自分だけだ。まりさの自慢の赤ちゃんだ。 帰ったら早速れいむに、赤ちゃんが今日どんなにゆっくりしていたかを話してあげよう。 そして夫婦で両側から赤ちゃんに頬ずりをして、家族みんなでゆっくりしよう。 自然と速まる家路への歩み。人間で言えばスキップでもするようなリズム。 そんなまりさに、突然聞いたことのない声が掛けられた。 「あれー? ゆっくりだ」 「これゆっくりまりさじゃん! 可愛い~!」 「ゆゆ?」 声のした方向をまりさが見上げた先にいたのは、若い男女二人組の人間たち。 この辺りは綺麗な花畑のあるゆっくりプレイスなので、人間が遊びに来ることも珍しくはなかった。 まりさは人間さんという他種族にはあまり関わらないようにしていたが、 目の前の二人はゆっくり出来そうな人たちに見えたので、普段仲間にそうするように笑顔で挨拶することにした。 「ゆっくりしていってね!!」 「わ、ゆっくりしていってねだって!」 「初めて聞いたー! ゆっくりしていってね、まりさ!!」 人間さんたちは腰を屈めて、まりさに満面の笑みを向けてくれる。 良かった、やっぱりゆっくり出来る人たちだった。ゆっくり出来るならみんなお友達だ。 まりさは「ゆゆ~!」と身体を縦に伸ばし、新たな友人への親愛の情を表現していた。 すると、まりさの頭に載った帽子がもぞもぞと動き、中からちっちゃな赤ちゃんれいむが顔を出した。 「ゆ・・・ゆっくいしていっちぇね!」 「ゆ、まりさのあかちゃん!」 遊びつかれて、お帽子の中でお昼寝していた赤れいむ。まりさは『おこしちゃったかな?』と内心苦笑する。 (跳ねているまりさの帽子の中はかなり揺れるが、お母さんのおつむの上、お帽子の中というだけでとてもゆっくりできるのだ) 『ゆっくりしていってね』という言葉の魅惑的な響きに、いても立ってもいられなかったのだろう。 特に生まれて間もない赤ちゃんゆっくりにとって『ゆっくりしていってね』の挨拶は、 言うだけで気持ちがあったかくなる、とても楽しくてゆっくり出来るものだ。みんないつも言いたくてたまらない。 だから挨拶を聞いた赤ちゃんが這い出てきてしまうのも無理はないことである。 それにまりさのとってもかわいい赤ちゃんを見て、人間さんたちもますますゆっくり出来るだろう。 もしかしたらそのお礼として、お菓子がもらえるかも知れない。 「ゆゆ、にんげんさん!まりさのあかちゃんとってもかわいいでしょ!じまんのむすめだよ!!」 そんな期待を込めて、得意げに上を向いたまりさの瞳はしかし、忌々しげに細められた冷酷な視線によって射竦められた。 人間さんたちはもはや中腰にはなっておらず、まりさを遥か高みから威圧するように見下して来ている。 「あ? 何だこいつ……虐待用ゆっくりかよ」 「マジキモイんですけど、そういうの」 「ゆ・・・?」 まりさの満点の笑顔が不安に引きつる。 あんなにゆっくりしていた人間さんが、突然ゆっくり出来なくなったのだ。その理由が解らない。 もしも最初から冷たくされていたなら、まりさもさっさとその場を離れていたことだろう。 しかし一度ゆっくり出来る仲間だと思った相手から見放されるのは、ゆっくりにとってとても辛いことなのだ。 だからまりさは必死に考える。自分が何かまずいことをしたのだろうか。 もしかしたら、もっとよく赤ちゃんを見たいのかも知れない。 そう思ったまりさは、頭上の赤ちゃんをゆっくりと地面に下ろしてやり、 首を傾げる赤ちゃんに「いっしょににんげんさんをゆっくりさせてあげようね」と声をかける。 そして精一杯笑顔を作り、赤ちゃんと一緒に「にんげんさん、ゆっくりしていってね!!」と再び挨拶を繰り返す。 しかし人間さん達はこれ見よがしに、ますます表情を醜く歪めた。 「はあ? 何媚びてんのこいつら。キモすぎ」 「変てこ生物のくせに何で子供とか産んでんの? 動物みたいで気持ち悪いよ、マジ」 「ゆゆ?だれでもあかちゃんはうむよ!おにいさんもおねえさんもむかしはあかちゃんだったんだよ!」 「だーからー、人間と一緒にすんなっつうの。生々しいっつーか、発想が安直なんだよ」 「そうそう、ゆっくりは単純な動物とは違う不思議さが良いんじゃん。赤ちゃん産むとかゆっくりっぽくないし」 『ゆっくりっぽくない』……何を言っているのだろう、この人たちは。自分達を措いてゆっくりなどいない。 まりさには人間さんの言っていることが少しも理解出来なかったし、彼らも思ったことを言っているだけで、 全くまりさに解らせようとは思っていない。しかし、とてもゆっくり出来ないことを言われている事だけは解った。 二人の冷たい視線に晒された赤ちゃんは、くりりとした瞳を涙で満たし、戸惑いがちに視線を彷徨わせている。 「や、やめてね!まりさたちはとってもゆっくりしたゆっくりなんだよ! ゆっくりはみんなあかちゃんをうんでそだてるんだよ!かわいいあかちゃんといっしょだとゆっくりできるんだよ!!」 「かわいいあかちゃん(笑)そんな事言ってるの虐待お兄さん(笑)だけだし」 「普通の人は赤ちゃんゆっくりを見たら気持ち悪い汚物だと感じる。普通は避けて通る」 「に、にんげんしゃん、ゆっくいしちぇね!れ、れいみゅはきもちわゆくにゃいよ!ゆっくいできゆよ!」 おぼろげながら自分のことを否定されているのだと気づいた赤れいむが、必死に抗議の声を上げる。 しかしその縋るような声も人間達の一笑に付されてしまう。 「これだよこれ、このわざとらしい赤ちゃん言葉」 「そういうのが媚び媚びで気持ち悪いっつーんだよ、マジでゆっくり界の癌だな」 「にんげんさんたちやめてね!あかちゃんがないちゃうよ! だれだってはじめはうまくしゃべれないよ!にんげんさんたちだってそうだったんだよ!!」 人間さんはたまたまゆっくりと同じ言葉を使うから、これは良く解ってくれるはず、とまりさは思った。 特にまりさは昔、ハイキングに来ている人間の幼児を遠目に見ていたことがあった。 その様子を見た限りでは、人間は幼少期、満足に親と会話すらできないはず。 だとすれば、たどたどしくてもお母さんといっぱいお話が出来るゆっくりの赤ちゃんは、 人間さんの赤ちゃんよりもずっとゆっくりした存在なのではないだろうか。 羨ましがられることはあっても、気持ち悪がられるなどまりさの理解の範疇を超えている。 「ってゆーか赤ん坊のくせに最初から喋れるというのがおかしいし」 「ま、会話が成り立たないと話術で泣かせたり、絶望に突き落とせないからね。それもご都合ってことでしょ」 「そうだな。親を裏切らせたり、生きることに絶望させたり、無垢な赤ゆにならやりたい放題、 全く汚らしい。それをやらせるために生まれてくる赤ゆ共もな」 返って来た言葉は、まりさには予想不可能な角度からの切り口だった。 言っていることの一つ一つは良く解らなかったが、赤ちゃんがお話出来るのはゆっくり出来なくなるためということらしい。 何なのだ、それは。確かにゆっくりの話す言葉には、相手をゆっくり出来なくさせる危険なものもある。 しかし言葉はその為にあるわけでは決して無いし、そんなものを赤ちゃんに向けることは絶対にない。 これには、お母さんからたっぷりゆっくりさせて貰っている赤れいむも怒り出してしまった。 「にゃにいっちぇゆの!れいみゅはおかーしゃんとゆっくいおはなししゅるためにしゃべれゆんだよ!」 「そうだよ!おはなしできるとすごくゆっくりできるんだよ! あかちゃんをかなしませたりしないよ!みんなあかちゃんのこととってもかわいがってるよ!!」 「れいみゅはおかーしゃんにゆっくいさせちぇもらってゆよ! おこりゃれゆこともありゅけど、しゃいごにはじぇっっったいにれいみゅをゆっくいしゃせてくれゆんだよ!!」 怒りに頬を膨らませ、ぷるぷると身体を震わせながら熱弁するまりさと赤れいむ。 自分達はゆっくりするために生まれて来て、ゆっくりするために生きている。 自らの存在の正当性を懸命に主張する二個の脆弱な饅頭を見て、人間達はプッと吹き出した。 「ね、ねえ、そもそも何でゆっくりが赤ちゃん産むようになったのか解ってる?」 「ゆ・・・?だからかわいいあかちゃんとゆっくりするためだよ!!」 「れいみゅもおおきくなっちゃらあかちゃんをうみゅよ!しょれでいっちょにゆっくいしゅるの!!」 「プッ、意味わかんねー。あのさあまりさ、自分の赤ちゃん可愛い?」 「ゆゆ?あたりまえでしょ!とっっっっっってもかわいいよ!!すごーーーくゆっくりできるんだよ!!」 「おかーしゃんだいしゅき♪」 すりすりと頬を擦り付けてくる赤れいむ。その微かな圧迫感がまりさには心地よい。 寄りかかる重みは自分のしあわせ、頬の柔らかさはゆっくりそのものだ。 「じゃあ赤ちゃんいなくなったら悲しい?」 「ゆゆ・・・かなしいよ!あかちゃんがいないとゆっくりできないよ!」 「おかーしゃんとはにゃれたくにゃいよ~~!!」 「ま、そういうことよ。つまり赤ちゃんを失う悲しみを味わうためにゆっくりは赤ちゃんを産むわけ」 「赤ゆっくりってマジで薄汚い悪意の塊だからな。平然と人前に出さないで欲しいわ」 まりさの笑顔が凍り付き、赤れいむの頬を上下させる動きも停まる。 確かに赤ちゃんを事故などで失って悲しみに暮れるゆっくりは沢山いるし、 そういう親ゆっくりが人間の子供などに笑われている光景も見たことがある。 だが全く理解出来ない論理展開だ。人間が悲劇を見て喜ぶことと、自分達の存在に何の関係がある? 「な・・・なにいっでるの!!まりざはぜっっっっっったいにあかちゃんをなくさないよ!! ずっといっしょにいてみまもっでであげるんだからね!!ゆっぐりでぎないことをいわないでね!!」 「ほら~、そういうリアクションが虐待厨どもを喜ばせるんだろ?」 「ゆっくりだったら『おお、こわいこわい』とか言って受け流す場面じゃん。もうゆっくりじゃないよこいつ」 「ゆー、だから・・・」 「にんげんしゃん、も、もうやめちぇね・・・! おか、おかーしゃんは・・・とってもゆっくいしたゆっくい・・・ゆ・・・ゆわあああああぁぁぁあん!!」 「あ、あ、あ゛がぢゃあぁぁぁん!!」 とうとう大声で泣き出してしまった赤れいむ。ゆっくり出来ない人間さん達の前に晒され続けた恐怖と緊張が溢れ出したのだ。 まりさは必死にすりすりをして赤ちゃんを宥めながら、キッと精一杯の怖い顔で人間さん達を睨み付ける。 しかしそれも彼らの失笑を買うだけだった。 「おいおい、何泣き出してんだよアンド怒って見せてんだよ」 「感情表現が豊かになると何か違っちゃうよね。ゆっくりって書割看板みたいな笑顔が魅力じゃん?」 「あとー、何『バカにされるお母さんのために泣いた』みたいな美しい雰囲気出そうとしてんの? 非ゆっくり筆頭はてめーだっつってんだろ、赤ゆっくり。矛先逸らそうとすんなよ」 「ぷくううぅぅぅ!!もうそれいじょういわないでね!!にんげんさんたちはぜんぜんゆっくりしてないよ!! まりさはとっっっっってもおこってるんだからね!!」 そう、まりさは怒っていた。 初めは、ゆっくりしていない人間さん達にゆっくりしてもらおうと思って話を続けていた。 しかしこうまで言われて、赤ちゃんまで泣かされて、そんな風に友好的に考えることは最早不可能だった。 かわいいあかちゃんを守るためにたたかう。それがまりさの新たなる決心だった。 「だから怒ってるとかウゼーから」 「何でゆっくりなのにそんなに泣いたり怒ったりすんの? 全然ゆっくりしてないじゃん。 マジ虐待厨のキチガイどもはゆっくりに何求めてんだって話」 「うるさいよ!!ゆっくりだっていきてるんだよ!!わらったりよろこんだり、ないたりおこったりするよ!! にんげんさんたちだってそうでしょ!!なにもかわらないよ!!」 「だーかーらー、何で人間に近づけるんだって言ってんだよぉ。ただの人間とかとは違うシュールさ? っつーかある種の超越性っつーか? そういう独自の魅力が完全にスポイルされてるじゃん」 「むずかしいことばをつかわないでね!!そんなふうにまりさからにげようとしないでね!!」 「おやおや、ちょっと突っ込んだ話をすると衒学厨の荒らし扱い、便利なシステムですね」 「餡子脳には難しかったでちゅか~(笑)」 「ゆゆ~、まりざはどってもかしこいんだよ!!おがあざんやれいむにほめられたこともあるんだよ!! わざとわからないいいかたをするにんげんさんたちがおがじいんだよ!!」 「おい、その餡子脳っての虐厨用語だから……」 「おっと、失敬失敬」 「さっきからなにいっでるの!!まりざのおはなじをぎいてね!!!」 極度のストレスに駆られ、ぽいんぽいんと乱暴に飛び跳ねてがなり立てるまりさ。 まりさがどんな決意をしようと、それは何者の足下にも及ぶものではなかった。 決定的な温度差があるのだ。まりさが何を素晴らしいと思っていても、それは他者にとっては唾棄すべきものであるのだから。 人間達はウンザリした風に、はあ、とため息を吐く。そして二人組のお姉さんの方が中腰になり、まりさに優しく視線を合わせた。 ようやく話をする気になったか、とまりさも昂ぶっていた感情を抑える。 「もうだいじょうぶだからね、なかないでね」と、ゆぐゆぐと泣く赤ちゃんに舌戦での勝利を約束しながら、正面に向き直った。 「あのさあ、赤ちゃんはどんな風に可愛いの?」 「ゆ・・・?とっっっっっても・・・」 「そういう抽象的なのは良いから。じゃあどんな風に可愛がってんの」 「ゆぅ・・・すりすりをしたり、ごはんをあげたり、おうたをうたってあげるよ」 「それだけじゃ赤ちゃんは大きく育たないでしょ」 「ゆぐぅぅ、あと、あと・・・ゆゆっ、ゆっくりできないものからあかちゃんをまもってあげるよ!!」 「へぇ~。どんなゆっくり出来ないものがあるの?」 「ゆっ、ゆっくりできないものはいっぱいあるんだよ」 ゆっくり達の知能ではろくに数を数えられないことを差し引いても、ゆっくり出来ない事物はあまりに多かった。 それを聞いて後ろの男が、「その時点で既にゆっくり生きられねえじゃん、矛盾だらけ」と呟いたが、まりさには聞こえなかった。 「たとえば雨が降ったら?」 「あめさんにぬれるととけちゃうよ・・・でもまりさがおぼうしのなかにいれてあげるよ!」 「川に落ちたら?」 「あめさんといっしょだよ!おみずさんはゆっくりできないんだよ!でもまりさがおぼうしにのってたすけにいくよ」 「寒くなったら?」 「ゆ、さむいさむいだとあんこがかたまって、ゆっくりできなくなるよ・・・でもまりさがあっためてあげるよ!」 「虫の大群に集られたら?」 「ゆゆ、むしさんは・・・あんこがみんなたべられちゃうよ。でもわるいむしさんはまりさがみーーーんなたべちゃうよ!」 「転んで石にぶつかったら?」 「あかちゃんはとってもやわらかいから、おおけがをしちゃうよ。でもまりさがぺーろぺーろするからだいじょうぶだよ」 「高い所から落ちたら?」 「すごくいたいいたいになっちゃうし、おけがもするよ・・・でもまりさがついてるからだいじょうぶだよ」 「尖った石を踏んだら? 尖った葉っぱや木の枝に引っ掛かったら?」 「ゆっ、か、かわがやぶけちゃうよ・・・でもねまりさが」 「悪いゆっくりに狙われたら?」 「そんなゆっくりはまりさがやっつけるよ!でもゆっくりごろしはいけないことだから、いっぱいおこってはんせいさせるよ」 「犬とか狐とか、他の獣に狙われたら?」 「ゆぐぐ・・・まりさのおくちにいれていっしょににげるよ!でもにげきれないときは、ま、まりさが・・・」 「じゃあ人間に狙われたら?」 「ゆぐぅぅう、まりさが、まりさが・・・どうしてぞんなごどきくのおぉぉぉ!?」 お姉さんはこの他にも、次々に『ゆっくりできないこと』を列挙していった。 その大半は、他の多くの生物であれば何とも無かったり、楽に回避出来るような問題だ。 後ろで「おかーしゃんがんばっちぇね!」と応援を送っていた赤れいむの顔色が、段々と青褪めてくる。 その中のどれか、またはいくつかに遭遇しかけた経験があるのだろう。 「もういいでしょ!ゆっくりできないことはいっぱいあるんだよ!! だからおかあさんがいっしょにいてまもってあげるんだよ!!そしたらゆっくりできるんだよ!!」 「ふぅん、で……そのどれにも遭遇しないで生き延びれる可能性ってどんだけあるわけ?」 「ゆぐっ・・・・」 まりさは『いくらでもあるよ!』とは答えられなかった。 何せ自分自身の姉妹が、生まれた時の1/3以下までその数を減らしていたからだ。 姉妹の数を正確にカウントすることなどまりさには出来るはずもなかったが、 日が経つごとにおうちの中が寂しくなっていくという実感だけが強く印象に残った。 一度に10匹以上が産まれ、数ヶ月の後、最終的に巣立つことが出来たのは2、3匹…… 多くの姉妹が絶望と苦痛の中で死んでいった。自分が生き残れたことは奇跡としか言い様が無い。 まりさはその奇跡のような生に感謝して日々を過ごしていたのだ。 きっと同じ奇跡が自分の赤ちゃんにも起こるに違いない、と頑なに信じて。 根拠ならある。奇跡の子供である自分の赤ちゃんにも、奇跡が起きないわけがない。 だがそんなものは、まりさが我が子を設ける事を正当化するための思い込みであり、他の誰にも知ったことではなかった。 「増殖力が頼みの生物って、痛覚が無かったり赤ん坊が自生出来たりするだろ。 それが生物としては最弱レベルで、発達したのは家族をいとおしむ情ばかりって、歪んでるとしか言い様がねーよ」 「つまり赤ちゃんは惨たらしく死んで親を泣かせるために産まれて来るようなもんじゃん。 はっきり言ってコンセプトが醜すぎ。こんなグロテスクな背景持ってるヤツ可愛いなんて思うわけないよ」 「ひひ、ひどいごどいわないでね!!ぜんぶおおうそだよ!!にんげんさんはうぞづきだね!! みんなゆっくりするためにうまれてくるんだよ!!あかちゃんはゆっぐりじで・・・ゆっぐりっ・・・・」 まりさは嗚咽に言葉を詰まらせるが、そんなことに興味が無い人間達は容赦なく追い打ちの言葉を浴びせる。 「だから、その気持ち自体が打ち砕かれるためにあるんだってーの!!」 「お前らがいくらゆっくりしたがっても、お前らの世界は絶対にゆっくりさせてくれない。 だって明らかに世界に適応してないもん。動物っぽいリアリティを持ちながら、まるで理に適ってないじゃん。 ゆっくり出来なくなるためにカスタマイズされたお前らをゆっくりと認める奴は誰もいないよ」 「ゆぐ・・・ゆあ・・・・ゆあぁぁぁ・・・・・」 赤ちゃんれいむがその小さな身体を預け、いつかは自分もと憧れた、まりさの大きな大きなほっぺた。 その頬に涙が幾筋も伝い、次々に冷えて乾いていく様を、赤れいむは呆然と眺めていた。 まりさは混乱していた。何故なのだろう。何故こんな訳の解らないやり取りで、自分の心は追い詰められているのだろう。 でも言われてみれば、確かに不公平なのだ。この世界はゆっくりにだけ優しくない気がしてくる。 どうして自分は、今までゆっくり達がずっとゆっくりできると信じて生きて来れたのだろうか。 まりさの餡子がフル回転し、その疑問に対する一つの答えを引っ張り出してきた。 それは、紛れも無い今の現実だ。 ゆっくり達が家族を成し、群れを成し、色んな辛いことや悲しいことに巻き込まれながらも、日々を一生懸命暮らしている。 自分は毎日それを眺めて、その中に身を置いて、『ゆっくり』というものをたくさんたくさん実感してきた。 これこそが『ゆっくりがゆっくり生きられる可能性』の、何よりの証拠ではないか。 この正解こそは反撃の剣だ。人間達の妄言をばっさりと切って捨てることが出来る、まりさの正義だ。 顔をぶるぶると左右に振り、白玉の目から溢れ続ける涙を払うと、まりさは唇に忍ばせた反撃の刃を、人間さん達に向けた。 「ゆっ・・・・にっ・・・にんげんざんだぢはおばがだね!! ばりざだちはいまもいきてるよ!でいぶもありずもばちゅりーも、たぐさんのゆっくりが、い、いっじょにゆっぐりじてるよ!! あがぢゃんがゆっぐりでぎるから、むれがうばれるんだよ!!ぞしたらまたあがぢゃんがうばれで、むれがでぎるよ!! ごれでわがっだでしょ!!ばりざだぢはゆっぐりでぎるゆっくりなんだがらね!!!」 まりさのご高説に、後ろで聞いていた赤れいむは感動の涙を流し、 人間さん達は耳の穴をかっぽじりながら無表情という表情を浮かべた。 「ふーん。なるほどねー」 「ゆっくりりがいでぎた!?そしたらまりざとあがちゃんにあやまっ・・・」 「じゃ、最初のゆっくりはどこで生まれたんだよ」 「ゆっ?」 何を今更、下らない質問をしているんだろう。まりさの言葉が鋭すぎて頭がおかしくなったのかな? 勿論最初のゆっくりも、お母さんから生まれてきたに決まっている。みんな最初は赤ちゃんだったのだ。 ……あれ? じゃあそのお母さんは、一体どうやって生まれたんだろう。そのお母さんは? そのまたお母さんは? どこまで行っても最初に辿り着けない。 ゆっくりは動く饅頭であるから、自然界の進化の中でどこかから分岐してくるわけもない。 無論そのような理屈めいたことまで、まりさの知識も思考も及ぶはずはなかったが。 「・・・ゆ?ゆゆゆ?ゆゆゆゆ!?」 「ゆゆゆじゃねーよ汚物が。可愛いつもりかその鳴き声」 「これで解ったよね、まりさ? 今生きてるゆっくりの出自なんか誰も興味無いから。 最初のゆっくりは、どっかから適当に沸いて来たんだよ。これ以上の設定は無いの。 お前ら『繁殖力が強い』だけで誤魔化せないぐらい弱いじゃん。絶対先細りになるに決まってる。 だから絶滅しかかると、またどっかから忽然と沸いて来るの。この繰り返し」 「まったくいい加減というか、ゆっくりの不思議さを逆手にとって卑怯だよな、リアリズムを突き詰められないからって」 「ま、ちょっとでも自然界で生き延びられる力を与えちゃうと、ゆっくりされちゃうからでしょ? 虐キチはそういうの絶対許さないからねー、ほんと陰湿っていうかキモイ」 「ゆ・・・・・?・・・・ゆ?・・・・・・?」 「だからね、ゆっくりが勝手に生えてくる限りは、お前らがゆっくりできる必然性は何も無いってことだよ。虐厨にとっては」 ゆっくりはかってにはえてくる。 そういえば、数も数えられないし、見た目もみんな仲良くそっくりだからあまりはっきりとは解らないけど、 時々、見かけないゆっくりが群れのお友達に混ざっていることがあるような……。 しかしそんな時でも、まりさはお友達が増えたと素直に喜んでいた。 それは大抵、いつものお友達が減っていって、寂しくなって来た時に現れるからだ。 番のれいむも、ある日突然森の中で見かけ、まりさが一目惚れしたのが結婚するきっかけだった。 人間さん達は彼女達が、勝手に惨たらしく死んでいくゆっくり達の補充に過ぎないのだという。 出会いを歓び、ゆっくりを共にした伴侶や友達が、実は自分達がゆっくり出来なくなるための装置だという。 そして彼女達もまた、惨たらしく死んでいくために発生するのだという。 「そ・・・ぞんなのうぞだよ・・・だっで・・・だってね・・・・」 「嘘も何も、単なる帰納じゃねーか。解りきった見たまんまを言っただけだよ」 「結論を出せもしない設定論議には躍起になるくせに、そういう現実からは目を背けるんだよね。だらしないね」 「やべで・・・やべでね・・・・やべでね・・・・・まっ・・・まりざをなかせないでね・・・・・・ あかちゃんが・・・・あがぢゃんがみでるんだよぉぉ・・・・!」 度重なるゆっくりの否定を受け、まりさの精神はもう限界に来ていた。 冷たく突き放すような喋り方を、今までまりさは受けたことが無かった。 ゆっくり同士はとても馴れ馴れしく図々しく、よく言えば親しみを込めて話すことがほとんどだからだ。 そんなまりさがここまでの緊張に耐えられたのも、ひとえに「まりさはおかあさんだよ」という信念に支えられてのこと。 しかしその小豆のように固い信念も、既に打ち砕かれる寸前だ。 それも、自分が守ると誓った赤ちゃんの目の前で。 このまま見っとも無く泣き出してしまう所を赤ちゃんに見られてしまえば、きっと自分は立ち直れなくなる。 だからあふれ出す悲しみと闘いながら、顔中を引き攣らせながらも懇願する。 もう自分達をいじめないようにと。赤ちゃんや自分をゆっくりさせてほしいのだと。 だが人間さん達は取り合わず、心底嫌そうな表情でまりさを見下す。 「うわ、また泣きそうになってるし。しかも必死に堪えてるのがまたキモイ」 「泣くにしたって、バーっと泣き喚いてケロリとするのがゆっくりでしょ。例えて言うならエシディシみたいな? こういう葛藤とか情とかで思い詰めてるのはさすがに勘弁。人間の出来損ないじゃん」 「そうそう、全くゆっくりしてないよね。人間になれなかったからゆっくりです、みたいな。 害悪としか言い様がないな、こんなの」 「ゆぐ・・・・ゆぐうぅぅぅぅぅぅ!!ゆぐぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!」 もうだめだ。まりさは人間さん達に泣かされてしまうんだ。 わんわん泣き喚くまりさを見て、きっと赤ちゃんはがっかりするだろう。ゆっくりできないお母さんだと嫌いになるだろう。 そしてまりさが言い負かされてしまったら、赤ちゃんは生まれてきたこと自体が嫌になってしまうかも知れない。 そんなのいやだ。まりさは赤ちゃんに嫌われたくない。赤ちゃんをずっとゆっくりさせてあげたい。 しかし、そうした恐れの感情はより大きな悲しみを呼ぶだけだ。まりさの涙腺は既に決壊しかかっていた。 もう堪えきれない。まりさの絶望が最高潮に達しようとしたその時。 まりさはその頬に、とても軽く、とても小さな、しかし確固とした暖かみを感じた。 「おかーしゃん、ゆっくいしていっちぇね?」 「ゆっ・・・・・?」 横を向いたまりさが見たのは、両目いっぱいに涙を浮かべ、微かに全身を震わせながら、 しかし一生懸命自分に頬をすり寄せてくる、自分の愛娘の姿だった。 「ゆっくいしちぇね、おかーしゃん!ゆっくいできないことはいっぱいあゆよ! でもれいみゅは、れいみゅはおかーしゃんといりゅだけでしゅっごーーくゆっくいできゆんだよ!! だからおかーしゃんはれいみゅがゆっくいさせちぇあげりゅからね!!なかにゃいでね!!」 「ゆあ・・・あかちゃん・・・ばりざのあがぢゃあああああああん・・・・・・・」 まりさと赤れいむの涙が混じりあい、すりすりをする中で互いの表皮がベタベタになっていく。 そのペタペタとくっつく感触すら、まりさには愛おしかった。 何故、最後まで信じられなかったのだろう。 自分の子が奇跡の子だということを。世界で一番ゆっくりできる赤ちゃんだということを。 人間さん達が何を言おうと、それはただの机上の話。まりさにとって見えない恐怖でしかない。 今、自分とすりすりしている赤ちゃんの体重、体温、心のぬくもりこそが現実だ。 その絶対の現実は、想像の暗闇に沈もうとしていたまりさの心を、しっかりと支えてくれたのだ。 (そうだよ!!あかちゃんがいればゆっくりできるんだよ!! あかちゃんはかわいいよ!!いつかつらいめにあうかもしれないけど、あかちゃんはすごくゆっくりできるよ!! まりさはいますごくしあわせなんだよ!!だからなんにもこわくないよ!!!) まりさは世界中の全てに向けて、大声でそう主張したかった。 しかし感極まったまりさの口は上手く回らず、うぅ、とか、うぁぁ、という呻き声にしかならなかった。 涙で滲む視界をぎゅっと閉じ、すりすりに応える儚く柔らかな感触に全神経を集中する。 まりさは一人じゃない。まりさには家族がいるんだ。ゆっくり出来なくなっても、お互いに助け合える。だから何も怖くない。 しかしその家族の感触は、数秒後に失われた。 後編へと続く
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/4817.html
※俺設定注意 「ゆっくりしようね、れいむ!!!」 「ゆっくりしようね、まりさ!!!」 今、僕の家の中で嬉しそうに頬を摺り寄せるのは2匹のゆっくり。 れいむとまりさだ。 彼女たちは、「お菓子をあげる」という僕の誘いに乗ってここまでやって来た。 基本的に僕はゆっくりが好きだ。 人間の生首をデフォルメしたような容姿、なんとも言いがたい微妙な表情。それらが僕の関心を惹いて離さない。 一般的には愛でお兄さんと言われる部類の人間ではないだろうか。 でも、そんな僕が最近気にかかっている事がある。 ゆっくり全体、その繁栄の基盤を揺るがすような重大な事だ。 恐らくだが、このまま誰もが放っておいたらゆっくりは遠からず未来で絶滅してしまうだろう。 それは嫌だ。「僕の好きなゆっくり」には、この先もずっと生き残って欲しい。 だから僕はこの二匹を家へと呼んだ。 この部屋はこれと言った家具が無い。もし彼女たちが暴れても、何一つこちらも、あちらも損害を被る事は無い。 それに今からやる事は彼女たちにとっても良い事のはずだ。最初は悲しみこそすれど、後に僕に感謝するようになるだろう。 少なくともその事だけは確信している。 さぁれいむ、まりさ。 今から僕が、君たちの決定的な矛盾点を取り除いてあげよう。そうすれば君たちは生物としてより強くなれるはずだ。 そうすれば絶滅なんかしない。ずっと僕の好きなゆっくりで居られ続ける。 始めようじゃないか。 あかちゃんはとってもゆっくりできるんだよ! 「ゆ~ゆゆ~ゆ~♪」 「ゆっゆ~♪」 ふにふにと、頬を摺り合いながられいむとまりさは間抜けな歌声を晒している。 この二匹は、今現在「とてもゆっくりしている」状態にあった。 事の起こりは数十分ほど前。 いつもの様に日向ぼっこをしていた二匹の前に、男が現れてこう言ったのだ。 「美味しいお菓子をあげるから、うちに来ないかい?」と。 深く物事を考え(られ)ないゆっくり二匹。二秒と考えずに、男の誘いを快諾した。 彼に連れて来られたのは、ゆっくりの常識に当てはめるなら途轍もなく広いおうちだった。 そこの一室に通される二匹。勿論そこも、ゆっくりからして見れば異様なほど大きいおうちだ。 そしてそこに降って湧いた沢山のお菓子と男の「ここをれいむ達のお家にしていいよ」という言葉。 労せずしてれいむとまりさは誰もが羨むおうちを手に入れたという訳だ。 菓子を平らげ、そのままそこでゆっくりしだす二匹。 ゆーゆー歌を歌ったり、昼寝をしていたりするがゆっくりは基本娯楽に乏しい生活を送っている。 しかもつい先程巨大な住処を手に入れた二匹の取る行動と言えば、最終的にはたった一つ。 「ゆほおおおおお!!!れっ、れいむううううぅぅぅぅ!!!」 「まりさあああああああぁぁぁ!!!ゆうううぅぅぅん!!!」 交尾だ。 食・住が満たされれば即交尾に繋がる。他にやることが無いから。これは田舎の人間とかにも当てはまることだ。 今かなり(人間に対して)失礼な説明をしたが、とにかくこの二匹は生殖を選択した。 「ゆううううぅぅぅぅ・・・・・・すっきりー!!」 「んほおおおおおおおおお!すっきりー!!」 ほぼ同時に達する二匹。それに伴い、母親役のれいむからにょきにょきと生えてくる茎。 年中発情期のゆっくりは、交尾すればすぐさま子供が生まれる。 一部では例外があるものの、このれいむ達はその中には含まれなかったようだ。 異常ともいえるスピードで成長する茎。 まるで実が成るが如く、赤ん坊のゆっくりが茎の先に実っていく。 中々にこの全世界の生物にとって反常識的・冒涜的・嘲笑的な産まれ方だと言えよう。 「ゆううぅぅぅ~!!!あかちゃんがうまれるよおおおぉぉ~!!!」 「ゆっ!!」 「ゆっくち!!」 「ゆんっ!!」 「まりさのあかちゃん、とってもゆっくりしてるよぉ~!!!」 茎の先に実ってから生まれ落ちるまでたったの五分。 そのサイズに比べて余りにも早いスピードで赤ゆっくり達は生を受けた。 感動の涙を流す親ゆっくり。 命の尊厳を感じさせるには少々軽すぎる雰囲気だ。 「ああ、おめでとう。可愛い赤ちゃんだね」 「「ゆゆっ!!」」 赤ん坊に囲まれ、幸せの絶頂にいる二匹に声がかけられる。 この部屋をれいむ達に与えた男。れいむ達にとっては、優しいお兄さんだ。 「ゆっ!!おにいさんがれいむたちにりっぱなおうちをくれたから、かわいいあかちゃんがうめたよ!!」 「ありがとう、おにいさん!!あかちゃんたち、こっちにでてきてね!!」 「「「ゆぅ~?」」」 赤ゆっくり達を呼び寄せるまりさ。 男に赤ちゃん達を見せて、ゆっくりして貰おうというのだ。 可愛らしい赤ん坊達を、前に並ばせる。 「あかちゃんたち、かわいいでしょ!!ゆっくりしていってね!!!」 「おにいさんにはとくべつに、かわいいかわいいあかちゃんみせてあげるね!!!」 「「「ゆっ!!きゃわいくてごめんしゃい!!!」」」 こんなに赤ちゃんは可愛いんだから、きっとお兄さんもゆっくりできる。 そんな考えの下、れいむとまりさは誇らしげに胸を張った。 各々の赤ゆっくりも、それぞれ最も自分が可愛く見えるポーズをとっている。 「ああ、可愛いね。とってもゆっくり出来るよ」 笑顔を浮かべながら赤ゆっくりの前にしゃがみ込む男。 その笑顔を見て、お兄さんがゆっくりしていると思って嬉しくなるゆっくり一同。 とてもゆっくり出来る笑顔を浮かべたまま、男は右手を赤ゆっくり達の方に差し出して――― ―――そして、そのまま押し潰してしまった。 れいむとまりさの、動きが止まる。 にっこりと笑顔を貼り付けたまま、石膏の象のように動かなくなる。 二匹の視線は、億劫そうに手を振り、餡子をはらうお兄さんへ。 「「・・・・・・な゛に゛じでる゛の゛お゛お゛お゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛!!!?」」 クワッと眼を見開き、ぶるぶると震えながら叫ぶ二匹。 今しがたのお兄さんの行動が理解出来ない。いや、そんなことよりも。 赤ちゃんが。とってもゆっくりした赤ちゃんが。赤ちゃんが死んでしまった。 「・・・え?何って赤ゆを潰したんだけど?」 さも当然、蚊が居たから叩き潰しました、とでも言うように答えるお兄さん。 何の感慨も無い。後悔の欠片すら見受けられない。 二匹はついさっきまで信頼に値していた筈の人間に対して、疑問をぶつける。 「どぼじであがぢゃんをごろじぢゃっだのおおおぉぉぉ!!!」 「あがぢゃんはどっでもゆっぐりでぎるのにいいいぃぃぃ!!!」 涙を流し、身を振りかぶりながら悲しみをアピールする二匹。 どうしてこんなに可愛い赤ちゃんを。赤ちゃん達ももっとゆっくりしたかった筈なのに。 悲しみに胸(無いけど)が引き裂かれそうだ。何故、何故こんなことを。 「ああ、それそれ。それだよ、それ」 そんな二匹の態度こそ、彼が懸念しているものだった。 ピタリと動きを止める二匹。一体何の事だろう。もしかして、なにかお兄さんがゆっくりできない事だったのかも――― ―――いや、そんな事はもうどうでもいい。どうしてこんな事したの。今はただ、赤ちゃんのために謝って欲しい――― 二匹の願いをよそに、彼は素気無く言い放つ。 「君達さぁ、野生動物でしょ?もうちょっとそれらしく生きたら?」 「君達ゆっくりは弱い。そりゃもう弱い。人に負け、犬に負け、鼠に負け、下手したら蟻にも負ける。 いや別にそれが悪いって事は無いよ。君達は『そういう風に』出来てると考えたら何もおかしい事は無い。 とてつもなく弱くて、ちょっとしたことですぐに死ぬ。だから沢山子を産まなきゃならない」 れいむとまりさは呆然としている。 お兄さんは、一体何を言っている?理解できない。いや、したくない。 「で、君達は所謂多産多死の生物なわけじゃないか。それは、問題ないんだ。 でもさぁ、そこからがおかしいんだよ。多産多死型の生物ってのは、基本的に親の助けを借りずに成長するんだよ。 マンボウとかさ、三億個も卵産むらしいけど親は一切面倒を見ないわけ。そんで自生して、成長するんだ。 他にも身近な所だと蟷螂とか、鮭とか・・・哺乳類は多分鼠辺りが該当するんじゃないかな?まぁ君達は哺乳類じゃないからどうでもいいけど」 まんぼうさん、かまきりさん、さけさん。ねずみさん。 それがどうした?それがれいむ達と、何の関係がある・・・・・・? 「いいかい、君達は、沢山産んで、沢山死ぬ。 なんで他の動物を見習わないんだい?子供なんかいくらでも産めるだろう? 一昔前は『あかちゃんしんじゃったから、またたくさんつくろうね!!!』とか言ってたじゃないか。 それが今では、人間並みに母性だの、愛情だの、そんな所だけ発達して・・・誰かが言ってたけど、それ、歪んでるとしか言いようが無いよ」 知らない。知らない。知らない。 昔なんて知らない。昔のゆっくりがそんな事を言ってたとしても、れいむ達には何の関係も無い。 歪んでる・・・誰がそんな事を決めた?れいむ達が、赤ちゃんを愛することがそんなに悪いのか? 「ぶっちゃけさ、君達にとって赤ちゃんなんてデコイ兼餌扱いくらいでいいと思うんだよ。 普段は産み捨てて、手元に置くなら外敵に対して囮にするか非常食として食べる。それくらいでいい。 レイパー・・・だっけ?そっちの方がまだ自然だとすら思うね、僕は」 赤ちゃんをそんな風に扱うなんて信じられない。 このお兄さんは、赤ちゃんの事を一体何だと思っているのか。 それに、レイパーだと。あんなゆっくりできないレイパーが・・・自然? 「このままだと、遠からぬ未来に君達は絶滅しちゃうと思うんだ、僕は。 そんなの嫌だ。僕はゆっくりが大好きでね。君たちの居ないこの世の中なんて、想像出来ない。 昔のようになれば、きっと君達は生き延びられる。だから僕は身近な所から手を打つことにしたんだ。 安心して、れいむ、まりさ。僕が君たちを、きっと立派に世界に『適応』させてみせる。矯正だよ」 そう言って、彼はにこりと微笑んだ。 れいむとまりさは何も言えない。言う気にすらならない。端的に言えば、絶望していた。 これから何が待ち受けているのかが凡その所、理解してしまった。『野生動物』に相応しい振る舞いをする矯正・・・それがどういうものなのか。 彼の指導の下、『矯正』日々が今、始まる。 大体は二匹の予想の通りだった。 毎日毎日子供を強制的に産まされ、そして色々なシチュエーションの下、殺していく。 ただ産み捨てる場合、雨の日の場合、寒い日の場合、虫や獣、人間に襲われた場合―――。 赤ちゃんたちの悲鳴が、れいむの心を壊していく。赤ちゃんたちの助けを呼ぶ声が、まりさの精神を磨り減らしていく。 徐々に、徐々に二匹の価値観は壊され、そして新しい価値観を刷り込まれていった。 そして、現在。 「おかーしゃん・・・・・・どうちて・・・・・・」 「ふん、うるさいよ!!!れいむはすっきりー♪できればいいんだよ!!!あかちゃんはひとりでかってにいきてね!!!」 「あんまりやかましくするなら、まりささまがたべちゃうのぜ!!!おまえらちびどもは、とってもおいしいのぜ!!!」 一匹で力無く震える赤ゆに、容赦ない罵倒を浴びせる親ゆ二匹。 言うまでもなく、かつてのれいむとまりさだ。 その表情は醜く歪み、赤子を赤子とも思っていないと言わんばかり。 赤ゆ・・・赤れいむは、多数の姉妹と一緒に産み捨てられた(お兄さんの家の庭に)。 親に会いたい一心でなんとかお兄さんの家に姉妹達と一緒に潜り込んだが、そこで待っていたのが親であるはずの二匹からのこの待遇。 既に半分以上の赤ゆ達は叩き出され、残りは食われた。今両親の前に立つのは、この赤れいむただ一匹のみ。 「おかーしゃん・・・おとーしゃん・・・すりすりしてね・・・」 「んほおおおおおおお!!!まりっざあああああああああ!!!」 「れいぶうううううう!!!れいぶのもぢはだはあいがわらずざいごうなんだぜええええええ!!!!」 泣きかける我が子を全く意に介さず、ネチョネチョと粘液を飛ばしながら交尾に耽る二匹。 今となっては二匹にとってこれが当然の事となっていた。 赤ちゃんは産み捨てる。運がよければ勝手に育つ。だから自分たちはひたすら子を作る。 産んだ後の事などは関知する必要などないのだ。だから目の前のガキもどうでもいい。 「すっきりー!!!・・・・・・ふぅ、おなかすいたね」 「それならあかちゃんをたべればいいのぜ!!ぶちっ!!むーしゃむーしゃ!!」 「お、おとーしゃんなにやっちぇるのおおぉぉぉ!!!?」 れいむの頭に生えた妹達を引き千切り、咀嚼する両親に対して赤れいむは恐怖さえ覚えた。 こんなに赤ちゃん作っているんだから、たまにはこうやって茎の状態からでも食べてもいい。自然界ではよくある事。 もはや二匹の価値観は完全に通常とは逸脱していた。いや、これこそが正しい姿なのか。 「まりさ、いまのあかちゃんたちだけじゃすくないよ!!!このあかちゃんもたべようよ!!!」 「ゆっ!!!いいかんがえなのぜ、れいむ!!!」 「ゆっ・・・ゆあああぁぁぁ!!!おとーしゃんおかーしゃんやべちぇええぇぇl!!!」 言うや否や赤れいむに襲い掛かるれいむとまりさ。 抵抗も出来ずに、噛まれ、潰され、絶命する赤れいむ。 二匹は幸せ。だってこんなに美味しい餌が食べられたんだから。たとえそれが、我が子の餡子だったとしても。 「んほおおおおおおおおおう!!!まりざあああああああああ!!!!」 「れいぶっれいぶうううううううううううううう!!!ゆっほおおおおおおおおおおお!!!」 一息つく間もなく、またネチョネチョと交尾を始める二匹。 惨殺した子供のことなど頭の片隅にも留めてはいない。 だってそれが自然なのだから。お兄さんが言ってた、本来のゆっくりなのだから。 最早理性と呼べるものがあるのかどうかも疑わしい饅頭二匹。 部屋の隅に佇んでいた彼はそんな二匹をじっと見つめている。 そして、ポツリと一言、こう呟いた。 「・・・うーん。これってゲスゆっくりだよなぁ。いかん、矯正しなきゃ」 おわり ――――― 書き溜めです。 要約するとゆっくりにリアリティを持たせたらゲスゆっくりになりました、とこんな感じ。 お兄さんはゲスも嫌いなら不自然すぎるゆっくりも嫌いな頭の可哀想な人です。 ゆっくりが絶滅だって。ゆぷぷ。ゆっくりは勝手に生えてくるのにね!!げらげら!!! このSSに感想をつける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/3425.html
注意書き 特に悪いことをしていないゆっくりが死にます。 ゆっくりがかなりゲスです。 多少ぺにまむ描写があります。 ゆっくり達のバザール ここはとあるゆっくりの群れ。 それはいたって普通のゆっくりの群れであったが最近ちょっと違うところができた。 「ゆ~!さあれいむのおみせのきのみさんはどこよりもあまあまさんだよ~!」 「ゆ!まりさのおみせのきのこさんはとってもゆっくりできるんだぜ!!みんな買っていくんだぜ!」 「ありすのとかいはなこものさんをもてばあなたもきょうからとかいはよ~!!」 「むきゅ!このくささんはいたいいたいがなおるのよ!!かっていってね!むきゅ~!!」 そうこの群れはお店を開いていた。 元飼いゆっくりであったれいむが群れの長である老ぱちゅりーに飼い主から教えてもらったお店というものを やってみようという試みによってこれは実現した。 ただれいむの話はかなり曖昧な上、お店にあった綺麗な物やおいしいお菓子の話ばかりするのでなかなか実現は難しかった。 ともかく、いろんな物をお金という金属や紙と交換するのだという概念はわかったようだ。 とはいえゆっくりに通貨という概念はないのでその時々で物々交換を店主と交渉するのがこの群れのお店の形態であった。 はじめはほとんどのゆっくりがぱちゅりーのいうことを理解することができなかった。 しかし何匹かはぱちゅりーに同調してお店をはじめた。 もともと物々交換という概念はゆっくりの中にもあった。 たとえば友ゆっくりのおうちにおじゃましたときにこれがほしいからうちのこれと交換してという感じだ。 ただしそういった行為はかなり仲のいい個体同士でなければ行われない。 それがもっと簡単におこなえることゆっくり同士に広まると皆もこぞって店を出すようになった。 店といっても広場の地面に木の葉を敷き詰め売り物を適当に並べただけの粗末なものだ。 それはともかく広場はにぎわっていた。 木の実を集めるのが得意なれいむは木の実や途中で拾った綺麗な石を店に並べていた。 狩りやきのこを集めるのが得意なまりさはおいしいきのこや虫を店にならべていた。 とかいはでおしゃれだと評判のありすははっぱや石を加工して作った敷物や小物を店に並べた。 物知りのぱちゅりーは薬になる草や実を用途に分けて店に並べた。 「ゆぅ~♪れいむ、とってもおいしそうなきのみさんだね!まりさのおいしいきのこさんとこうかんしてほしいよ!」 「ゆゆ、いいよまりさ!それじゃあきのこさんときのみさんをこうかんだね!」 「ありす、このはっぱさんはな~に?」 「それはありすがつくったとってもとかいはなてーぶるくろすよ!とかいはなありすにしかつくれないとかいはなしなよ!」 「ゆぅ~すごいよ!とってもゆっくりできそうだね!このきれいないしさんとこうかんしてね!」 「ゆゆ!このいしさんもとかいはだわ!こうしょうせいりつよ!」 「ぱちゅりー、おなかのいたいいたいがなおるはっぱさんをちょうだいね!」 「むきゅ、それならこのくささんね!!きのみさんじゅっこでいいわよ!」 「ゆ~・・・ごめんねぱちゅりー、いまきのみさんはごこしかもってないんだよ・・・。 でもれいむのおちびちゃんのおなかがいたいいたいなんだよ!だからこれでわけてほしいよ、れいむのおねがいだよ!」 「むきゅ~・・・それならしかたないわね。でもこんどはれいむがおまけしてね!」 「ゆ!もちろんだよぱちゅりー!ありがとうね!」 この様子を見ていた老ぱちゅりーは満足していた。 れいむからきいたにんげんさんのお店がまさかこんなにうまくいくとはおもってもみなかった。 お店のおかげでみんなよく働くようになったし生活もよくなってきている。 このままいけばこの群れはもっと発展していくだろう。そういつか人間さんの村のように・・・ 「ゆ、ゆぅ~まりさそれじゃちょっとすくないよ!ゆっくりりかいしてね!」 「ゆー!いいでしょれいむ!まりさのむしさんはほかのゆっくりのむしさんよりもおいしいんだよ!れいむこそゆっくりりかいしてね! ぷんぷん!!」 「むきゅ!そこまでよ!れいむ、まりさ!」 最近こういう争いが増えてきた。ぱちゅりーも頭が痛いところである。 通常こういった市場ができると付随して増えるものがある。 犯罪だ。 小さいものではスリ、酷いものでは強盗等。 本来ならぱちゅりーはそういったものを取り仕切るために組合やら自警団などを組織するべきであった。 まあ、いくら賢いといっても所詮ゆっくりであるぱちゅりーにそんな頭はないだろうが。 そんなこんなで犯罪はどんどん増加していった。 「ゆっへっへ♪おらおら、まりささまのおとおりなんだぜ!みちをあけるんだぜ!」 このまりさは群の嫌われ者のゲスまりさ。しかし一部の若ゆっくりなどには人気があり、今も子分のゆっくり何匹か連れている。 「ん~?おいしそうなきのみさんなんだぜ、まりささまがたべてあげるんだぜ!かんしゃするんだぜ!む~しゃ、む~しゃ・・・しあわせ~♪」 「ゆ、まりさそれはうりものなんだよ!かわりのものをちょうだいね!」 「なにいってるんだぜ!!ここはもともとまりささまのゆっくりプレイスなんだぜ!それをつかわせてやってるんだからこれくらいとうぜんなんだぜ!!」 もちろん言いがかりである。ここはもともと群れのゆっくり共有の広場であり。 そこを勝手にこのゲスまりさが自分のゆっくりプレイスだと主張していたにすぎない。 「なにいっでるの!!ごごはみんなのゆっぐりブレイズでじょ!!はやくおだいをぢょうだいね!」 「うるさいんだぜ!そんなれいむのきのみさんはこうなんだぜ!!」 そう言うと飛び上がってれいむのお店のきのみを踏み潰しぐりぐりと潰した。 「ゆあああああ!!でいぶのぎのみざんがぁぁぁああああ!!」 「ゆっへっへ!いいきみなんだぜ!ものわかりのわるいれいむはとっととしね!!」 「ゆぎゃ!」 そういうとゲスまりさはれいむに体当たりをかまして去っていってしまった。 後日これを聞きつけた老ぱちゅりーはまりさをきつく叱ったが 「うるさいんだぜ!あそこはまりささまのゆっくりぷれいすなんだぜ!だからあそこにおちているものはぜんぶまりささまのものなんだぜ!」 といって全く反省しない。 ここまで来ると状況は加速度的に悪くなっていった。 「おちびちゃんたち、ごはんだよ!ゆっくりあつまってきてね!」 「「「ゆっくりわかったよ!!!」」」 「さぁまりさのかわいいおちびちゃんたち、きょうのごはんだよ。」 そういって差し出したのは草や虫であった。 「ゆっ!またこれにゃにょ・・・。」 「もうまりしゃくささんもむしさんもやだよ!おいしいきのみさんをちょうだいね!」 「きょんなにょじゃじぇんじぇんゆっくちできにゃいよ!ぴゅんぴゅん!!」 「どぼじでぞんなごどいうのぉぉぉぉぉぉぉ!!!」 このまりさは普段キノコや虫をお店で売っていたが最近キノコも木の実も取れる量が少なくなりまりさも売りに出せるほどの 蓄えがなくなってしまいしかたなく昔どおりの食事を赤ゆっくりに出していた。 ちなみに片親で番のれいむは死んでおり子供はすべてまりさ種である。 しかしお店のおかげでおいしい木の実の食事に慣れていた子ゆっくり達がぐずっているのだ。 それはあちこちでおこっており、れいむのいえでは逆に「おいしいきのこがたべたい」と親れいむに赤れいむがぐずっていた。 しかしキノコや木の実のある場所はそのゆっくりしかしらない秘密のゆっくりスポットであり、 たとえ友達だろうとその場所を教えることは無い。 故にまりさは木の実のある場所を知らないし、れいむはキノコのある場所をしらない。 「おきゃーしゃん!まりしゃはきにょみしゃんがちゃべちゃいよ!はやくとちぇきちぇね!」 「そんなものはないんだよ!ゆっくりりかいしてね!」 「いやぢゃ、いやぢゃぁぁぁぁぁ!!まりちゃきにょみしゃんがちゃべちゃいにょぉぉぉぉ!ゆびぇぇぇぇぇぇぇん!!」 「にゃんできにょみしゃんにゃいにょぉぉぉぉぉ!!まりちゃがゆっくちできにゃいでしょぉぉぉぉぉ!!」 「ゆびぇぇぇぇぇん!きっちょおきゃーしゃんがまりちゃのきにょみしゃんたべちゃったんだぁぁぁ!ゆびぇぇぇぇん!!」 「ななな、なにいってるのおちびちゃん!ないものはないんだよ!ゆっくりりかいしてね!くささんもむしさんもおいしいよ!」 「きょんにゃのおいちくにゃいぃぃぃぃぃ!!やっぴゃりおきゃーしゃんがまりちゃのきにょみしゃんとっちゃんだぁぁぁぁぁ!!」 「しょれでもおやなにょぉぉぉぉぉぉぉ!!ちね!まりしゃをゆっくちさしぇにゃいおきゃーしゃんはちねぇぇぇぇ!!」 「きょにょぐじゅ!にょりょま!きょんにゃゆっくちできにゃいおやからうまれちゃにゃんちぇまりちゃはじゅかちいよ!!」 「ゆぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎ・・・!!!」 ここのところ親まりさは食事ごとに子供達から文句を言われ続けていた。 そしてついにそのストレスは爆発した。 「そんなゆっくりできないことをいうおちびちゃんはまりさのこじゃないよ!!ゆっくりしねっ!!!」 「「「ゆびゅぇぁっ!!」」」 怒った親まりさは容赦なく赤まりさ達を壁にたたきつける。 なんてゆっくりできない子供達なんだ!こんなのはかわいいれいむとまりさの子供じゃない。 だがこのまま殺してしまえば他のゆっくりにゆっくりできないゆっくりとして制裁されてしまう。 どうすれば・・・ まりさはたっぷりゆっくり一時間ほどかけて名案を思いついた!! 「ゆっくらめいたよ!」 「ゆぎぎぎ・・・おかーしゃん・・・いちゃいよぉぉぉ・・・」 「たしゅけちぇ・・・ちんじゃうよぉぉぉ・・・」 「ごみぇんにゃしゃいおきゃーしゃん・・・もうゆるちてぇぇ・・・」 「ゆ、おきゃーしゃんまりちゃのぼうちどうちゅ・・・ゆぎゃあああああああああ!!まりしゃのぼうちがぁああああああ!!」 「やめちぇぇぇぇぇぇぇ!!ゆっくちできにゃいよぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」 「まりしゃのかみしゃんひっぱりゃないでぇぇぇぇぇ!!」 「いだぃぃぃぃぃぃぃぃ!!まりしゃのかみがぬけちゃうぅぅぅぅぅ!!」 「ゆぁぁぁ・・・まりしゃのかみが・・・ゆびぃぃ!にゃにしゅるのおきゃーしゃん!まりしゃをひっくりかえしゃにゃいでぇぇぇ!!」 「いぢゃい!!いぢゃいよぉぉぉ!!まりさのあんよがぁぁぁぁ!!ありゅけにゃくにゃっちゃうよぉぉぉぉぉぉ!!」 「「「ゆぎゃぁぁぁぁあああああああああ・・・!!」」」 次の日、まりさは広場でお店を出していた。 「ゆー!さぁ、まりさがとってきたおまんじゅうさんだよぉ~!!とってもあまあまでゆっくりできるよぉぉ!!」 「おきゃーしゃん!!なにゃにいっちぇるにょぉぉぉぉ!!」 「まりちゃあまあましゃんじゃにゃいよぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」 「たしゅけちぇぇぇぇぇ!!からだじゅうがいちゃいよぉぉぉぉ!!」 「ゆぅ~?まりさ、このおまんじゅうさんなにかうるさいよ。ゆっくりしてないね!」 「そうだね、しゃべるおまんじゅうさんなんてきもちわるいよ、なんとかしてね!」 「ゆ、ごめんね!いましずかにさせるよ!」 「ゆぎっ!!やめちぇぇぇぇ!!ふがががががが・・・ゆびぃっ!」 ぶちっ! 「ゆふぅ~・・・これでしずかになったよ!さあ!おいしいあまあまさんだよ!!かっていってね!」 「ゆ~ん・・・せっかくのあまあまさんなのにあまりうれなかったよ・・・。」 「ゆ・・・ゆががが・・・」 「それもこれもおまえのせいだよ!もっとおいしそうにしてね!!ぷんぷん!・・・ゆ?れいむ!ゆっくりしていってね!!」 「ゆ!まりさ、ゆっくりしていってね!!・・・ゆ?まりさ、そのあまあまさんどうしたの?」 「ゆ~・・・きょうのうれのこりだよ・・・」 「まりさもうれのこったの!れいむもあまあまさんがうれのこっちゃったんだよ・・・。」 「ゆゆぅ・・・そうなの・・・ゆ!そうだ!れいむのあまあまさんとまりさのあまあまさんをこうかんしようよ!」 「ゆ!で、でもこのあまあまさんは・・・れいむの・・・」 「ゆぅ~?だめなの?じゃあしかたないね・・・またあしたひろばでうるよ・・・」 「・・・、わかったよまりさ。じゃあれいむのあまあまさんとまりさのあまあまさんをこうかんしようね!!」 「ゆ!やったよ!これできょうはかんばいだよ!!それにあまあまさんでゆっくりできるよ!!はい、れいむ。あまあまさんだよ!」 「ゆががががががが・・・」 「そ、そうだね!ゆっくりできるね!!はい、まりさ!れいむのあ・・・あまあまさんだよ。」 「ゆが・・・お・・・ゆ・・・」 「じゃあね、れいむ!ゆっくりしていってね!!」 「う、うんまりさ、ゆっくりしていってね。」 この日をさかいに赤ゆっくりの姿がだんだん少なくなっていった。 また行方不明の赤ゆっくりが増えた。 「♪ゆっくり~のひ~、まったり~のひ~・・・♪」 「「「「ゆっゆゆっゆ~♪・・・ゆゆっ!?」」」」 「ゆ?れいむのおちびちゃんたち?どうしたの・・・?ゆゆっ!おちびちゃんたち!!どこにいったの!?かくれてないででてきてね!!」 「ゆっぐ・・・ゆっぐ・・・でいぶのおぢびじゃんだぢ・・・どごなのぉ・・・」 「ゆ!れいむどうしたの!」 「ばりざあああああ!!れ、れいむのおぢびじゃんだぢがみづがらないのぉぉぉぉ!!」 「ゆ!?そ、そうなの?それはたいへんだね!」 「ぞうなのぉぉぉばりざもでいぶのあがじゃんいっじょにさがじでぇぇ・・・」 「ご、ごめんね!いままりさはおみせばんしてるんだよ・・・もうすこしまっててね。」 「ゆ、ぞうなの・・・?なにをうっでるの?」 「ななな、なんでもないよ!ちょっとまっててね!すぐにうっちゃうからね!」 「さぁ、あまあまさんだよぉ~とってもゆっくりできるよぉ~!!」 「「「「ゆぐぐぐぐぐぐぐぐぐーーーーーー!!!!」」」」 さらに貧富の差も発生した。 「ゆっふぉっふぉ・・・まったく、みんなびんぼうくさいみせばっかりなんだぜ・・・」 こいつは成金まりさ。 運よく人間から貰ったたくさんのお菓子から財をなし、今では大量のあまあまと美ゆっくりたちをはべらせゆーれむを築いた。 今も用心棒のゆっくりみょん二匹と美れいむを連れて広場を練り歩いていた。 「ゆ!まりさ!れいむのおちびちゃんはとってもゆっくりしているでしょ!!それにかじもうまいし巣作りもできるんだよ!!」 「ゆ~♪まりさおねーしゃ~んれいむまりしゃおねーしゃんのところでゆっくりしたいよぉ~♪ゆゆ~ん♪」 「ゆー!そんなきたないれいむなんてきにしないでね!うちのまりさのほうがゆっくりしてるんだよ!!」 「「どぼじでぞんなごというのぉぉぉぉ!!」」 この頃すでに出所不明のあまあまは普通に出回り、酷い所ではゆっくりの身売りまで起きていた。 みなせめていい暮らしをさせてやろうとこの成金まりさに媚びてゆ~れむに入れてもらおうと必死だ。 しかし、 「ゆっふぉっふぉ!!なんなんだぜおまえら?そんなうすぎたないかっこうでまりささまにはなしかけるんじゃないんだぜ! それにそのれいむもまりさもぜんぜんゆっくりしてないんだぜ~♪ でもどうしてもというならまりささまのうんうんとうばんにしてやってもいいんだぜ・・・?ゆ~っへっへ!!」 「「「どぼじでぞんなごどいうのぉぉぉぉぉぉぉ!!エレエレエレエレ!!」」」 もうどうしようもない状況であった。 老ぱちゅりーはかなり前から心労がたたって長いことふせっていたが他のゆっくりたちから何とかして欲しいとの声が抑えられないほど きていたのでだるい体を引きずりながら広場についてみるとそこは地獄であった。 他のゆっくりにはわからないが長く生きてきた老ぱちゅりーにはわかってしまった。 ゆっくり達があまあま、もしくはまんじゅうと称してゆっくりを売買している。 しかも飾りを奪われ、髪を引き抜かれ他のゆっくりにはそれとわからないようにしてお店に並べてある。 それもそこらじゅうで。 そしてそれを口汚く罵り合いなんとか値切ろうとするゆっくり達・・・ 地獄だ・・・この世の地獄だ・・・そしてその元凶は・・・ 「むぎゅぇっ・・・!!」 「ゆぎゃあああああああ!!おさぁぁぁぁぁああああ!!」 この後この群れはさらなる地獄につき進んでいった。 あまりに赤ゆっくりが減りどこも赤ゆっくり不足になった。 もうこのころになると通常の草や虫ではゆっくり達は満足できない。しかし赤ゆっくりもいない・・・。 いや、ならば作ればいい。多くのゆっくりがこう考えむやみなすっきり~、そしてにんっしん!を繰り返した。 それに耐えられず黒ずんで死んでいくゆっくり、またれいぱーと化して他のゆっくりをにんっしん!させる個体もでた。 「でいぶぅぅぅぅぅぅ!!またあまあまがたべたいよぉぉぉぉぉ!!またすっきりー!してにんっしん!してねぇぇぇぇ!!」 「だめだよばりざぁぁぁぁ!!ごれいじょうはもうでいぶじんじゃうよぉぉぉぉぉぉ!!」 「いいからはやくばりさをすっきりー!ざぜでねぇぇぇぇぇ!!んほぉぉぉぉぉぉぉ!!すっきりー!」 「すっきりー!・・・ああ、だめだよぉぉぉぉぉ!でいぶのあんごが!!あがぢゃ・・・ずわれ・・・ゆべぁ・・・」 「ああああ!!ごべんねぇっぇぇぇ!!でいぶぅぅぅぅぅ!!で、でもごれであまあまざんががえるよぉぉぉ・・・」 「んほぉぉぉぉぉぉぉ!!ばりざぁぁぁぁぁぁ!!ありずがとがいはのれいぶをおじえであげるわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」 「ゆげぇっ!!ああああああありずぅぅぅぅぅ!!やべでぇぇぇぇぇぇ!!ばりざ、これいじょうずっぎりじだらじんじゃぅぅぅぅぅぅ!!」 「「すっきりー!」」 また一攫千金を夢見て人間の村に出て行くゆっくりも増えた。 「ゆうー!さいきんまりささまのゆっくりプレイスのゆっくりどもがはんこうてきなんだぜ・・・ こうなったらさいきょうのまりささまがにんげんさんのまちにいってあまあまをいただくんだぜ!!おまえらついてくるんだぜ!!」 「「「「「えい!えい!ゆーーーー!!!」」」」」 当然全て潰された。 暴動も起きた。 ここはあの成金まりさのおうちの洞窟・・・ そこにあった頑丈なバリケードは壊され、多数のゆっくりが出入りを繰り返していた。 「やべでぇぇぇぇぇぇ!!まりさのあまあまもっでいかないでぇぇぇぇぇ!!」 「うるさいよ!まりさはあまあまさんをたくさんもってるのにぜんぜんわけてくれないのがわるいんだよ! ゆっくりりかいしてね!!りかいしたらさっさとしんでね!!」 「ばりざぁぁぁぁぁぁぁぁぁだずげでぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」 「あああああ!!でいぶぅぅぅぅぅ!!でいぶをはなぜぇぇぇぇぇぇ!!」 「んほぉぉぉぉ!!なんてびれいむなのぉぉぉぉぉぉぉぉ!!とかいはなありすにぴったりねぇぇぇぇぇ!!」 「やべでぇぇぇぇぇ!!ばりざのゆ~れむがぁぁぁぁぁぁ!!でいぶがぁぁぁぁぁぁ!!・・・ゆ?」 「まりざもどっでもずでぎよぉぉぉぉぉぉぉぉ!!とかいはのすっきりをさせてあげるわぁぁぁぁぁ!!んほぉぉぉぉぉ!!」 「ゆぎゃあああああああああああああああああああああああ!!」 数時間後・・・ 破壊しつくされた成金まりさのゆ~れむにはいくつものリボンと帽子が散乱していた。 しかしそんな地獄にも終わりは訪れる。 冬だ。 餌を蓄えることも無く、ただすっきりー!を繰り返しあまあまを貪り食う生活を繰り返したこの群に越冬はほぼ不可能である。 しかし冬まではいまだ日にちがある。 それまでゆっくり達の狂ったお店は止まらない。いや、止まれない。 あとがき おかしい・・・書き始めていた長編の息抜きに書いていたはずがなぜかこんな長さに。そしてまた話が重い。 そして書いていた長編がどうでもよくなってきた・・・。なんてこったい。 人が出ないのを書いてみようと思い書いてみました。 難しい・・・。精進します。 甘党 今まで書いたもの ゆっくりコールドスリープ ゆっくりを効率的に全滅させるには。 ユマンジュゥ きれいなゆっくりの作り方
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/932.html
~投薬一日目~ 特に大きな変化はない。 周りのゆっくりたちとも普通に遊んでいる。 食欲も旺盛でいたって健康。 ~投薬二日目~ ゆっくりパチュリーに何か教えてもらっていたらしいが、 あまり話をよく聞けていない。集中力が散漫になりつつある。 食欲や運動能力にはまだ影響がないみたいだ。 <メモ> ゆっくりれいむと遊ぶ約束をした ~投薬三日目~ 二日目の約束をすっぽかす。どうやら寝起きが悪いようだ。 心配したゆっくりれいむが巣まで見に来るが、涎までたらして寝ているのを見ると、 怒って帰ってしまう。10分ほど起こそうと声をかけたりゆすったりしていたが、効果なし。 昼過ぎに起きたため、食事の回数は三回から二回に。食欲減退などの症状は無い。 今日は巣の中でぼけーっとしていたので運動能力の減退は不明。 ゆっくりれいむとの約束は結局思い出さなかった。 ~投薬四日目~ 食欲に大きな減退が見られる。いつもの半分しか食べずに食事を終了する。 ゆっくりれいむに約束を破った事を注意され謝罪する。 ゆっくりパチュリーが果物をおすそわけに来たが、食欲がないと断る。 飛び跳ねる高さが若干だが低くなっているようだが、誤差かもしれない。 <追記> 資料と見比べた所、やはり若干跳ねる高さが低くなっている。 これによりゆっくりれいむと同じぐらいの足の速さになる。 ~投薬五日目~ 記憶に著しい障害が発生、友人であるゆっくりれいむやゆっくりパチュリーの事を忘れる。 身体能力も大きく減退。跳ねる事ができなくなる。 食欲も大きく減退し、今日は朝から何も食べていない。 ゆっくりパチュリーが数種類の薬草を食べさせるも症状は回復せず。 ~投薬六日目~ まったく動けなくなり、記憶や言葉をほとんど失う。 「ゆっくりしていってね」としか喋れなくなり、思い出したかのよう「ゆっくりしていってね」と言っている。 ゆっくりれいむから野菜を貰うが、それが何なのか分からないみたいだ。 「たべて」と言われても食べるという行為が分からないようで「ゆっくりしていってね」と返事するだけだ。 ~投薬七日目~ 昼過ぎに死亡を確認。 それまで痛がるような様子もなく六日目と同じ症状だった。 「ご期待に添えましたでしょうか?」 永琳は数枚の写真と報告書、それに何粒かの錠剤を人間に渡す。 「ええ・・・よかった。これでゆっくりたちも苦しまずに済みます」 「すぐに動きを封じる即効性の強いものもありますけど」 永琳が出してきた別の錠剤に人間は嫌な顔をする。 「そんなものを使ってはゆっくりが可哀想です」 「・・・そうですか、それでは私はこれで」 「ええ、ありがとうございました」 永琳が村の外れの畑まで来る。 「こら、お前ら、また人の畑を!!」 「ゆ?ここのやさいはれいむたちがさきにみつけたんだよ」 「忌々しいな、この野郎」 男が鍬を振り上げる。 「やめなさい、この馬鹿者が!!」 しかし、その鍬は振り下ろされる事はなく、さっき大声を出した男に取り上げられる。 「ゆっくりは人間の約束事が分からんのだ。そうイチイチ腹を立てるな!」 大声を出した男はゆっくりれいむ達に優しい言葉をかけ、森に帰させる。 「竹林の女医様にゆっくりが苦しまず死ぬ薬を作ってもらった。今後、酷いゆっくりにはそれを使う。お前もイチイチ目くじらを立てるな」 「俺ががんばって耕した畑の野菜を勝手に取っていって、それは酷くないのかよ!!」 「大根の一本や二本だろ。それぐらい我慢せい。ゆっくり達だって生きているんだ。そう簡単に殺しては可哀想だろ」 村の外で待っていたてゐは物陰からクスクスと笑っている。 永琳はてゐと合流し、迷い竹林を目指す。 「あの村、絶対にゆっくりを殺す気ないね」 「そうかしら?」 「だって、可哀想とか言ってるんだもん」 「でも、あの薬があれば・・・変わるかもしれないわ」 「えー、でも、アレってゆっくりが可哀想だから遅効性になってるんだよね?」 「いいえ、アレは即効性の毒薬よ。実際、二日目の段階で記憶に著しいダメージを与えてるのよ。痛がらないのは『痛い』って事を忘れてるだけ」 「エグーい」 「使用者が納得して効能が同じであればどんな道筋で効く薬でも良いのよ」 しばらくして、この村の近辺のゆっくりはほとんど死滅した。 「可哀想だけど、この薬なら苦しむ事はないからな」 そう言って薬を使い続けた。苦しくないから、苦しくないから、と言って。 by118 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/242.html
「ゆっくりしずかにはいろうね!!!」 「うん、しずかにはいろうね!!!」 近くにゆっくり達が住む森がある農村。 対策はしているが、やはりゆっくりは進入してくる。 この日も、五・六匹のゆっくり魔理沙が人間の家に侵入しようとしていた。 「ホワッツ! お前達ナニシテルンデスカー!!!」 直ぐに人間に見つかった。 ここで、大抵のゆっくりなら直ぐに人間の癇に障ることを言うのだが、今回のゆっくり達は違った。 「ゆゆ!! おかーーさんがあかちゃんをうんだから、たべものをさがしにきだんですーー!!」 「あがじゃんにえいようづけないとしんじゃうからーー!!」 なるほど。 よくよく見ると、確かにその集団には、小さい赤ん坊はもとより、お母さん魔理沙らしき存在もいない。 このゆっくり達の言うとおり、巣の中ではお母さん霊夢と赤ちゃん達がお腹をすかせて待っているのだろう。 「なるほど。なら、今回だけだぞ。ほら、これ位ならくれてやる」 それならば、と男は幾つかの野菜とお菓子を渡してやった。 「ゆゆ!! おじさんありがとうね!!」 「おじさんはやさしいから、きっとゆっくりできるね!!!」 思い思いの感想を残し、ゆっくり達は男の家を去っていった。 ―― 「ゆゆ!! おかーさん!! きょうはこんなにあつまったよ!!」 「ゆゆ!!! すごいね!! さすがだね!!!」 「すご~い!!」 「いっぱいたべれりゅね!!」 戻った巣の中には、お母さん魔理沙と赤ちゃん達。 それに沢山の食べ物。 野菜や果物から、果てにはお菓子まで。 およそゆっくりには準備できないような代物まで、沢山の食べ物が山積みされていた。 「むっしゃ!! おいし~~ね!!」 「うまくいってるね!!」 「あたりまえだよ!! まりさたちゆっくりは、みんなとってもかわいいんだもの!!」 手当たり次第に食べ物を口に運んでいる一家は、昨日の事を思い出していた。 この森のゆっくり達がドンドン人間に殺されている。 理由は人間の家に入ったり、畑の食べ物を勝手に食べたりしているからだ。 しかし、森の中にゆっくり全員を賄える程の食料はない。 そこで、一家の母親達が集まり、相談していた時に、この森には珍しいゆっくりアリスとパチュリーの夫婦がこう進言したのだ。 「むきゅ!! おかあさんとあかちゃんをいえにおいて、こどもたちだけでにんげんのいえにはいればいいの!!」 沸き起こる反論を抑えながら、パチュリーは大まかに次の事を説明した。 曰く、もし掴まったらお母さんが赤ちゃんを産んだといえば良い。 曰く、そういえば美味しい食べ物をもらえる可能性が高い。 曰く、誰かが巣に残っていればよそ者に巣を取られないで済む。 そして、最後にアリスが言った言葉が引き金となり、森のゆっくり達はこの作戦を行う事に決めたのだ。 「だいじょうぶ!! ありすたちはみんなとってもかわいくてうつくしいから、にんげんたちにはどれもかわいくうつるの!!!」 最後の問題、人間達が同じ顔のゆっくりを見て怪しまないのか、それをこの言葉で封じたアリス。 会議は直ぐに終わり、パチュリーと寄り添って巣に帰っていった。 それが数日前の事だ。 そして、次の日から実践をし、今ではどの巣もこのように大量の食べ物を蓄える事ができた。 「ゆっゆ~~~♪ よかったね!!」 「あしたはみんなでゆっくりしようね!!!」 「「「「ゆっくりしようねーーーー!!!!!」」」」 これだけの食料を何時でも手に入れることが出切る様になった以上、毎日せっせと集める必要はなくなった。 必要な時に集め、必要な時に食べる。 ゆうに一ヶ月程度の蓄えは出来た、当分は大丈夫。 森のゆっくりは、全員そのような考えだった。 一度上手くいったら大丈夫。 もう相談の必要はない。 それがゆっくり達の心情だった。 ―― 「むきゅ? そういえばありす?」 「なぁ~に?」 「ぱちゅりーがこどもをうんだときも、にんげんにもらったの?」 「!! そうだよ!! ありすがはくしんのえんぎでもうじまぜんがらーー!! っていったらたべものをたくさんくれたの!! ありすのえんぎはとってもさいこうだったの!! えんぎは!!」 「むきゅ」 ―― そして、先の霊夢が男の元を過ぎ去った後、人間たちもそのからくりに気付いた。 時間にして数日。 この数日間で、なんか匹ものゆっくりが同じ台詞を話せば、奇妙に感じるのは当然。 あっという間にそのからくりがバレタのだ。 そして、人間はゆっくり達にある方法で復讐する事にした。 ―― 「ゆゆ!! おがーざんがあがじゃんをうんだがらたべものをあづめでだのーー!!!」 数日後、再びあの魔理沙一団が男の下へやってきた。 そうやら、単純で涙もろいオジサンにカテゴライズされたらしい。 口調こそはしっかりしてるが、表情は泣き顔と笑顔の混ざった奇妙な顔を作っていた。 「そうだったのかい。それじゃあこれをもっていきな」 前回同様、大量の食べ物を渡してやる。 しかし、今回は殆どがくず野菜だが。 「そうだ。未だ食べ物がいっぱい有るから、それを置いたらまたおいで」 賑やかに去っていく魔理沙達に、男は大声で伝える。 「ゆゆ!! わかったよ!! ゆっくりいくよ!!!」 それに笑顔で答え、森へ続く道へと消えていった。 「やったね!! こんかいもせいこうだね!!」 「おじさんは、きづいてなかったね!!!」 「まりさたちがかわいいからだね!!」 「「「ゆっくり~~~~♪」」」 沢山の戦利品を運びながらの道中、その魔理沙達は最後の帰路に着いた。 ―― 「またいっぱいもらってくるからね!!!」 「おかあさんもあかちゃんもゆっくりまっててね!!」 「ゆっくりがんばってきてね!!!」 「ゆっきゅりまってるりょ!!!」 一家は最後の挨拶を交わして、交わる事のない岐路に進んでいった。 ―― 「ゆっくり~していってね~~~♪」 「こんどはぁ~なにを~もらえるのかな~~♪」 「「「「おっじさぁ~ん!! まりさたちがきたよ~~~♪」」」」 「やぁ、良く来てくれたね」 「「「「やだなぁ~おじさんは。まりさたちにたべものをくれるんでしょ!!!」」」」 「そうだったね」 そこで待っててね、と言い残して一旦中に消えた。 歌を歌いながら待つこと数分、大きな袋を携えて男が戻ってきた。 「この袋の中に入ってるよ。遠慮しないで沢山持っていってね」 「えんりょなんかしないよ!! ぜんぶまりさたちのだよ!! みんなもっていくよ!!!」 男に適当な返事をしながら、我先に袋の中に入り込んでいく。 全員が入った事を確認し、男は何食わぬ動作で袋を閉じる。 そして歩き出す。 「ゆゆ!! おじさん!! からっぽだよ!!」 「ここからだしてね!! はやくたべものもってきてね!!!」 「ゆっくりさせてあげないよ!!!」 「ダメだよ。お母さん達はもう居ないんだから。それに昨日の分の食事代も貰ってないしね」 淡々と袋越しに話しかけていく。 「だから、加工場に持って行ってお金に換えてもらうんだ」 その言葉を話し終えると、中のゆっくりも理解したようで、大声で騒ぎ始める。 「いやだーーー!! ゆっぐりさぜでーーー!!!」 「ゆぐりじだいよーーー!!」 「どうじでーーー!!!」 帽子が取れようが、髪がボサボサになろうが関係なく暴れまわる。 「だまれ!!」 「ゆびゃ!!」 「あああ!!!!」 必要なのは中身なので外見は関係ないのだ。 中が黙った事を確認すると、そのまま加工場へと足を進めた。 ―― 子供達が出て行って直ぐに、お母さん魔理沙の所に男がやって来た。 「こんにちは」 「ゆ? おにーさんはゆっくりできるひと?」 お母さんと赤ちゃん魔理沙が、大きなクリクリした目で男を見つめてくる。 「ううん。できないひとだよ」 「ゆ?」 「子供達は皆処分したから、最後に君達を処分しに来たんだよ」 言うが早いか、むんずとあかちゃん達を取り出し、物凄い勢いで入り口を塞いでいく男。 「それじゃあ、君はそこでゆっくりしんでね!!」 あっという間に打ち付けた男は、中に居るお母さん魔理沙に呟くと、赤ちゃん達を残してそのままもと来た道を戻っていった。 「あああーーーー!! まりざのこどもたちがーーー!!! どうじでーーー!!!」 「ゆ?」 「ゆ?」 中では、自分の子供達の末路を知った母親の声。 外では、自分達に何が起こったのか理解できていない赤ちゃん達の声。 「あああーーー!! !! ぞうだ!! あがじゃん!! あがじゃんはぞごにいるの!!!」 「ゆ? いりゅよ!!」 「ゆっくりいりゅよ!!」 「おがあさんはここからでられないの!!! ぱちゅりーーをよんできてね!!」 「ゆ!! わかっちゃ~♪」 「ゆっきゅりまってちぇね!!」 これで助かった。 お母さん魔理沙はそう思った。 パチュリーがきてくれればここから出られる。 そうすれば残った赤ちゃん達で子供達の敵が討てる。 そう思うと、気が楽になってきたお母さん魔理沙は、乱雑に積み上げられていた食べ物に駆け寄って咀嚼し始めた。 「う~むっしゃむっしゃ♪」 赤ちゃん霊夢がパチュリーの所から帰ってくるまで数日かかるかもしれない。 でも、こんなに食べ物があるなら大丈夫。 「むっしゃ。これうめぇ!! しあわせ~~~♪」 食べ物の中に埋もれて、お母さん魔理沙は至福の時間を味わっていた。 ―― 「ゆっくりいこーにぇ!!」 「ゆ~~~♪」 「あちゅいね~~」 「ゆ~~!! あそこのきのしたはしゅずしようだよ!!」 「ゆ!! ほんとうだ!!」 「ここをまりしゃたちのお~ちにしようね!!」 「まりしゃたいなにしてちゃんだっけ?」 「しりゃない♪」 「「「「「ゆっくりしていってね!!!」」」」」 ―― 「むきゅ!! こどもたちおそいねー」 「ゆ!! きっとかわいいありすとぱちゅりーのこどもたちだから、あちこちからひっぱりだこなのよ!!!」 ここはパチュリーとアリスの家。 同じように、子供達に狩りをさせていたのだが帰ってこない。 「こんにちは、ゆっくりしているかい?」 「「!!!」」 代わりに入ってきたのは人間の男。 先ほどの言葉とは裏腹に、当然のように二匹は男を警戒し始める。 「むきゅ!! おじさんなにかよう?」 「ここはぱちゅりーとまりさのおーちだよ!! なにかようなの?」 「そんなに警戒するなよ。おじさんはお菓子を持ってきただけだよ」 「うそだよ!! にんげんはうそをつくんだよ!!」 「むっきゅーーー!!! むぎゅ? ぎゅーーーー!!!」 「そうかい。残念だよ」 パチュリーを勢い良く踏み潰す。 「ああああ!! ぱじゅりーー!! おじざん!! なんでごんなごとするのーー!!!」 「だって、人間を疑るような悪いゆっくりは駆除しないとね」 そう言って、残っている足でアリスも踏みつける。 「ぶじゃ!! あああ!!!」 「ああそうだ、子供達も皆加工場に持って行ったよ。数が多かったから、潰して押し込めて運んでいったけど、さすが饅頭だね!!」 「む……ぎゅーー!!」 「どうじでーー!! ありずのごどもだじ……が!!」 「ああそうだ、最近ゆっくりの子供達に食べ物を物乞いさせる行為が流行ってたけど、それって君たちが考えたの? 正直に答えてね」 喋りやすいように一旦足の力を弱める。 「むじゅ!! ぞうです!! ぱちゅりーたちがかんがえましたーー!!」 「しょうじきにいいましたーー!! だからゆるじでーー!!」 「ご苦労さん。じゃあ死んでね♪」 「なんでーーー!!」 「むっじゅーーーー!!!」 それが、この森に住むお母さん達の最初の断末魔だった。 それから数日後、例の魔理沙の巣の中でも同様の叫び声が被疑機わたっていた。 「ゆーー!! ぐざいーー!!」 最後に男が持たせた中に、生きの悪い魚が入っていた。 沢山の野菜くずで見えなかったのだが、今になって漸くお目見えしたのだ。 奇しくも夏真っ盛りのこの時期、全ての食べ物を巻き込み、オドロオドロしい匂いを撒き散らせながら、魔理沙を餓死へと追いやっていく。 「うぐーーどうじでーー!! なんでーーー!! だべものはどごにいっじゃっだのーー!!!」 これから数日間、この中で空腹に耐えながら、やがて自分もこの中に仲間入りする事だろう。 「あがじゃんーー!! はやぐもどっでぎでーーー!!!!!!」 ―― 人々が、共同で仕返しをした後の事。 その後の生活は今まで通りだった。 既に森には、赤ちゃんゆっくりしかいない。 「ゆっゆ~~♪」 「ゆ!! おやさいがいっぱいあるりょ!!」 「ゆ? はいりゃにゃいよ!!」 「「「「ゆっぐりじだがっだーーーー!!!!!」」」」 先代が残したシステムを覚えているゆっくりなど居るはずもなく、そうで出掛かり駆除され、巣を知られて駆除させ、他のゆっくりに巣を乗っ取られる。 そこの森にでもある光景がそこにも有った。 やがて、赤ちゃん達が育てば、今まで通りのゆっくり一家が沢山できることだろう。 このSSに感想を付ける